旋盤を使わずに円柱形の木の容器を作ってみるのまき
ホールソーに2枚刃!?間違ってるけれど斬新な使い方
ホームセンター通販のDCMオンラインさんがYoutubeでアップロードしている「木工用ホールソーの使い方」では、ダイカストに刃をすべて取り付けながら穴をあけている。おそらく撮影している人は知識がないために誤った使い方をしてしまったと思うのだが、刃を2枚つけた状態で穴をあけると一発で木を一発でドーナツ状に加工できるのではないかと試してみることに。
木を高い精度でドーナツ状に加工できれば、素人でも旋盤を使わずして円柱状の木の容器が作れるうえ、長さが20cm未満の端材を一気に消費できると胸を高鳴らせる。ちなみに、過去に厚さ19mmの円形の木の中心に大きな穴をあけようとしたことがあるが、難易度が高かった。手間がかかるうえ、ボール盤で加工しても微妙になずれ(mm以下)が発生してしまうのだ。
刃の抜け落ち対策(刃が吹っ飛んでくる)
木工用ホールソーは刃をねじで固定しているバイメタルホールソーと違い、薄い刃についた2箇所のカギ部を本体に組み付けて固定しているため、刃が本体から抜け落ちやすいデメリットが存在。使用中に刃が外れると刃がへし曲がって飛来する可能性が高く、自分も過去に刃を何枚か破損させたことがある。Amazonのレビューでも過去の自分のように刃が外れて破損した人が散見される。
本体から抜け落ちやすい刃をしっかり固定する解決策は、刃の真円を保ちながら少し広げてやることだ。刃の両端を持って少し広げてやることで刃が本体から抜け落ちにくくなるため、それ以降は刃が破損することもなくなった。今回動画や記事で使用しているホールソーも8年前に購入したものだが、刃が少し錆びついてはいるものの、現在も問題なく木に大きな穴をあけることができる。
2枚刃を取り付ける(自己責任)
自分が持っているホールソーは8年前のものなのでもう販売されていないかと思ったが、注文履歴を見てみるとE-Valueが販売しているもので現在も注文可能であった。同社のホールソーは刃巾が20mmとなっており、刃のサイズが25/32/45/51/57/63(mm)の6種類が用意されている。今回、一番刃の大きい63mmと45mmの刃を取り付けて木に穴をあけてみた。
手がもっていかれない対策
今回、負荷のかかる間違った使い方+短い端材を使用するため安全対策を行った。基本的にボール盤で加工をすると材料は時計周りに動こうとする。この際に手も一緒に持っていかれると刃に接触して怪我をしてしまうので、材が回転しないように超簡易的なテーブルに素早く抜き差しできる丸棒(ストッパー役)を立てた。
材料を丸棒に接触させながら加工することで、材料は右に回転することができないので、丸棒が折れないかぎり手が持っていかれる可能性はグッと下がるだろう。材をしっかり固定する対策はホールドダウンクランプ、トグルクランプ、フェンス等でも行えるが、100枚以上加工する予定だったので少しでも手間のかかるものは避けた。
刃が飛来したときの対策
このタイプの木工用ホールソーは使用中に刃が外れると刃が飛来することがあり、自分に向かって飛んできたときの対策のため、フェイスシールドと腕カバーを着用した。基本的に腕カバーは常につけている。フェイスシールドはテーブルソーを使用しているときに着用しているものだ。一度切れっ端しが飛んでいって石膏ボードに突き刺さったのを見て以来着用している。
切断してみるまき
やはり一枚刃より負荷がかかるうえに切断に少し時間はかかるものの、思ったほどではなかった。ストッパー代わりをしている丸棒も大いに役立ち、手にそれほど力をいれなくとも短い端材をしっかり固定できた。そのまま、20枚ほどくり抜いたがホールソーの本体や刃に不具合はおきなかった。
イカリングができあがった
ホールソーに2枚の刃を取り付けると想像していた通り、木をドーナツ状(以降イカリング)に切り抜くことができた。ただし、表面から一気に貫通させてしまうとイカリングが刃と刃のあいだに挟まり、それを取りだすのに刃を取り外す手間がかかった。そこで、板の厚みの半分ほど切断してからひっくり返して切断したが、外側と内側の真ん中あたりに目立つバリが発生。
外側のバリ取り+研磨
ひとつひとつ手作業で研磨すると頭が沸いてしまうほど時間と労力がかかるため、効率化を測るためにドリルドライバーのドリルチャックにイカリングを差し込んで研磨。イカリングがゆるくて抜け落ちてしまう場合はドリルチャックにテープを貼って直径を微調整。動画や画像では養生用の紙テープを貼っているが、滑りにくいビニールテープのほうがよかった。なお真ん中に発生したバリは金属製のヤスリをつかえばすぐに除去できた(動画で使用しているものはタジマのドレッサー)。紙ペーパだと#60~80から始めたほうがよさそうだ。
穴の内側のバリ取り+研磨
穴の内側のバリ取りと研磨には曲面や孤面の研磨に最適な「SK11のスピンドルサンダー」を使用。ドラムサンダーが回転しながら上下運動するので効率よく研磨することができた。ただし、このメーカーの製品は連続使用時間が30分と短いので慌てて作業をおこなった。
表・裏面の研磨
最後に表と裏面をベルトディスクサンダ(RYOBI)で研磨。
接着+圧着
大雑把に研磨したイカリングに木工ボンドを塗布しクランプで圧着して一日放置。クランプで圧着したときにイカリング同士が滑りやすいため、イカリング達を束ねて接着する場合は、簡単に位置調整が行える治具があると便利だと感じた。
写真の方法だとクランプで締めつけた際にイカリングが滑って位置ずれが置きても、玄翁で上・右部を叩けば元の位置に簡単に戻せた。一番左の当て材は中央に穴をあけずにホールソーでくり抜いたもの。
塗装(蜜蝋)
接着したイカリング達を再度ドリルドライバーのチャックに差し込み、回転させながら蜜蝋で木目が引き立つように塗装。
完成
青海波文のような和柄のペン立てが完成した。
けっこう色々な用途に使えそうなので、とりあえずは雑多な作業部屋の壁や台の上に設置して、色々なものを収納すために量産したい。
柔らかい材料を木工ホールソーで加工すると春目がめくれて、そのめくれた部分を平らにするには、周りの冬目を削らないといけないため、研磨するのに時間がかかり、投げやりになることから、外側の仕上がりに荒がでた。
なにかもっと素早く研削できるようなものを考えて追記したい。逆にホイールワイヤーブラシやホイールサンダーみたいなもので柔らかい春目を削って浮造り加工を施したほうが手っ取り早いかもしれない。
作ったもの
ペン立て
よく鉛筆やペンを無くしてしまうので、一番最初に作ったものはペン立てにして収納。このペン立てを作業台に置いてしまう癖をつければもう無くなる心配もないだろう(いつもそのへんに転がしてた)。底板は一枚刃のホールソーで中央をくり抜いていない円形板を接着して、ペンが抜け落ちないようにしている。
蓋付き容器
一枚刃のホールソーでくり抜いたイカリングと同じサイズの円形板と、自在錐でイカリングの穴の内径に合わせた円形板を貼り合わせてフタ付きの容器も作ってみた。
使用したホールソーのセンタードリルはΦ8mm、自在錐のセンタードリルはΦ5mmなので、ステップドリルで穴を5mm→8mmに広げて木工ボンドを塗って、そこに8mmのボルトを通してナットで締めつければ、中央に貼り付けた状態で圧着することができた。
ミニ棚
複数のイカリング同士を重ねて合わせて壁に固定すれば、ちょっとしたおしゃれな収納棚のできあがり。よく使用するサイズの丸棒を収納。
イヤーマフ(ヘッドホン)収納ハンガー
前述したミニ棚よりさらに短くしたものを壁に固定すれば、イヤーマフやヘッドホンのようなものを収納できるハンガーにすることができた。今回は使用後に耳鳴りがするような電動工具や木工機を使用するときに着用するイヤーマフと耳栓を引っかけて、中にはカモプラグのような紐のついていない耳栓を置いている。
ハンマーホルダー
イカリング単体や2枚重ねたものに穴をあけて、壁にネジ止めすれば玄翁・金槌・木槌を収納するホルダーにすることができた(小型のL型ソケットレンチを使えば前側に穴を開ける必要はなかったかもしれない)。単体だと体がぶつかったときに斜めになったり・割れそうだったので、2枚重ねしたほうが良きかと感じた。ぶつからない高い場所だと単体でも問題ない。
延長管 壁用ホルダー
中央に穴の空いたイカリング単体と底板と貼り合わせたイカリングを壁に固定すれば、延長管のような長い物を壁に浮かせた状態で収納することもできた。
写真のマキタの充電式コードレスクリーナーは一部の電動工具に接続して集じん目的で使用しているため、常に延長用ホースを取り付けている状態。床を掃除するときは横のヘッド+延長パイプをホースに接続して使用。
釣り竿 収納用ホルダー(猫用)
猫のおもちゃを取り付けてペット用の伸縮式釣り竿を壁に収納することができた。ここで今回作ったイカリングがなくなったので、また大量に作って紹介できそうな物があれば追記して紹介したい。
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