アルミ缶を光の速さで研磨したい
アルミ缶の塗装を剥がす方法を調べると、スチールウールや紙やすりなどを使って手で研磨する方法や、缶を加熱して剥離剤を使って剥離する方法が紹介されていますが、これらの方法では手間と時間がかかり、途中で作業が嫌になってしまうこともあります。
そこで、ドリルドライバーを使ってアルミ缶を回転させるビットを自作しました。回転させたアルミ缶にヤスリを当てることで、効率よく塗装を剥がせると考えたのです。実際に何度か失敗はしたものの、アルミ缶の塗装を効率よく剥がすことができました。
本記事では、そのビットを使い、アルミ缶の表面をなるべく削らずに塗装を綺麗に剥がすためのポイントを詳しく解説します。アルミ缶を回転させるビットの作り方については、下記の記事をご参照ください。
電ドラでアルミ缶を回転させる先端工具を自作
ドリルドライバでジュースの缶を高速回転させたい アルコールストーブをアルミ缶で作る動画を視聴していると、缶の塗装を手作業で剥がすシーンをよく見かけます。最近、自分も送風式のウッドストーブを缶で自作していますが、手作業で塗装を剥がすと、多大な...
綺麗に剥がすためのポイント
未開封のまま研磨する
中身が入っている缶を使うことです。中身が入っているとアルミ缶が内側から支えられ、研磨中に過剰な力をかけても凹みにくくなります。また、中身の重さにより、回転する缶が安定し、研磨中に動きにくくなるため、均一に研磨しやすくなります。中身が入っていない缶でも塗装は剥がせますが、力を加えると凹みやすくなり、作業がしにくくなります。
水研ぎで塗装を剥がす
アルミ缶の塗装を剥がす際に空研ぎペーパーを使用すると、番手を細かくしても仕上がりが粗くなり、力を入れずに押さえても全ての塗装を落とす前に穴が開いてしまいました。また、空研ぎは目詰まりしやすく、頻繁に紙やすりを交換しなければならないため、作業が効率的ではありませんでした。さらに、アルミや塗料の粉塵が発生するため、作業者の健康リスクが高まるうえ、清掃の負担も大きくなるデメリットも存在します。
一方、耐水ペーパーで水研ぎをすると、アルミ缶の穴が開きにくくなりました。耐水ペーパー#400以上を使うことで、しつこく磨いても穴が開くことはありません。また、空研ぎより目詰まりしにくいため、手のひら一枚サイズの紙やすりで10缶ほどを研磨できました。水が研磨粉を流し、空気中への飛散を防ぐため、作業環境が清潔に保たれるメリットも大きいです。
中性洗剤で添加する
研磨時の抵抗が減るためか、中性洗剤を使ったほうが塗装の落ちるスピードが早く感じました。また、添加されている界面活性剤や増粘剤のヌメりが潤滑剤として働き、研磨面が滑らかになり、#400の紙やすりでも光沢のある仕上がりが得られます。さらに、pHが4以下または9以上の場合、アルミニウムの表面に形成された保護膜が溶解しやすくなり、腐食が進行しやすくなります。したがって、中性条件(pH 4〜9)で研磨できることも大きなメリットです。
耐水ペーパーを洗剤のついた手で持っていると滑りやすい状態になるため、アルミ缶を高速回転させたときに、回転の力によってペーパーが吹き飛んでしまいます。そのため、耐水ペーパーを輪ゴムでしっかりと固定することで、吹き飛ぶのを防ぐことができました。
コンパウンドで仕上げる
個人的には、耐水ペーパー(水研ぎ)#400~600で仕上げただけでも光沢があり、表面の仕上がりに満足できました。
しかし、研磨があまりにも早く進むため、楽しくなってしまい、さらに光沢を出すためにコンパウンドを使ってみました。青棒を軍手にこすりつけて磨きましたが、わずか2~3分で鏡面仕上げにすることができました。青棒は油脂で固められた固形研磨剤ですが、軍手に油や中性洗剤をつけて強くこすれば溶かすことができます。アルミ缶に光沢を出す場合、ピカールがよく使用されていますが、たくさんの缶を磨く場合は、少量で効果を発揮し、長期間長持ちする固形の青棒のほうが経済的です。
曇りのない鏡面にしたい場合は、赤棒・白棒・青棒がセットになったものを購入し、赤棒→白棒→青棒の順で磨くことで、さらに光沢のある鏡面仕上げが可能でした。ただし、よく見ると耐水ペーパー#400の傷が残っているので、#1000以上の耐水ペーパーで仕上げてからコンパウンドで磨いたほうがよいでしょう。
実際に自作ビット+水研ぎで研磨した動画
実際に記事で紹介した方法で研磨した動画は、YouTubeでご視聴いただけます。この動画では、耐水ペーパーを使用して塗装を剥がすスピードや、青棒で鏡面仕上げにするスピードを確認できます。また、研磨後の表面の仕上がり状態も詳細にご覧いただけます。
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