ビスケットジョイナーとは?
ジョイナーの解説 | 機種一覧 |
特徴
日本では「ビスケットジョイナー」や「ジョイントカッタ」アメリカでは「Plate Joiner」という商品名などで販売されています。ビスケットジョイナーを使うと、2つの材料を釘やビスを使わずに継ぎ合わせることができます。
ビスケットジョイナーで材料同士が接合する部分にカッターを回転させながら溝を切り込んでいきます。その溝にビスケットという薄板をはめこみます。ビスケットで接合するとダボ接着よりも効率がよく、正確で強度の高い継ぎ手加工が簡単に行えます。雇い実や額縁のコーナーにいれる簪(かんざし)の指物技法に似ています。
ビスケット
素材
ビスケットジョイナーのビスケットとは、ブナなどの広葉樹(堅木)を圧縮した薄い木製チップです。
最近では合板でつくられた安価なビスケットもあります。
各社が販売しているビスケットは同じようなサイズなので、他社のビスケットを使用することも可能です。
本機から溝の切り込み深さの微調整も可能です。
膨張
本機で切りこんだ溝と接合部分に木工ボンドを塗りクランプなどで圧着させます。
ボンドの水分を吸ったビスケットは溝から抜けなくなるほど膨張して固まるので、膨張力と木工ボンドを圧着した接着力で頑丈な継ぎ手加工ができます。
(ビスケットは乾燥しても元のサイズには戻りません。)
保管方法
圧縮された木材は水分を吸ってしまうと元の大きさ(厚み)に戻ろうとします。
湿気で顕著に膨張するわけではありませんが、念のため密封された容器などにいれ、湿気を防ぎながら保管したほうがよいと思います。
サイズ
ビスケットは国内のメーカーでは、「株式会社マキタ」が販売しており、海外メーカの本体でも流用することができます。なので、私はDEWALT(デウォルト)- DW682Kを持っていますが、ビスケットはマキタのものを使って接合しています。切り込み深さが微調整できるので、どこのメーカーのビスケットでも使用できると思います。
メーカー:株式会社マキタのサイズ |
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ビスケット | 名称 | 寸法:長さ×幅×厚み(mm) | 切込み深さ(mm) |
#0 | 47mm×15mm×4mm | 8.0mm | |
A-16922 | |||
#10 | 53mm×19mm×4mm | 10.0mm | |
A-16938 | |||
#20 | 60mm×23mm×4mm | 12.3mm | |
A-16944 |
各機能の設定
切り込み深さの調整方法 – 調整ダイヤル
切り込み深さは、調整ダイヤル(ストッパ)を回すことにより、ビスケットのサイズに応じて設定が可能になります。
ビスケットは上の写真のように水分を含ませると、幅が約1mmほど広がったので、私はカッタ(刃)の切り込み深さをビスケットの幅の半分の寸法から、約1mm程 足した分にしています。
上のビスケットの説明欄に公式が掲載している、各サイズの切り込み深さも記載しているので参考にしてください。
切り込み深さ測り方:微調整ができなくなるので気持ち深く掘りましょう。
微調整
切り込み深さの微調整は、上の画像の調整ネジから設定できます。
DW682Kの場合は、特殊ドライバーかマイナスドライバーで調整ネジを左に回すと刃をだすことができます。
調整ネジの位置は各会社によって変わるので、公式ページの説明書を参考にして下さい。
切り込み位置の調整方法
ジョイントの溝を入れる高さの設定方法は、アングルガイドを固定しているねじをゆるめ、昇降つまみを回すことにより、アングルガイドの高さを調整することができます。
写真の赤い印の位置からカッタ(刃)が水平にでてくるので、印の位置を材料の厚さの中心や溝をいれたい位置にあわせましょう。
角度の調整方法
ビスケットジョイナーはフェンスガイドの角度を変えられることができるので、傾斜面に溝をいれることも可能です。DW682Kの角度を設定する方法は、フェンスガイドを固定しているネジをゆるめ、手前にある角度メモリをフェンスの印にあわせて調整します。
使い方
スイッチの入れ方
スイッチはスライド式になっている機種と引き金(トリガー)式になっている機種があります。
スイッチを入れたいときは、トリガーを引けばカッタ(刃)が回転します。
ロックボタン
トリガーを引きながら上にあるロックボタンを押すことにより、トリガーから手を放してもスイッチがはいった状態となります。
ロックを解除する場合は、再度トリガーを引き放せば刃の回転がとまります。
センターマーク
溝をいれたい材料の表面や側面の位置に鉛筆などで中心線を描きます。
(写真では分かりやすく赤ペンで描いています)
溝加工する材料をしっかりとクランプで押さえ、材料に描いた溝の中心線とフェンスガイドの赤いセンターマークをしっかりと合わせ、ずれないようにフェンスガイドを左手で押さえ注意をしながら本機をゆっくりと押し進めていきます。
木工ボンドの塗り方 |
エッジジョイント |
木工ボンドの拭き取り方
継ぎ合わせた際とクランプで圧着した際に、必ず木工ボンドがはみでてくるので、濡れたウエス(布)などで拭き取りましょう。
T字やコーナーを継いで、角からはみでたボンドが上手く拭き取れない場合は、皮スキやスクレーパーのような薄い物に濡れたティッシュや布などを巻きつけ拭き取ります。
塗らした毛先の細いハブラシもおすすめです。
木工ボンドが少しでも表面に残って乾いてしまうと、木目が残るステイン系の塗料で塗装したときに、塗料がのらない場合があるので、はみでてきた木工ボンドはしっかりと拭き取りましょう。
用途にあった継ぎ手加工
平面継ぎ |
エッジジョイント |
継ぎたい板の両端を合わせて中心線を描き、側面に溝をいれていきます。材料の端にいれる溝の中心線が近すぎると端から溝がはみだしてしまうので、端から50mm以上離した位置に描きましょう。
中間にはいる溝は、100mm~150mm間隔で溝をいれるようにします。木材は幅が広くなるほど割高になりますが、幅の狭い板を継ぐことができるようになると、安く天板などを作ることができます。
写真ではビスケットは1段になっていますが、材料が分厚い場合は、ビスケットを二段で入れることによりさらに高い強度が得られます。
コーナー角度継ぎ |
マイタージョイント |
材料の端をスライドマルノコやマルノコを使って45度に傾斜切りします。
フェンスの角度を45度に傾け、中心線と本機のセンターマークをあわせてゆっくり溝を切り込んでいきます。
角度継ぎの場合は、溝の切り込み位置を中央より内側に寄せましょう。
中央に溝をいれた場合、刃がですぎていると裏面まで貫通してしまうので、刃の進行方向には手を置かないようにしましょう。
精度が低いと、どこかに必ず隙間があいてしまいます。
材料は全て同じ長さに切断し、切り込みをいれる角度もしっかりと合わせましょう。
材料の圧着にはコーナークランプやベルトクランプなどを使用します。
用途:家具や箱物など色々
コーナー平面継ぎ |
フレームジョイント |
材料を45度に角度切りにして、中心線をセンターラインに合わせ溝を切り込んでいきます。
角度継ぎと同じで寸法や角度に高い精度が求められます。
固定するクランプも同じようにコーナークランプやベルトクランプなどが必要になります。
用途:扉、額縁、フレーム類、ボード類、など色々な木工品で利用することができます。
T形継ぎ |
T形継ぎ |
写真の垂直に組みつける材料に溝の中心線を描き、その材料をガイドにして、フェンスガイドを折りたたみ、本機を垂直にしながら水平となる材料の中心線とベース面にあるセンターマークを合わせ溝をいれていきます。
フェンスガイドを90度のメモリに合わせて垂直に組む材料にも溝をいれていきます。
どちらの材料を先に溝をいれてもかまわないと思います。
用途:家具、棚板など
集じん
ダストバッグ
ビスケットジョイナーは溝を切り込んだときに、勢いよく後ろから切り屑が飛び出していきます。
作業後の掃除が大変なので、本機の切り屑がでてくる箇所にダストノズルを差し込んで、ダストバッグや集じん機のホースを取り付けたほうがよいと思います。
ダストバッグは挿しこみ式の機種が多いので、邪魔になる場合は横に傾けたほうがよいかもしれません。
ダストバッグにはファスナーがついているので、切り屑がいっぱいになったらファスナーを開け捨てます。
安全上の注意
刃(ブレード)
丸のこなどとは違い、常に刃が隠れた状態となっているので安心感がありますが油断しないようにしましょう。
材料の前や下に手を持っていかなければ、刃で怪我をする可能性は低くなります。
刃を材料につけた状態でスイッチをいれたり、スイッチを入れたと同時に押し進めていくと材料が飛んだり、溝の中心線とセンターラインがずれてしまう場合があるので、刃が最高回転に達してからゆっくりと材料に溝をいれていきましょう。
軍手などが刃に巻き込まれないように、着用せずに作業をおこないましょう。
クランプ/h3> 厚い刃が溝を切り込んでいくので、ある程度 負荷がかかります。 切削している際に材料が動いたり弾かれないようにクランプでしっかり抑えましょう。
作業用保護具
溝加工時は保護メガネを着用し、騒音が大きい作業をする場合は、耳栓などを装着するようにしましょう。