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木に直接タップ(雌ネジ)を立てる方法

この記事の動画は↑からどうぞ(詳細はブログに記載 執筆中)。

基本的に木同士をボルトで接合したい場合や、木に何かをボルトで固定する場合は、木にナットを埋め込むことができる「鬼目ナット」や「爪付きTナット」が使用される。しかし、最もよく使用される鬼目ナットはM10以上だと1個60円ほどするため、組立家具や治具などで複数使用すると出費が重なってしまうのだ。

そこで、金属にタップを立てる*1ことができる「ハンドタップ」や「スパイラルタップ」を利用して木に雌ネジを刻むことができないか実験してみた。ちなみに10年以上前に「のほほん木工房」さんのサイトを見ながら、木でボルトやナットを作ったことがあるが、丸棒にうまくネジ山を作ることが出来ず断念した記憶がある。

*1タップを立てる(雌ネジを作る)

スパイラルタップ

まずはじめに金属用のスパイラルタップで木にタップを立ててみることに。スパイラルタップは電気ドリルなどに取り付けて使用することにより、下穴をあける作業とタップを立てる作業が同時に行える特長を持つ。

スパイラルタップの仕上がり

木材に綺麗な穴があけられない鉄工ドリルのため、ところどころネジ山が欠けてしまう結果となったが、こんな雌ねじでもボルトを効かせながら締め付けることは可能であった。しかし、見た目が美しくないうえ、耐久性や強度に不安があったため、木材で使うことは難しく感じた。

タップダイスセット

次に金属用のタップダイスセットに入っているハンドタップを使って雌ねじを刻むことに。基本的に手作業でタップを立てる場合、あらかじめ下穴をあけておく必要があるため、木工ドリルを使って下穴をあけることに。

木工ドリルの種類

Amazonなどの通販サイトで「木工ドリル」と検索すると写真のような2種類のタイプの商品がヒットするため、どちらを選んだらよいのか悩む人も多いのではないだろうか。今回は2つのドリルで下穴をあけてどちらがタップの下穴に適した穴があくのか比較してみた。
呼び下穴経
M65.0mm
M76.0mm
M86.8mm
M97.8mm
M108.5mm
ちなみにタップの下穴のサイズは「ねじ下穴径表」で検索すると適したサイズがヒットする。個人的に使用頻度の高いボルトのサイズだけ上記に記載。ちなみに金属の場合、下穴経が少しでも小さいとタップが折れてしまう原因となるが、木は金属と違い強い力を加えると縮むため、例えばM8は7mm、M9は8mmの下穴でも問題とならない。

木工ドリル(穴の比較)

結果はどちらも綺麗な穴をあけることができたが、双方の穴の側面を比べると大きな差がひらいた。①の木工ドリルのほうは穴の周りをけがくケガキ刃がついているため、穴の側面はバリ1つでない綺麗な仕上がりになった。また、ドリルドライバーなどに装着して穴をあけた場合、①のほうが効率よく穴をあけることができた。

木工ドリルの先ネジタイプと先三角タイプの違い

基本的に①の木工ドリルには先端が[先ネジタイプ]と[先三角タイプ]の2種類があり、貫通穴をあける用途では押さえつけなくてもスムーズに穴をあけられる[先ネジタイプ]、好みの深さで止めたい場合は押した分だけ穴あけが可能な[先三角タイプ]が適している。ただし、[先ネジタイプ]はボール盤では使用できないので注意。使用しているものはスターエムさんの(先三角ショートビット 8.5mm)。

ラチェット タップハンドル(木)

前述したようにネジ山の欠けが発生しにくいであろう①の穴にタップを立てることに。タップはタップダイスセットに付属されているタップを「ラチェット ハンドルタップ」に装着して立てることに。タップの角い部分をラチェットに噛ませないと空回りにするので注意。

木にタップ(ネジ溝)

タップダイスセットに付属されているハンドルタップに比べるとブレやすいため失敗したと思ったが、意外に綺麗なネジ溝を刻むことができた。もちろんM10のボルトともしっかり噛み合い治具や組立家具でも十分使用できそうな感じがした。
これならおそらくドリルドライバーをつかってスムーズにタップを立てることも可能だろう。近いうちに木製用のタップと、ネジ山を欠けさせないように適切なスピードで送れる治具を一緒に作ってみたい。

ボール盤にタップを装着

自分のように不器用で垂直に立てられなかったり、タップを立ててる途中にブレたりする場合は、ボール盤を使用することで垂直かつブレずにネジ溝を刻むことができる。ボール盤のドリルチャックにタップを取り付けて、ハンドルをゆっくり降ろしながらドリルチャックを手で回していく。この作業中に誤ってボール盤のスイッチが入ると危険なので、ボール盤のコードは抜いてタップを立てたほうがよい。

木に立てたネジ溝

一番上の雌ねじがボール盤でタップを立てたもの。インパクトとソケットを使って何度も緩めると締める動作を繰り返したが、ネジ山が欠けたり潰れたりすることはなかった。これで構造物をつくるわけにはいかないが、家庭で使用するような家具やちょっとした治具であれば、鬼目ナットを使う必要はないと感じられるほどしっかりしている。手で回せないほど硬い場合は、機械油を穴に差すとよかった。
近いうちにタップを立てるのに時間がかかるため、ドリルドライバーなどで効率よく雌ネジを立てられる木用タップと、垂直+ブレずにタップを噛ませることができる治具を作って追記したい。

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