回転回転バレル研磨機で柔らかい1円/5円硬貨も磨けるの?
10円硬貨を回転バレル研磨でキレイにした記事に、「柔らかい1円玉や5円玉もキレイになるのか?」というコメントを頂いたので、空いているバレル研磨機(KT-2000)を使って、1円や5円硬貨を研磨してみることに。
回転バレル研磨機で硬貨を磨くレシピ(2022年版)
板状のワークは研磨槽の内壁・蓋・底に張りつきやすいため、片面だけが偏研磨されるものがでてくる。そこで、硬貨が研磨槽の内面に張りつくのを防止するため、張りつきやすい面にシリコーンシーラントを点付けした研磨槽を使用。研磨槽が1つなら、バスボンド(50ml)で足りる。 一ヶ月近く延々と回したことがあるが、点付けしたもコーキングが取れることはなかった。
コインの光沢仕上げで使用するメディアは以前と変わっておらず、ステンレスボールにステンレス製のUFO型/ピン型/磁気バレル用メディアを混ぜたものを装入。一般的にマス(メディア+ワーク)の装入量は研磨槽の容積の1/2を多様するが、ステンレスメディアの場合は少量でも問題ない。そもそも、ステンレスメディアを研磨槽容積に対して50%も用意するとかなり費用がかかるうえ、モーターに高負荷がかかるという。
研磨槽の中にメディアと硬貨を投入。この際、Φ210mmの広口ロートがあるとメディアを簡単かつこぼさずに装入できるので便利。広口の漏斗(ジョウゴ)を使用してからメディアの交換がストレスフリーになった。以前は少し小さいΦ120mmのロートを使用していたが、こぼれることがあったので、迷わずΦ200mm以上のサイズを選びたい。
水位はマス表面(メディア+ワークの塊)より(1cm~2cm)高めが最適。特に粉のコンパウンドを添加したときに、水量で光沢具合が大きく変わるので注意を要する。
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水位はマス表面に一致させたほうが研磨能率は高くなるが、小型のバレル研磨機だとトルク不足で研磨槽を回せなくなるので、マス表面より水位を数cm高めにしたほうがよかった(比重が大きいステンレスメディアの場合)。
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水位はマス表面に一致させたほうが研磨能率は高くなるが、小型のバレル研磨機だとトルク不足で研磨槽を回せなくなるので、マス表面より水位を数cm高めにしたほうがよかった(比重が大きいステンレスメディアの場合)。
コンパウンドは液体のNS ピンクコンパウンドを使用。1ℓに20ccなので多めに10ccくらいを添加した。以前はコンパウンドの量をデジタルスケールで測定していたが、測りに手間がかからない10cc(10ml)のスポイトがあると便利。前述した水位を守れば、粉末コンパウンド(FX-06)でも明るい光沢をだすことができる(光沢具合はピンクのほうがやや上か)。
研磨槽の回転スピードは一番遅い1に設定。現代で使われている硬貨だと、1~2時間回せばピカピカになるが、さらに光沢をだしたい場合や、後述する鏡面仕上の工程に進む場合、24時間回すとよいだろう。24時間回す場合は、コンパウンドの耐久時間がくる12時間後に水とコンパウンドを交換したい。
マスの表層部に形成された水上の流動層を硬貨が滑落しているのがミソ(以前は高速回転させてパンチングで研磨していた)。少ないメディアでも長めの流動層ができるのは、研磨槽にフラットな面がある六角形状のため、メディアが上まで持ち上がりやすいからである。モーターが非力だと重たいステンレスメディアを持ち上げられずに止まってしまうが、先述したように水位をマス表面より数センチ高くしているので、メディアが崩れ落ちやすくなり、回転し続けることができる。
市販されている鏡面仕上げ用のソフトメディア(クルミの外殻に研磨剤をコーティング乾式用メディア)で硬貨を鏡面にしようとすると一週間ほど長い時間がかかる。過去にバレル研磨で鏡面にした10円硬貨も100円硬貨も、鏡面仕上げの工程でかなり時間がかかった。
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その後、ソフトメディアの母材(クルミ)より、質量が大きい竹チップを使用すると、鏡面にする研磨能率が大きく向上することを知り、爬虫類の床材(くるみの外殻)と斜めに切断した竹割箸にピカールを添着した自作のメディアを使用している(作り方は下記事参照)。
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クルミと竹チップの割合は1:1。ピカールは大さじ4杯ほど添加しているが、メディアが内壁に張り付かない程度なら多めに入れても問題なかった。ピカールを多く添加してしまってベトベトになってしまった場合は、メディアを足すことで研磨槽の内壁に張りつく問題を解消できる。
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その後、ソフトメディアの母材(クルミ)より、質量が大きい竹チップを使用すると、鏡面にする研磨能率が大きく向上することを知り、爬虫類の床材(くるみの外殻)と斜めに切断した竹割箸にピカールを添着した自作のメディアを使用している(作り方は下記事参照)。
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クルミと竹チップの割合は1:1。ピカールは大さじ4杯ほど添加しているが、メディアが内壁に張り付かない程度なら多めに入れても問題なかった。ピカールを多く添加してしまってベトベトになってしまった場合は、メディアを足すことで研磨槽の内壁に張りつく問題を解消できる。
バレル研磨用の竹チップを竹割箸で自作する
竹チップとは? 装飾品やメガネフレームなどの合成樹脂(プラスチック/アクリル)の光沢仕上で用いられる竹チップ。クルミの殻と同じように油脂をつけてアルミナや酸化クロムなどの研磨材をコテーィングされたものが回転バレル研磨機の乾式メディアとして使...
研磨槽を回すスピードはマス表層部の流動層を硬貨が滑落するスピードに調整。KT-2000だと0.5前後が最適なスピードなので、本機の電圧を下げてスピードを1以下に調整できるスピードコントローラーが必須。
回転バレル研磨で磨いた結果
5円硬貨
家中からかき集めた5円硬貨。光沢は一切なく錆びて黒ずんでいる。
マス装入量 | 水量 | メディア | 研磨剤 | 時間 | スピード |
50% | マス面上20mm | ステンレス | ピンクコンパウンド (10cc) |
48時間 | 1 |
※水とコンパウンドは12時間で入れ替え
1日で錆びて黒ずんでいた5円硬貨は金メダルのように眩しい仕上がりとなった。使用したコンパウンドには、研磨剤の他に[洗浄剤]・[脱脂剤]・[光沢剤]が配合されているので、酸性の液体に漬けて錆や汚れを落としただけの硬貨とは違い、インゴットのような神々しい輝きを放っている。
管理人
コインや硬貨をとってもキレイしたいのであれば光沢仕上げで十分です!
マス装入量 | メディア | 研磨剤 | 時間 | スピード |
50% | クルミ 竹 |
ピカールネオ #4,000 |
24時間 | 0.5 |
以前は1週間前後かかっていたが、たったの1日で5円硬貨の表面に反射した背景がくっきりと映るようになった。さらに数日間回したり、#10,000前後のコンパウンドを使用すると仕上状態は向上すると思うが、老いてきた目には、違いがよくわからないのでここで止めたい。
管理人
コレクションなど特別なものをさらにピカピカにしたい場合は、鏡面仕上げにしたほうがさらに美しくなります。
1円硬貨
未検証
コメント
個人的にいろいろと試しましたが、湿式では1円玉は真っ黒になってだめですね
100円や10円や5円も目の細かいコンパウンド(ピカールなど)を入れすぎると黒くなりますが、中性洗剤とクレンザーを500円玉大くらい入れて回すと手軽に安く光沢仕上げになります
1円はクレンザーで研磨しても全く復活しない
アルミのためなのだと思いますが、かなり難敵な気がします
・ピカールや市販のコンパウンド
>水と油を混ぜようとしている
・1円硬貨
>柔らかい粘土を金工用ヤスリで磨こうとしている
情報ありがとうございます。
メディアの情報がないので何とも言えませんが、失敗を分かりやすく例えると上記の様な無謀なことをしている感じですかね。
私も硬度・pH・添加しているものの成分を理解していなくてやらかしたことがありますし、今も苦戦している素材があり毎日格闘しておりますです。