電気ドリルの特徴
電気ドリル | ドリルスタンド | 性能比較表 | ドリルドライバ |
穴あけ作業が得意
電気ドリルとは、木材や金属などに穴をあける電動工具です。
ドリルドライバーやインパクトドライバーでは、不向きな穴開け加工をする作業に向いています。
回転スピードが速い小型のタイプとパワフルで大型のタイプがあり、トルクの強いパワフルなタイプは大穴を開ける作業に向いています。
鉄工ドリルで金属に穴をあける場合は、センターポンチであらかじめ窪みをつけておき、切削油や石鹸水をドリルビットの先端につけておくと穴があけやすくなります。
貫通穴をあけた場合、穴の抜け際に負荷がかかり先端工具(ビット)がチャックからすべる場合があるので、押し付ける力を弱めるように心がけます。
締めつけ作業には不向き
クラッチ機能や打撃機能がないので、ネジやボルトなどの締めつけ作業には向いていません。
本体の質量が重く回転スピードが速いのでネジ頭の溝がなめりやすくなります。
電気ドリル | 回転力 | |
ドリルドライバー | 回転力+クラッチ機能 | |
インパクトドライバー | 回転力+打撃力 |
ドリルドライバーとの違い
ドリルドライバーにもドリル機能があるので、穴あけをすることはできますが、電気ドリルの回転数が速いモデルは回転スピードが倍以上も違うので、硬い木材や金属などに小さい穴をあける作業では、電気ドリルのほうがスムーズに行えます。
逆に大きな穴をあける場合は、回転スピードを遅くする必要があるので、最大穴開け能力が高いモデルは、トルクが強く回転数が低くなっています。
ドリルドライバーにはネジの締めつけ防止に役立つトルクを制御できるクラッチ機能がありますが、電気ドリルにはクラッチ機能がありません。
クラッチ機能がない電気ドリルではネジを締めつける力加減が難しく、締めつけすぎたりして材料やネジ溝を潰してしまうので、ネジやボルトの締めつける作業では不向きになります。
インパクトドライバーとの違い
インパクトドライバーでも専用ビットがあるので穴あけ作業をすることはできますが、負荷がかかると打撃がくわわってしまう機能があるので、使用できない種類の先端工具がたくさんあります。
大口の穴をあける場合には、負荷がかかり打撃が加わってしまうこともあるので、精度が必要な用途だと不向きになることがあります。
長ビスなどを締めつける場合、電気ドリルにはインパクトドライバーのように強いトルクがない機種もあるので、最後まで締めつけることができません。
また電気ドリルは回転する力だけでネジを締めつけようとするので、負荷が強くかかる長ビスの場合は、ドリルドライバーと同じで途中でネジ溝がなめり(潰れ)やすくなります。
インパクトドライバーで長ビスを締めこんだ場合は、負荷がかかったときに打撃が加わると同時に回転数が下がるので、ねじ溝がなめりにくくなり、スムーズに締めこむことができます。
最大穴あけ能力
穴径(あなけい)
電気ドリルは穴あけを主とした電動工具なので、必ず最大穴あけ能力が記載されています。
最大穴あけ能力とは、錐で穴をあけられる穴径(穴の直径)をあらわしているので、切削ビットの種類や材料によっては、最大穴あけ能力より大きな穴をあけることも可能です。
負荷のかかる大きな穴をあけたい場合は、高い回転スピードは必要ありません。
回転数(min-1)が高いものではなく、パワーがあり最大穴あけ能力が高い機種を選びましょう。
回転数
min-1とは?
電気ドリルにはmin-1という単位で、回転する回数が記載されています。
回転スピードが〔0~3000min-1〕だと、無段変速機能がついているので、スイッチの引き具合によって回転スピードが変えられます。
最高スピードは無負荷の状態で1分間に最大3,000回転するということになります。
回転スピードが〔1000min-1〕と記載されていた場合、0~がついていないので無段変速機能がついていないということになります。
スイッチ引いた瞬間、最大回転数の1000min-1に達するのでスピードの調整がおこなえません。
大きな穴は低回転
回転数が高いほど小さな穴あけ作業がスムーズに行えますが、大きな穴をあける場合は、金属や木材に関わらず回転数を下げなければいけません。
硬い素材に大きな穴をあける際に回転スピードが速すぎると、刃が材料を剥ぎ取る前に滑ってしまうので、これを何度も繰り返していると刃が摩耗して焼けてしまい切れなくなってしまいます。
回転スピードが速い状態で、切削中にドリル刃が焼けて切れなくなると、材料にくいこんで手をとられ事故につながることもあります。
電気ドリルの種類
リョービ-MD-12VR 240Wモーター搭載 最大穴あけ能力:木工13mm 回転数:0~2,100min-1 |
日立工機-変速電気ドリル スピード調整ダイヤル付き |
キーレスドリルチャック |
コンパクトタイプ
コンパクトタイプには、無段変速機能がついているモデルが多く、スイッチの引き具合によってスピードの調整が行えるものがあります。
ビットの着脱がスムーズに行えるキーレースチャックが採用されているモデルも多くあります。
正確なスピード調整をしたい場合は、スピード調整ダイヤルがついている変速ドリルを選びましょう。
小さなモーターが搭載されているので、最大回転スピードが2,000min-1以上と速いモデルが多く、小さい穴をあける時に活躍します。
回転スピードは速いですが、トルクが低くなっている分、最大穴あけ能力も低くなっています。
電気ドリルで大きな穴をあける場合は、回転スピードを下げると説明しましたが、回転数を下げるとトルクも一緒にさがります。
大きな穴をあける加工では負荷がかかるので、回転スピードの速い小さなモーターを搭載している電気ドリルで低速にして連続で穴をあけていると、モーターに負担がかかり故障しやすくなります。
日立工機-D13SB 860Wモーター搭載 最大穴あけ能力:木工36mm 回転数:1,200min-1 |
キー付き ドリルチャック |
パワフルなタイプ
パワフルなタイプは無段変速機能がついていないので、スイッチを引いた瞬間に最大回転数に達するものが多いです。
キー付きのドリルチャックタイプが多く、ビットの交換に少し手間がかかりますが、急な停止に強く、チャックハンドルを利用してビットを取り付けるので、強固な締めつけ力が得られます。
コンパクトタイプと違って、大きなモーターが搭載されているので、非常にトルクが強く、回転数が1000min-1前後と低めになっています。
大きな穴をあける用途で使用する場合は、回転数が低く電力(W)の高いパワフルなタイプを選びましょう。
トルクが強いので、連続して大きな穴を開けても故障しにくい利点があります。
注意点
Safety first / i_yudai
●必要以上に力をかけても穴をあけるスピードは速くなりません。
無理に力をかけて負荷をかけてしまうと、穴の切断面も汚くなりますし、本機や切削ビットの刃をいためてしまい、逆に作業能率が下がります。
●穴が貫通したときによろめいたり、錐が折れたり、材料が暴れることがあるので、材料はしっかり固定し、電気ドリルを押す力は弱めるように心がけましょう。
●ブレーキ機能がない機種が多く存在するので、ビットの回転が止まったのを確認してから置くようにしましょう。
刃が衣類に巻き込まれることがあります。
飛来物から目を守るため、安全メガネ・ゴーグルなどを装着します。
●ドリルドライバーでビットを取り付けるときに、キーレスチャックを左手で固定して、スイッチをいれてビットを締めつける場合があると思います。
電気ドリルで同じことをすると、クラッチがきかないので、キーレスチャックを持っている手をひねることがあります。