電動ドライバーで駆動する小型回転ランブラー
ものぐさの味方!DIYで役立つ回転バレル研磨機
今、家で一番稼働している電動工具(回転バレル研磨機)の小型バージョンを自作してみた。ネット上では回転バレル研磨機より振動バレル研磨機のほうが研磨効率が高いという記事が散見されるが、現在市場に出回っている小型バレル研磨機は研磨層が小さいうえ、回転スピードを調整できるため、研磨効率は振動バレル研磨機より高いように思う。研磨する工作物が小さい場合は、小型の回転タンブラーのほうがおすすめだ。
さすがに磁気バレル研磨機に比べると金属を磨くスピードは劣るものの、様々なメディアを使用することができるため、粗仕上げから光沢仕上げまで研磨領域が広いメリットが存在する。例えば、金属の塗装や錆を落としたり、加工時に発生するカエリやバリ取りも可能。さらに、その金属を鏡面仕上げまで磨きあげることもできる優れもの。さらには、金属だけでなくプラスチック・石・ガラス・陶磁器まで対応している。
バレル研磨機が小型であるメリット
- 省スペースで使え収納性も高い
- 割高なメディアを大量に購入する必要がない
- 予備の研磨槽を経済的に複数用意できる
- 指輪くらいの工作物であれば一度に50個はいける
- 液体を撹拌できるから他用途にも使用できる
小型であると単に場所をとらないなどのメリットもあるが、一番大きなメリットはメディアの量が少なく済むことだ。実はバレル研磨用のメディアはかなり高額なため、メディア(研磨石)を複数購入すると、工作物だけでなくお財布のお金も削られてしまうのだ。現に自分も用途にあったメディアを探しているうちに、本体が買えるような出費が発生した。
メディアやワークを入れる研磨槽が小型であれば少量のメディアで済むため、メディアを複数購入しても出費が抑えられるうえ、割高な予備研磨槽も買わなくとも調味料の容器や丸形タッパーを利用すこともでき経済的。なので、既製品の回転バレル研磨機を購入するのであれば、ワークが少量の場合は、KT6808のような小型のものが個人的におすすめである。
回転バレル研磨機の作り方
海外では回転バレル研磨機を自作したユーザーが多く存在し、YoutubeやPinterestなで「rock tumbler」などで検索すると多くの動画がヒットする。自作している回転バレル研磨機の種類は、「研磨槽(容器)をモーターで回転する」と「ローラーガイド(車輪や丸棒)をモーターで回転する」2タイプに大別されているようだ。
色々な電動工具や木工機を使ってきたので容易に想像できるが、アタッチメントや先端工具を着脱するのに手間がかかる設計の製品は毎日使用しているとうんざりするので、研磨槽を工具レスで簡単にセットできて、中身をすぐに確認することができるタイプ「ローラーガイド(車輪や丸棒)をモーターで回転する」を自作することにした。
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追記:Amazonにある批判レビューと同じで、すぐにボロボロと剥がれてくるので買わないほうがよかった。摩擦が発生するような場所では不向きかもしれない。車輪や丸棒に滑り止め効果がない素材を使用する場合、容器に梱包用で使われている太い輪ゴムや丸ベルトを巻いたほうが空回りしにくく経済的だった(後者のほうが摩擦や乾燥による耐久性が高い)。
使用しているメディア(研磨石)
セラミックメディア(研削+研磨したい場合に最適)
セラミックメディアは、バレル研磨用のメディアの中で最もスタンダードな研磨石。番手は[重切削][一般切削][軽切削][微小切削][平滑仕上][光沢仕上げ]の5種類が用意されている(右になるほど目が細かい)。
後述するスチールメディアと違い小さな傷を除去できるほど研磨力&研削力が高いため、金属に施されたメッキ・塗装・錆を剥離するのに最適なメディアだった。番手の細かいものを使用すれば艶のある光沢仕上げも可能。
写真の(右)はクロメート処理された金具(左)をセラミックメディアで剥離したもの。工作物が平面であれば丸い形状で問題ないが、内角部や凸凹と入り組んだ箇所がある場合は、角の尖った形状を使用したい。
また、同じ番手のメディアでも形状が丸と角のあるものでは研磨力が段違いなので、頑固な錆や塗装を落とす場合は迷わず角のあるメディアを選びたい。メディアは高価なので、キロ単位で販売しているショップから購入すると経済的。
スチールメディア+コンパウンド(光沢をだすのに最適)
スチールメディアは鋼(鉄)やステンレスを素材とした研磨石で研削力はセラミックに劣るものの、コンパウンドと組み合わせることで、金属に光沢をだすことができる。耐久性はセラミックより上で消耗しにくいが、小さな傷を除去できる強い研磨力はない。
形状がボール(球)のみだと工作物の平面のみしか当てることができないため、細かく入り組んだ箇所がある工作物を研磨する場合は(ピン型)や(UFO型)を使用するようだ。自分は面倒くさいのですべて混ぜたものを使用している。mm以下の細いステンレスピンも混ぜれると、細かく入り組んだ箇所にも対応。高額なのでAmazonに出店している中華業者から安価なものを探そう。
スチールメディアに混ぜるコンパウンドは現段階では、「NS ピンクコンパウンド」が一番の感動をおぼえた。今まで使用してきたコンパウンドの中で最も段違いの光沢をだすことができたからだ。サンポールのようにpHが偏っているのかもと思ったが、中性のためどんな素材の金属も痛めることなく磨くことが可能。
Youtubeでは研磨層にコンパウンドを投入せずにスチールメディアのみで研磨している回転バレル研磨機の動画が散見されるが、コンパウンドをいれないと研磨剤のついてないバフで金属の表面を磨いているようなものなので、いくら回転させても金属に光沢をだせないので注意。
ソフトメディア(鏡面仕上げに最適)
ソフトメディアはクルミの殻を小さく砕いたものや、トウモロコシの芯にアルミナ(研磨剤)を油脂でコーティングした研磨石である。どちらも乾式用となっており、金属表面に物が映るような鏡面仕上げにすることができる。
ただし、傷や凹凸を除去する研磨力はないため、正しい研磨手順を踏まないと、光沢や鏡面は得られても、逆に目に見えなかった小さな傷や凹凸が目立つ仕上がりとなってしまうことも。
上のものは、クルミの外殻でできた[SMB ソフトメディア]で1日12時間を3日程度回転させたものだが、さらに1週間ほど回転させるとバフで磨いたような鏡面を得ることができた(下写真参考)。
この記事の動画はこちら↑からどうぞ。
回転バレル研磨機は労力をかけずに金属の汚れを取ったり、光沢のある仕上げにできるので楽しいです。布教用の動画も作成しています。
2021年10月に誰でも簡単に作れるように既製品を組み合わせた回転バレル研磨機を作りました。下記のリンク先からどうぞ。
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