手押し鉋とは?
手押し鉋は定盤の下で大きな刃を2枚~高速回転させながら、木材の表面全体を削る木工機械です。
丸太はバンドソーなどで製材され角材となりますが、この角材は4面が粗く矩(直角)や平面がでていない状態です。
また角材の状態から、さらに乾燥が進むと反りやねじれも生まれます。
この荒材などの「反り、ねじれ、むら」をとり、平面や矩(直角)をだすのが手押し鉋の仕事です。
「反り、ねじれ、むら」のイラストはこちらのページからどうぞ。
木表のAを削り、側面Bを削ります。 | 平面がでて交わる部分が直角になります | 定盤と定規の交わる部分は直角 |
反りなどの補正+直角をだし基準面を作るのが手押し鉋の仕事
この手押し鉋で角材の幅や厚みを揃えることはできません。
1の画像はわかりやすく誰が見ても幅や厚みが揃っていないオーバーな状態にしていますが、この画像のように荒材というのは幅や厚みが正確に揃っている状態ではありません。
この状態で4面を手押し鉋で削っても各面が平面になるだけで、幅や厚みは揃いません。
この機械を調べているレベルの人ならわかると思いますが、前後左右 何処かの幅や厚みが0.5~1mmでも狂っていれば、使う部材によりますが製作した作品にがたつきや段差が生まれます。
1.手押し鉋は前後の定番と定規が直角になっているので、A面を前定盤にのせて、ゆっくりと押し進めて削っていきます。材料が後定盤にかかったら、後定盤側を押し付けながらゆっくり進めていきましょう。
2.次に平面のでたA面を定規に押し当てながらB面を削ることにより平面と矩をだすことができます。
この2面の平面と矩を基準にして平行に削ることができる自動鉋に材料を送れば、何処から計っても厚みや幅がきまっている角材となります。
平行に削り幅が揃っているので、全ての角もきちんと矩がでています。
つまり、荒材などの反りを直し厚みや幅をきちんとだす場合は、手押し鉋と自動鉋の2セットが必要になります。
切り込み深さの調整方法
前定盤の下:深さ調整ダイヤル | 同じ高さの後定盤と前定盤 | ダイヤルを回して前定盤の高さを調整 |
前定盤の真下のダイヤルを回すことにより、前定盤の高さを変えられます。(後定盤の高さは固定されています。)
前定盤と後定盤の段差の分だけ材料が削れるので、高さを調整することにより切り込み深さの調整が可能になります。
切り込み深さが深すぎると、刃が欠けたりしやすいので、私はいつも0~1mmづつ削るようにしています。
硬い生節などがある場合は、刃が欠けやすいので切り込み深さに浅くします。
送るスピートも早すぎると節が欠ける場合もあるので、ゆっくり送ります。
生節は堅く材料が跳ねたり予想外のことが起こる場合があるので、節の位置は常に確認する癖をつけましょう。
側面にも節が隠れている場合があるので気をつけましょう。
スピード調整
回転数調整ダイヤル
ダイヤルを回すことにより、刃の回転を調整できる機種があります。
手押し鉋は最大回転数で刃が回転すると、非常に大きな音がしますが、回転数が下がれば音も若干静かになります。
送る材料の幅によっては回転数を下げても問題なく使用できますが、あまりに回転が遅すぎるとナイフマークが目立ち、材料が削れずに引っかかる場合があるので、事故の元になる場合もあります。
材料の送り方
手押し鉋で基準面を作る動画 | 基準面を作り自動鉋で残りの面を削る動画 |
材料を前定盤にのせて、ゆっくりと押し進めて削っていきます。
後定盤と前定盤の高さの差が切り込み深さなので、材料が後定盤にかかったら後定盤側を押し付けながらゆっくり進めていきましょう。
なるべく刃の上にはなるべく手をもっていかないようにしましょう。
安全カバー
安全カバーの写真 | 材料を送っている状態の写真 | 屑が貯まると戻る力が弱くなる。 |
安全カバーは回転する刃の上にあるので、手や衣類などが巻き込まれないように、刃(ブレード)がむきだしにならない状態となっています。常に奥の定規(矢印)の方向に戻る力が働いているので、材料の幅に応じて安全カバーが開くので、送っている最中も刃が隠れている状態となります。
安全カバーはスムーズに動く(戻る)ようになっていますが、長く使用していると安全カバーの裏面には木粉が貯まり動きが悪くなったりする場合があります。動きが悪くなった場合は、この木粉などがネジ下の赤○部分に詰まっている可能性が高いので、固定されているネジを外して掃除してあげましょう。
集じん
ホースジョイント 横や後部にあり | 手押しカンナのカンナ屑 | 細いカンナ屑 |
手押しカンナは二枚の刃を高速回転させながら材料を削っていくので、手鉋とは違った細いカンナ屑が大量にホースジョイントなどから勢いよく飛び出してきます。
集じん機や自作のダストボックスなどを取り付けないと、作業後の清掃が大変になります。
刃からカンナ屑が飛び出してくると、どこかでカンナ屑がつまっている可能性があるので、機械をとめて確認しましょう。
プッシュブロック
プッシュブロック | プッシュブロック+プッシュスティックの動画 |
手のかわりに押さえてくれる
プッシュブロックとは材料を押さえつけられることができる道具(押さえ具)です。
材料の厚みがあるとプッシュブロックでは送りづらいですが、もし材料が弾き飛ばされたりすると、手はその場所に残り下に押し付けているので、そのまま刃に巻き込まれる可能性があります。
板が薄かったり短い場合は、必ず付属のプッシュブロックを使いましょう。
私の場合は怪我の元となるので、厚みが5cm以下の材料はプッシュブロックを使うようにして、40cm以下の材料は流さないようにしています。
薄い板や短い板は事故につながりやすいので、必ず説明書に記載されている厚みや長さの数字を守って削りましょう。
誤って手をいれてそのまま巻き込まれてしまうと重症を負います。
プッシュブロックを使えば、事故が起こっても手を巻き込まずに済む場合があるので、プッシュブロックを使って送れる材料は使用するようにしましょう。
プッシュブロックが付属されていますが、付属されていない場合は自分で作る方もいますし、別売りで販売されているので購入することもできます。