ノギスとは?
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ノギスの使い方 | ノギスは3つの測指を使って、外径、内径、段差、深さを測定することができます。デジタルノギスの機能を使えば比較測定や間隔測定も可能に。 | |
ノギスの機能 | ノギスには、作業効率や煩わしさが解消される機能が搭載されているタイプがあります。 | |
ノギスの読み方 | 一般的な定規と違い、ノギスの目盛の読み方は特殊です。このページではノギスの読み方を誰にでも分かりやすく解説しています。 | |
ノギスの種類 | 用途に応じたノギスが選べるようにノギスの種類の特徴をまとめたページです。 | |
ノギスの性能比較表 | ノギスの機能や性能が一目で分かる比較表です。ノギスの機能や性能を把握しておくことで、自分に合ったノギスが選べます。 |
スケールでは測りづらい計測部分
DIYでは材料やスペースの寸法を測定するスケールや直尺が必須になります。しかし、測定する物や場所によっては、スケールや直尺ですと測りにくいこともあります。物作りで正確な寸法を読み取れないと誤差が生じるので、作品の仕上がりにも影響がでます。
例えば、この日本酒ワンカップ(瓶)の外径や内径と深さを測ろうとしたとき、スケールや直尺で正確にサイズを測定するのは難しいです。なぜなら、ワンカップ(瓶)は円柱形をしているので外径を測りたくてもスケールの爪を引っ掛けられません。
また、爪を引っ掛けられる場所から測定しても、縁や端が面取りされたように丸くなっているので、目で正確に読み取るのが難しいからです。
測りづらい部分の計測に便利なノギス
そこでノギスという計測器を使うことで、容易に「外径」「内径」「深さ」「段差」の4種類の距離を測定することが出来ます。ノギスとは、直尺と内パス・外パスを一体化した測定器で、3種類の測指を使って正確に測定することが可能です。
普通の定規は目盛の間隔が1mmなので1mm単位までしか測定することができませんが、ノギスの場合は2種類の目盛「本尺」と「副尺」を組み合わせて読み取ることにより、小数点以下の数値も測定することも可能になります。色々な物の測定で使われるノギスですが、木工でもホゾや溝を入れる精密を必要と加工では必須となります。
ノギスを販売している有名な国内メーカーは「ミツトヨ」「新潟精機」「シンワ」です。この中で日本で作られている製品を販売しているのは「ミツトヨ」です。
ノギスの測定方法
3種類の測指で「外径」「内径」「深さ」「段差」を測定できる
ノギスには「外側用ジョウ」「内側用ジョウ」「デプスバー」3種類の測指があります。測定面で測定物を挟んだり、密着させたりすることで、「外径」「内径」「深さ」「段差」の4種類を計測することができます。
ノギスの持ち方
計測するときはスライダーの指かけに右手の親指をかけ、前後にスライドさせながら測定物を挟みます。
測定の誤差を抑えるためには、測定器測定部の「同じ個所」「同じ測定力」で測定作業をすることが大切となります。
外側用ジョウ|外径測定
スライダーを左にスライドさせて、外側用ジョウの測定面で測定物を挟むことにより、物の外側の長さや外径を測ることができます。外径の測定を行う際はなるべくジョウの元のほうで挟みますが、ニゲの部分で挟んではいけません。
測定物を測定面の先端の方で挟んだり必要以上に力をかけると、ジョウが歪んでしまうので正確な測定が出来ません。また、測定物が柔らかい素材だとわずかに凹んでしまうこともあるので、スライダーに力をかけすぎにないように気をつけます。プラスチック(樹脂)タイプのほうが大きな曲がりが発生しやすいが、ステンレスでもわずかな曲がりが発生する。
内側用ジョウ|内径測定・段差測定
スライダーを右にスライドさせて、内側用ジョウ(クチバシ)の測定面を測定物の内側に密着させることで、容器や穴の内径を測ることができます。また、内側用の2つのジョウは段差になっているので、スライダー側のジョウの反対側の測定面に密着させることにより、段差になっている部分の距離を測ることもできます。
内側用ジョウはなるべく深くいれて測定しなければいけませんが、ニゲの部分より深くならないように密着させます。内側用ジョウの先端部分で密着させると傾斜しやすくなるので、正しく測定できなくなります。
デプスバー|深さ測定
スライダーにはデプスバーが付いているので、スライダーを後ろにスライドさせることによりデプスバーも伸びていきます。本尺の端がデプスバーの基準面(基準値)になるので、底面に当たるまでデプスバーを下げることにより穴の深さを測ることができます。
穴の直径が小さい場合は、デップスの基準面を穴の縁に橋渡しにしてデプスバーを底面まで下げていきます。逆に穴の直径が広くて、デップスの基準面を橋渡しできない場合は、デプスバーを穴の内面に密着させながら下げていきます。
デプスバーにニゲがある場合は、ニゲのある面を穴の内面に密着させて測定します。穴の角が無かったり、角にバリ等があると正しい深さが測定できないからです。
ノギスの機能
最小読取値
ノギスは種類によって最小読取値が異なるので選ぶ際には注意が必要です。最小読取値とは、ノギスが読み取れる最小測定単位のことです。例えば、最小読取値が0.1mmのノギスの場合、副尺(バーニヤ)の一目盛の間隔が0.1mmになっているので、1.1mm、1.2mm、1.3mm、1.4mm…と小数点第一位まで読取ることができます。
一般的なノギスの場合、最小読取値が0.02mmや0.05mmと小数点第二位まで読み取れる製品もあります。ダイヤルノギスやデジタルノギスになると、最小読取値が0.01mmの製品もあるので、高い精度を求める作業では細かい値まで読み取れる製品のほうが適しています。
止めネジ
ノギスにはスライダーを固定することができる止めネジが付いているタイプがあります。スライダーの固定、すなわちジョウを固定することができるので、測定値の保持や必要寸法選別の検査具として使うことができます。
ノギスで測定物を測定する場合、ジョウを測定物に挟んだ状態で目盛を読み取ることができない箇所があります。そんな時はノギスを目の前に移動させて目盛を読み取りますが、ジョウを測定物から抜いた際にジョウがわずかに開いてしまうことが多々あります。そこで止めネジでスライダーを固定して、ゆっくり測定物からジョウを抜けばジョウが開かずに済みます。
しかし、止めネジでスライダーを固定しても0.1mm以下ではあるが、ジョウがわずかに開くことがよくあります。旋盤などの作業で高い精度を求める場合は、測定値が保持できるHOLDボタン付きのデジタルノギスのほうが適しています。
サムローラー
ノギスにはサムローラーがついているタイプがあります。サムローラーはジョウの開閉操作が簡便に行える送り機構なので、親指で回すことによりスライダーを片手で前後にスライドさせることが出来ます。微調整ができるので、同じ寸法の測定物を選別する作業に適しています。また、測定箇所や作業者の姿勢により、ジョウの開閉操作が難しいシーンもあるので、そのようなシーンでも活躍する機能です。
液晶画面が見えないときに便利なホールド機能
ホールド機能が搭載されているデジタルノギスには、スライダー部分にHOLDボタンがついています。測定後にHOLDボタンを押すことにより、表示されている測定値を保持することが出来ます。そのため、ジョウを開いたり閉じたりしても測定値が変わることがないので、表示が見えないときにHOLDボタンを押すと、ジョウを開いて目の前に移動させても測定値を読み取ることが可能になります。
ゼロセットスイッチがあるから比較測定ができる
ゼロセットスイッチのあるデジタルノギスは、任意の場所で「0」(基準点)にすることが可能なので、計算をせずに比較測定をすることが出来ます。
写真の穴の直径にノギスを合わせZEROスイッチ押して表示を「0」にセットします。次に丸棒を測定することにより、穴径と丸棒の直径の寸法の差が測定出来ます。写真では穴の直径より、丸棒の直径のほうが0.16mm広いことが分かります。
この程度の寸法の差であれば、強く押し込むことで差し込むことができます。また、丸棒を差し込めなくてもある程度の差であれば、木は殺せるので問題ありません。しかし、あまりに双方の寸法の差が大きすぎると、丸棒を差し込んでいる途中や、湿気を含んで膨張したときに割れることがあります。
上は幅30mmで加工した材料、30mmにノギスを合わせてZEROスイッチを押して「0」にセットします。そのまま切断した材料の幅を計測することにより、30mmと材料の幅の寸法の差が簡単に測定できます。このように必要寸法選別の検査具として利用することも可能です。
ゼロセットスイッチがあるから間隔測定ができる
ゼロセットスイッチを利用することにより間隔測定も行えます。例えばDIYでは、既存の物のネジやボルトが入る2つの穴のピッチ(中心間の距離)を測りたいときがあります。アナログノギスで、この同じ二つの穴のピッチを求める場合、二つの穴の外々を計測して、穴の直径をマイナス(計算)して求めます。
デジタルノギスの場合ですと、Aの穴にノギスを合わせZEROボタンを押して、次にAからBの外々の距離を測ると、Aの穴の中心とBの穴の中心の距離がデジタルに表示されます。穴ピッチ用ノギスはとても高価(3万円以上)しますし、アナログノギスと違って煩わしい目盛の読み取りと計算が省けるので、ゼロセットスイッチは便利な機能です。