断熱対策している家としてない家では泥沼の差がある
「玄関」「脱衣所」「ベランダ扉前 」が外かと思うほど寒い
倉庫として実家の近くにある物件を借りました。雪が降る寒い日にその物件に行ったことがあるのですが、断熱対策がされているその借家は暖房がついてないのにもかかわらず、室内が暖かくて驚愕しました。
一方、築30年になる木造の実家は、家の中でも雪が降りそうなくらい寒いです。特に玄関・ベランダ扉前・脱衣所は屋外かと思うほどキンキンに冷えており、暖房を効かせてる部屋からその場所に行くと、ヒートショックを起こしてくたばりそうなくらい温度差があるのです。
色々と調べて分かったことですが、断熱材の有無や気密性の悪さ以外に、熱伝導率が大きいアルミサッシやガラスも断熱性能を損なう大きな要因になるようです。最近の家に採用されている熱伝導率が低い樹脂サッシや、断熱効果が高い中空層があるペアガラスに交換したり、大掛かりな工事をすることは予算的に厳しいので、買い求めやすいプラダン・吸音ボード・隙間テープを窓や壁に貼って熱の損失を軽減してみることにしました。
また、今月(2022年2月)ロシアのウクライナ侵攻が開始されました。ウクライナ側が強い抵抗を示して戦争が長引くと、日本は自給率が低いだけでなく、エネルギー資源も多くを輸入に依存しているため、食料品だけでなく、電気・ガス・灯油などの光熱費も高騰すると考えられます。そのため、節電を徹底し、エネルギー消費を抑えることが求められる日がくるかもしれません。
アルミ・ガラス・コンクリート・タイルは氷と思え!
熱伝導率が低い素材=断熱性が高い
日本建材・住宅設備産業協会さんによると、暖房で暖められた熱が開口部から損失する割合は58%と指摘されています。特に開口部に熱伝導率が高いアルミサッシやシングルガラスを採用している古い家では、まさに上の図のように熱が開口部から約5~6割ほど流出していると考えたほうがよいかもしれません。
素材の熱伝導率について身近なものでわかりやすく説明すると、カップラーメンがわかりやすいかもしれません。カップラーメンの容器の素材は熱伝導率が低いので、熱湯を入れても容器の外側は比較的熱く感じにくく、手で持ってもヤケドをするほどではありません。
一方、熱伝導率が高いガラスや金属の容器に熱湯を入れて手で持つとヤケドをしてしまいます。これと同じ様に、部屋を暖房で温めても窓やサッシから熱がとんでもスピードで逃げており、断熱性の低い開口部は暖房効率を大きく損なう要因になっているようです。
素材 | 熱伝導率 W/mK |
---|---|
ガラス | 1 |
アルミニウム | 200 |
セメントモルタル | 1.5 |
コンクリート | 1.6 |
合板 | 0.16 |
石膏ボード | 0.6 |
土壁 | 0.69 |
建築材料の熱伝導率一覧表を見ると、基本的に重たくて硬いものは熱伝導率が高い傾向があるようです。このため、木造住宅の壁や天井に使われている多孔質材(木、砂壁、石膏ボード)よりも、金属・ガラス・コンクリートのほうが熱伝導率が高く、家の熱が逃げやすいことがわかります。
つまり熱伝導率が高い素材を使うと、室内の熱が移動しやすいということです。したがって、木造の家でも熱伝導率が高い窓ガラスやサッシに熱伝導率が低いものを貼りつけて熱の移動を制御することで、断熱性能や暖房効率をアップできる考えました。
熱伝導率が低い最強の断熱材は空気!?
断熱性のある素材 | |
---|---|
空気 | |
樹脂 | |
木 | |
ガラス | |
コンクリート | |
アルミ |
熱伝導率が低いトップクラスの断熱材の1つに空気があるようです。
窓の断熱対策として、「プラダン」や「中空ポリカ」を使った二重窓を作るDIYが主流のようですが、空気層を持つ中空構造の素材を使用した自作窓は、開口部からの熱損失を大きく低減していると考えられます。
ちなみに日本家屋にも、両面に和紙を貼った障子や襖が存在し、空気を封入した太鼓張りの壁や扉も断熱性が高い特徴を持っているようです(先人の知恵は素晴らしいです)。
基本的に軽量で多孔質構造の材料は断熱効果が高いという特徴があります。空気よりも熱伝導率が低い断熱材は高価ですが、多孔質で安価な発泡ウレタンやスタイロフォームも安価な断熱材として活用することができそうです。
また、木材でも硬い広葉樹より、表面積が多く空気の膜を取り込む柔らかい針葉樹のほうが熱伝導率が低い傾向があるようです。特に杉や松などを使えば、経済的に断熱性能を高めることができるかもしれません。
キンキンに冷える玄関の引戸と床の断熱対策
安価な断熱材はプラダンや断熱シート(プチプチ)
先述した通り、頭1つ抜けて熱伝導率が低いのは空気です。そこで、幾重にも空気の層が内部に並んでいる「プラダン」と「断熱シート」を引き戸やガラス部に貼ることにしてみました。おそらく、双方の放熱量は空気が密閉されている7mmの断熱シート(プチプチ)のほうが高いかもしれません。
窓用の断熱シートはラインナップが豊富な株式会社ニトムズの商品を使用しました。同社のカタログを見ていると基本的に空気の層が分厚いシートの方が放熱量が低く、断熱効果が高い結果になっているため、プラダンを使用する場合は、厚さが2mmのものではなく、4mmのものを使用したほうがよいでしょう。
実家は住宅や店舗の出入口に幅広く使われているランマ付きの玄関引戸です。この引戸を調べてみると、YKK AP株式会社さんが販売している断熱対策がされていない単板ガラスのベーシックタイプのでした。
この引戸はガラス面が広いので氷のように冷たくなり、間違いなく玄関を一番キンキンに冷やしている親玉と思われます。近隣だと平成初期以前に建てられた家によく見られる玄関扉で、古い一軒家だとうちと同じように寒い思いをしているのではないでしょうか。
現在、同社のカタログを見てみると、玄関引戸には断熱性能が高い複層ガラスの引戸もラインナップされているようなので、予算に余裕があるのであれば、カバー工法を利用してドアを取り替えたほうが断熱性能を高められるでしょう。
↑写真:プラダンを貼り付けた引き戸
わたしは予算的に戸を交換することはできないので、工具のAmazon(モノタロウ)で販売されているオリジナルブランドのプラダン[1820×910×4(mm)]をカットして、引戸のガラス部分に貼りつけました。
カラーは「ナチュラル」「白」「黒」「青」「灰」「緑」の6種類が用意されており、今回は一番透明度が高い「ナチュラル」を選びました。色は半透明といった感じで、中空ポリカのように、向こう側がはっきり透けて見えるような透明度ではなかったです。
プラダンを簡単に真っ直ぐ切る方法は下記事を参考にしてください。
ちなみに、モノタロウのオリジナルブランド品を注文する場合は、オリジナルブランドが10%OFFになる土日に注文するとお買い得です。セール日とコードが確認できるページはこちらからどうぞ。
モノタロウで定期的に買い物をしていると、15%OFFクーポンが送られてくるので、わたしは、15%OFFの日に15枚を購入しました。4mmが1枚644円だったので、近くのホムセン(800円)より経済的。2mmのプラダンは200円でした。
ピッチの広い4mmプラダンを横にして窓に貼るとDIY感がでない
4mmのプラダンはリブ(中空の仕切り)の間隔が2mmのものより広いので、真っ直ぐにカットして、横向きにして貼ることでDIY感は薄れました。外側や内側から見てもあまり違和感はなく、おそらくプラダンを知らない人が見ると、こういう柄のガラスだと思いこむかもしれません。思いのほか見た目がよかったので、断熱シート(プチプチ)は貼らないことにしました。
プラダンは目方向を気持ち長めにしてカットするとテープなしで固定することができました。両面テープで固定する場合、薄手の両面テープを使用すると剥がれやすかったです。また、白や黒の強力両面テープを貼ると、テープが透けて見えてDIY感丸出しになるので、見た目が気になる場合は、透明の両面テープを使用したほうがよいでしょう。
隙間から入り込む冷気は隙間テープでシャットアウト
引戸にプラダンを貼ったことで玄関の寒さは軽減されましたが、断熱対策された借家のような感動は得られませんでした。そこで、真夜中に冷気を感じやすい全裸でまじまじと観察していると、引戸の隙間から冷たい風を引き込んでいることに気づきました。
後で知りましたがが、ロウソクの火を近づけると、隙間風が簡単にわかるそうです。また、高額になりますが、サーモグラフィーカメラで簡単に建造物の断熱状態を確認することができるそうです。
話しを戻して、室内の温度と室外の温度差があると対流が発生することを忘れていました。具体的には部屋を暖めると、室内外の空気の温度差が大きくなります。このとき、暖かい空気は軽く、密度が小さいため、室内の圧力が相対的に下がります。外の冷たい空気は重く、密度が高いため、隙間を通って室内に流れ込んでくるのです。
そこで、Amazonで販売されていた安価な隙間テープで全辺の隙間を塞いでみると、早朝や夜中の玄関の寒さはさらに軽減されました。プラダンを貼っても風が強い日は玄関が寒かったのですが、隙間を塞いだことで、風が強い日の寒さは大きく軽減されました。
窓や戸の縦枠に隙間テープが貼れない場合は、上写真の様に桟の表や裏面にテープを貼ると塞ぐことができます。2つに裂けるタイプを選定すると、中央から縦に手で裂いて2本にすることができるので経済的でした。
引戸は内と外の戸の真ん中(すれ違い部分)や、上・下からも冷気を引き込んでいたので、縦枠以外の隙間もしっかり塞ぎました。テープが戸に擦れてしまうところに一般的な隙間テープを貼ると軽い力で戸を引けなくなるので、戸のすれ違い部分にフィットする「パイルタイプ」「モヘアタイプ」の隙間テープが適切のようです(毛足の長さに注意)。
わたしはそれらの存在を知らず、「スポンジタイプ」の隙間テープを貼ったため、開閉動作がスムーズに行えなくなりました。そのため、剥がれたらナイロン製の毛が隙間なく植毛されたテープを貼り替えたいです。ちなみに、家の引戸は隙間からの冷気の入り込みが酷かったようで、プラダンを貼ったときより断熱効果が大きく感じました。
氷のように冷たくなる玄関のタイルをジョイントマットで断熱
玄関のタイルは冬場に氷のように冷たく感じるため、熱伝導率を調べたところ、ガラスに近い数値(1.3W/m·K)であることが分かりました。このため、窓と同様に放熱量が高いと考えられ、熱伝導率の低い材料を上に敷くことにしました。
2~4mm厚のプラダンを試してみましたが、人が踏むと潰れてしまったため、衝撃に強い中空ポリカーボネートを敷こうと検討しました。しかし、サブロク(3尺×6尺)を3枚購入すると費用が高くなるため、安価なポリエチレン製のジョイントマットを断熱材代わりに敷くことにしました。
玄関の床がジョイントマットでは見た目に違和感があるため、その上に簡単に連結できるウッドパネルを敷きました。しかし、ジョイントマットが柔らかいため、床がフカフカして歩きにくくなりました。潰れるまでの期間(約一週間ほど)歩きにくかったです。この問題を解消するには、ジョイントマットとウッドパネルの間に薄いベニヤ板を敷くと良いかもしれません。
マットの素材 | 熱伝導率 [W/m K] |
---|---|
合板 | 0.16 |
スタイロフォーム | 0.02~0.03 |
コルク | 0.07 |
ポリエチレン | 0.33~0.50 |
後日、ジョイントマットに使用されているポリエチレンとコルクの熱伝導率を調べてみると、コルクのほうが熱伝導率が低いことが分かり、コルクマットを選ぶべきだったと後悔しました。コルクの熱伝導率は断熱材としても使用されるほど低く、0.1W/(m・K)以下であるため、断熱効果が高いと言えます。
脱衣所の寒さ対策(DIY断熱)
敵さんはガラス・アルミサッシ・モルタルの壁
玄関の寒さ対策で断熱の知識が身についたことで、脱衣所の肌寒さの主な原因を予測できるようになりました。その要因として、室内の熱が流出しやすい開口部の窓、冷たいモルタルやタイルの壁、そしてサッシの隙間風が挙げられます。
ちなみに、ガラス・モルタル・コンクリートの熱伝導率は1~1.6W/mKと数値的にはそれほど高くないように思えます。しかし、暖房で暖めた部屋をサーモグラフィーカメラで撮影した写真を見ると、これらの部分が真っ青に映り、壁や床よりも放熱量が高いことが分かります。
そのため、熱伝導率が1W/mK前後の素材であっても、暖房の熱を奪うスピードが速いため注意が必要です。基本的に手で触って冷たく感じる素材には、熱伝導率が0.1W/mK以下の断熱材を貼り、空気との接触面積を減らすことで効果的に断熱性能を向上させることができるでしょう。
プチプチよりお洒落な断熱シート(E1540)
窓のガラス部にはニトムズの断熱シートを貼ろうと思いましたが、プチプチ状のデザインが気に入らなかったので、同社が販売しているストライプ模様の断熱シート(E1540)を購入しました。
この(E1540)は、窓を霧吹きでたっぷり濡らすだけで簡単に貼り付けることができ、施工がとても楽でした。しかし、型板ガラスの凸凹した面には相性が悪かったようで、一週間ほどで端がめくれ始め、最終的に剥がれてしまいました。
窓用断熱シートは7mmのプチプチタイプ(E1590)が最強
ちなみに、今回使用したニトムズの(E1540)は、見た目はプチプチよりも悪くないものの、同社が販売している断熱シートの中では最も放熱量が高く、断熱性能が他のラインナップより低いというデメリットがあります。
そのため、見た目がプチプチでも気にならず、断熱性能を重視する場合は、より高い断熱性能を発揮する(E1590)を選んだほうが効果的でしょう。
カタログによると、(E1540)の空気層の厚みは2mmなのに対し、(E1590)は7mmと厚みがあり、さらに空気が密閉されているため、熱を伝えにくく、断熱効果が高い設計になっています。一方、(E1540)はプラダンと同じように端がハーモニカ状に隙間が空いているため、テープやポリカジョイナーなどを使って隙間を塞ぐことで、断熱効果を向上させることができるかもしれません。
プラダン+断熱シートの二重貼り
先述の剥がれかけてきた断熱シート(E1540)を取り外し、代わりに余った4mm厚のモノタロウプラダン(ナチュラル色)を貼りつけることにしました。
貼り付けた後、玄関の引戸にプラダンを使用したときと同様の感想を持ちましたが、4mm厚のプラダンを横目方向にして貼ることで、DIY感が目立たなくなり、見た目がすっきりしました。
後日、最初に貼っていた断熱シート(E1540)をプラダンの上に貼りつけました。
追記(2023年)プラダンの表面はフラットでしたが、プラダンの上に貼った(E1540)は約1年で剥がれてきました。
プラダンは横向きに貼って隙間を埋めたほうが効果的?!
メーカー(ニトムズ)によると、温まった空気は上へ移動する性質があるため、E1540はストライプ模様を横向きにして貼ることで、暖まった空気が抜けにくくなり、断熱効果が向上するとのことです。ただし、その効果は微細で、実感できるほどではないそうです。このため、少しでも断熱効果を高めたい場合は、空気層がトンネル状になっているプラダンや中空ポリカも、リブ方向を横向きにして貼ると良いでしょう。
私は断熱性能を少しでも向上させるため、プラダンを横向きに貼るだけでなく、プラダンの隙間から空気が移動しないように塞ぎました。最初はセロテープやグルーガンで隙間を塞いでいましたが、中空ポリカ用のコ型ジョイナーを使用したところ、見た目がより綺麗になりました。ちなみに、KTP-910Kは4mm厚用ですが、4mmのプラダンだけでなく2mmのプラダンにも問題なくしっかり固定できました。
やはりサッシの隙間埋めは必須だった
プラダンと断熱シートの組み合わせによって、早朝や夜中の肌寒さは軽減されました。しかし、玄関のときと同様に、風が強い日や外気と室内の温度差が大きくなると、サッシの隙間から冷気が入り込んで再び寒さを感じてしまいました。そのため、冷気が入り込む箇所に隙間テープを貼り、隙間風をシャットアウトする対策を行いました。
引違い窓には、上下左右だけでなく、すれ違い部分にも隙間テープを貼りました。玄関(引戸)のすれ違い部分にスポンジタイプの隙間テープを貼った際、戸がスムーズに開閉しなくなった経験を踏まえ、今回はナイロン製のブラシが植毛された「すき間モヘアシール」を使用しました。このシールのおかげで、軽い力で窓をスムーズに開閉することができました。
窓のパッキンや気密ゴムが劣化していたことが原因なのか、隙間テープの断熱効果は玄関の引戸と同様に高く感じられました。窓ガラスやアルミサッシに断熱材を貼っても、隙間が開いていると冷気が入り込んで断熱効果を十分に実感できないため、やはり、隙間テープとの組み合わせは必須だと感じました。
ぶるぶると寒くなる浴室の扉も簡易断熱
家の浴室には換気扇がなく、常に窓を全開にして換気をしているため、脱衣所にある浴室の扉が氷のように冷たくなっています。そのため、扉のガラス面にプラダンを貼りつけ、さらに隙間からの冷気がひどかったため、隙間テープを4辺に貼って隙間を塞ぎました。
浴室のドアには、家にあった厚さ2mmのプラダン(白、200円)を貼りましたが、写真のように見た目が悪くなりました(白が原因なのでしょうか?)。さらに、触ってもガラスのように冷たかったため、ナチュラル色の4mmのプラダンを上から重ね貼りしました。
プラダンを固定する両面テープは透明タイプのほうが目立たない
その際にスコッチの黒い強力両面テープで固定しましたが、貼った両面テープが透けて見えるため、DIY感丸出し残念な感じとなりました。強力両面テープには透明タイプも販売されているため、目立たせたく場合は同社の透明のテープで固定したよかったと後悔しました。
一般用両面テープ(白) | モノタロウ | 一週間で剥がれる |
---|---|---|
強力両面テープ(黒) | ニトムズ | 夏に剥がれる |
強力両面テープ(白) | ニチバン | 一ヶ月で剥がれる |
強力両面テープ(透明) | ニトムズ | 夏に剥がれる |
追記(2022年):結局、透明で強力タイプの両面テープ(T4610)を購入し、貼り替えることにしました。一般的な薄手の両面テープや、色付きの厚手強力両面テープと比べて目立たなくなり、満足しています。さらに、両面テープの両端がリブに重なるように貼ると、より目立たなくなりました。見栄えをさらに良くしたい場合は、丸形の透明両面テープを選ぶとよいかもしれません。
追記(2023年):暖かくなり始めると、いくつかのプラダンが剥がれ落ちました。特に浴室のような結露しやすい場所では、剥がれ落ちやすい傾向があるようです。剥がれにくくするためには、窓とプラダンの接着面を無水エタノールなどで脱脂してから、ドライヤーで温めた複数のテープで固定する方法が効果的でした(アルカリ性洗剤で代用することも可能です)。
また、開口部の熱伝導率が低いと、夏にはエアコンで冷やした部屋が暖まりにくくなるというメリットもあるため、年中プラダンを貼りつけておきたい場合には、熱や水に強いコーキングで点付け接着する方法が適しているかもしれません。毎年剥がれてくるプラダンを貼り替える手間を省くため、私もこの方法を試してみる予定です。
冷たいモルタルやコンクリートの壁は吸音ボードで断熱
空気をよく含む多孔質構造の吸音材は断熱材としても利用できるため、壁紙感覚で簡単に壁に貼ることができる「吸音ボード」を脱衣所のモルタルの壁に貼りつけてみることにしました。
購入した吸音ボードはポリエステル繊維を高圧縮した素材で、触り心地は身近なものだとナイロンフェルトに似ています。そのため、見た目はフェルトを圧縮して固めたような感じです。
ポリウレタンスポンジの吸音パネルとは異なり、指で力を加えても変形しないほど硬く、密度も高くなっています。そのため、吸音性能だけでなく、断熱効果や防音効果も高いと思われます。
パネル1枚の大きさは30×30×0.9cmで、コンパクトな正方形です。角は45度に面取りされており、ボード同士を突き合わせると継ぎ目にはV溝ができ、壁に大きなタイルを貼ったような見栄えになりました。
パネル1枚の重量は約150gと文庫本くらいの軽さのため、「強力両面テープ」「虫ピン」「グルーガン」で壁に固定することができます。
販売元は3MのVHBテープを推奨していますが、家にあった他メーカーの厚手の強力両面テープ(強力両面テープ No.541)を使用することにしました。
ちなみに、強力両面テープを剥がしたときに壁紙や塗料が剥がれることがあるので、賃貸の壁に直貼りするのは止めたほうがいいかもしれません。
カチカチに圧縮されていますが、カッターで簡単に加工することができました。新品の刃と金属製の定規を使えば、5回ほどスライドさせただけで真っ直ぐ切ることができました。
脱衣所は窓に「プラダン」+「断熱シート」、サッシに「断熱テープ」と「隙間テープ」を貼りました。最初は玄関より少し肌寒いと感じましたが、冷たいモルタルやタイルの壁に吸音ボードを貼ったことで玄関と同等の断熱性能になりました。
べランダ(ドア)の寒さ対策(DIY断熱)
最後に、ベランダに出る框ドアを断熱しました。このドアは階段を登った所にあり、一段一段登るごとに寒さが増していくのが感じられます。ドアは上段がガラスで、下段がパネルになっており、どちらも非常に冷たいです。そのため、上段にはナチュラル色の4mmプラダン、下段にはブラックの4mmプラダンを二重にして貼りつけました。さらに、隙間テープで四辺の隙間を塞ぎ、ドアの前だけでなく、面した階段や廊下の寒さも大きく軽減されました。
ちなみに、砂壁を簡単に断熱したい場合は、砂壁を固めるシーラーを塗ると、両面テープや接着剤が効くようになります。そのため、断熱材や熱伝導率が低い壁材を貼ることで、寒さを軽減できるかもしれません。実家は砂壁なので、砂壁を固めて白い吸音ボードを貼りつけたいと考えていますが、壁の面積が広く、壁の色と合うように通し柱なども塗装する必要があり、作業に踏み切るのはなかなか大変です。
追記(2024):紫外線でプラダンがボロボロになるって本当?
ベランダは西日が当たるため、紫外線が強くなる傾向があります。プラダンは紫外線でボロボロになるという意見が散見されたので、すぐに劣化しないか心配でしたが、数年経過した今も4mmのプラダンはボロボロになっていません。2023年から屋外側(屋根あり)にも貼っていますが、今のところ問題ありません。もしかすると2mmのものが劣化しやすく、4mmのものだと耐久性が高いのかもしれません。
じゃぶじゃぶ熱が漏れるアルミサッシも断熱することに
ガラスの熱伝導率が約1W/mKなのに対して、サッシ枠に使用されているアルミは約200W/mKと熱損失が桁違いに高いようです。そこで、ニトムズから販売されている「サッシ枠断熱テープ」を窓や戸のアルミ部に貼ることにしました。色は「ホワイト」「ブロンズ」「シルバー」、テープ幅は「1.6cm」と「4cm」が用意されています。
ガラスの熱伝導率は意外に低いものの、熱伝導率が1W/mKや200W/mKだろうと、どちらも氷のように冷たくなり、室内で暖めた熱を奪うスピードは早そうなので、基本的に手で触って冷たいと感じる素材には熱伝導率が低いものを貼って、空気との接触面積を減らしたほうがよいのかもしれません。
断熱テープの素材は発泡ポリエチレンになっており、身近なものだと壊れ物の梱包などに使われているミラーマット(ポリエチレン製シート)にそっくりな見てくれとなっています。上写真の断熱テープの色はブロンズです。
これまでDIY感をださないために、プラダンを真っ直ぐに切ったり、透明の両面テープで固定したり、隙間テープをサッシ枠と同じ色にしたりとけなげに頑張ってきたましたが、これを貼ると全てが台無しになるほど見た目が悪くなりました。
サッシ枠に貼った断熱テープはプラダン以上に違和感があり、一気に見た目が残念な感じになった。ただし、粘着剤がついているので、テープのように簡単に貼ることができるのは嬉しいポイント。粘着面に剥離紙がついておらずカッターで切りにくいので、サッシ枠の幅が小さい場合は1.6cm幅のテープを選定したほうがよいでしょう。
断熱テープの見た目がいまいちだったので、余っていた窓用断熱シート(E1540)をサッシの幅に合わせて貼ってみました。E1540は透明でストライプ模様なので、断熱シートほど目立たないが、左右がスライドする引違い窓・引戸の場合、奥側のサッシに貼ると窓が開けなくなってしまうので剥がしました。
あまっていたプラダン(黒)のをサッシ枠に貼ってみました。カラープラダンの表面の見た目は悪くはないものの、厚みが4mmもあると何か貼りつけた感がすごいので剥がしました。また厚みが4mmあると引違い窓の奥側の窓がスライドできなくなるので、引違いの窓は扉に貼るのは難しそうです。結局、先述した奥側の窓と接触しない断熱シートに戻しました。
開口部を断熱対策したまとめ
材料 | 熱伝導率(W/mK) |
---|---|
空気 | 0.02 |
漆喰 | 0.74 |
土壁 | 0.69 |
無垢材 | 0.12 |
合板(木) | 0.16 |
ガラス | 1 |
アルミ | 200 |
ステンレス | 15 |
コンクリート | 200 |
モルタル | 1.5 |
石膏ボード | 0.2 |
タイル | 1.3 |
たたみ | 0.08 |
木造住宅でも、二重窓を設置するなどの大掛かりな工事を行わなくても、窓にプラダンや断熱シートを貼ることで、実感できるほどの断熱効果を得られました。断熱効果が高いと部屋の温度が移動しにくくなるので、夏の冷房の消費ダウンにもなりました。
見た目も重視したい場合は、厚さが4mm以上あるプラダンがおすすめです。プラダンを窓に貼る場合は、横方向にして透明の強力両面テープで貼り、カラーは半透明のものを選ぶと、自作感がなくなります。
風が強い日や屋外と室内の温度差が生じたときには、サッシ枠の隙間から冷気が入り込んできます。そのため、隙間テープで外気の侵入を防ぐ対策も必須でした。隙間風は窓の上下左右だけでなく、すれ違い部分からも入ってくるので注意が必要です。
また、窓ガラスだけでなく、熱伝導率が低いアルミサッシも暖房効率を損なう要因となっているため、断熱テープを貼る必要がありました。
コメント
ミラーマットは一般的には鏡など重量のある板上の物を壁面などにはりつける際に使用する両面テープの事です。
シリコン系接着剤が硬化するまでの仮止めが主な役割です。
それにしても素晴らしい断熱対策の数々でした。
そのような用途に使用されるんですね。
勉強になりました。
教えて頂いてありがとうございました。