割れた切断砥石を再利用
ミニルーターに取り付ける切断砥石(カッティングディスク)は、小型で扱いやすい反面、薄くて強度が弱いため、わずかな衝撃でも簡単に割れてしまうことがあります。
実際に社外品で割安な切断砥石を購入して使ってみましたが、切断砥石を取りつけたルーターを作業台に置いただけで、切断砥石が割れてしまうほど脆いものもありました。
そこで、グラインダー用の欠けて使えなくなった切断砥石を再利用し、ミニルーター用の切断砥石を自作してみたところ、思いのほかうまくいきました。
ここでは、同じ悩みを抱えている方や、ミニルーターの消耗品の出費をできるだけ抑えたい方のために、備忘録も兼ねてその体験を共有します。
なぜミニルーター用砥石はすぐ壊れるのか
- 小径ゆえの限界
ミニルーター用の砥石は、直径が小さくて薄いため、どうしても強度が低くなります。高回転で回すと、少しでも斜めに当たったり、過度な力をかけてしまうと、亀裂が入って割れやすい傾向にあります。 - リーズナブルな製品の宿命
価格が安い製品ほど、砥石の品質や強度はそれなりになります。研磨材や接着剤が均一でないのか、取付け時やルーターの置き方に注意しないと、簡単にパリンと割れてしまい、耐久性にばらつきが出やすい点も理由の一つです。
欠けたグラインダー用砥石を再利用するアイデア
- 捨てるのはもったいない
グラインダー用の砥石は大型で、欠けた部分さえ取り除けば、まだ使える部分が残っている場合があります。特に「端が少し割れただけ」のような砥石は、中心部はしっかりしていることが多いです。 - ハサミで切る
通常の切断砥石は固くて切れないイメージがありますが、厚みがそれほどない場合、強度が落ちた欠けた部分を中心にハサミでカットすることが可能でした。切っている際に砥石の粉が出るので、必ず保護メガネやマスクを着用しましょう。
グラインダーの切断砥石を切り出す手順
消耗or割れた切断砥石を用意
ミニルーター用の切断砥石の厚さは1mm前後なので、厚さが1mm前後の切断砥石を用意します。大きく割れてしまった部分やヒビが入っている部分を避け、まだ一部がしっかり残っているところを確認します。
今回は凸凹部を切断している際に端が欠けてしまったレジトンの金の卵を使用しました。金の卵はステンレスを切断することができ、厚さを測ると1mmでした。同社の金の卵Zは0.8mmなので、どちらも非力(20Wクラス)のミニルーターに最適な厚さです。
ちなみにグラインダーの切断砥石は安価なものだと1枚100円ほどで販売されているので、メーカーのミニルーター用切断砥石より自作したほうが経済的です。ただし、自作砥石はメーカーが推奨しているわけではないので、作業時は万全の安全対策を講じる必要があります。
砥石を丸く切り出す
ミニルーター用の切断砥石は、だいたい直径22~32mmほどのものが使いやすいです。まずは真ん中にあるリングを剥がします。このリングはラベルに接着されているのでカッターで切り込みを入れて、マイナスドライバーでこじれば簡単に剥がせました。
次に用途に合ったサイズをマーキングし、ハサミでカットします。最初はニッパーや金切りばさみで試していましたが、ハサミのほうが割れにくく、切りやすかったです。
ただし、曲線を一気にハサミで切ろうとすると砥石が割れやすいので、なるべく直線的に小刻みにカットしながら、少しずつ丸く近づけていく方法が失敗しにくかったです。
この段階で多少いびつな形になっても、後の工程で簡単に真円に整えられるため、問題ありません。
中心に穴をあける
手持ちのフレキシブルシャフトやボルトに合うサイズの穴を中心あたりにあけます。鉄工ドリルやダイヤモンドビットなどを使用し、位置がずれないように注意しながらあけました。穴の位置が極端に偏ってしまうと、大きな偏心運動が生じ、高速回転時に激しい振動が発生して、真円に整えることが難しくなるので注意が必要です。
真円に整える
穴をあけた後は、フレキシブルシャフトに装着し、ミニルーターに取り付けます。次に、金属の端材などに軽くこすりつけながら、回転数を段階的に上げていきます。およそ2~3分ほどで振動が落ち着き、切断砥石が自然と真円に仕上がります。
実際に使ってみた感想
実際に使ってみましたが、乱暴にケレン作業をしても割れたり欠けにくかったです。ペットボトルやアルミから、硬いステンレスを切断することもできました。また、ルーター用の切断砥石に比べると、強度が強くなっただけでなく、耐久性も高まりました。
ただし、25Wクラスのミニルーター(PROXXON-28512-SK)ですと、材料の厚みが5mm前後になると切断スピードが顕著に低下しました。これは切断中にモーターに負荷がかかり、回転数が減速したり、トルク不足によるものなので、100Wクラスのミニルーターであれば解消できるでしょう。
グラインダー用切断砥石を有効活用したまとめ
ミニルーターの薄い砥石が頻繁に割れて困っていましたが、欠けて使えなくなったグラインダー砥石で自作することで、割れにくくなり出費を抑えられるようになりました。記事の説明がわかりにくい場合は、動画で実際の作業工程をご覧いただくと、より分かりやすいかと思います。詳しくはYouTubeにて解説していますので、ぜひチェックしてみてください。
自作切断砥石の安全面はあくまでも自己責任です。保護具の着用や作業手順の確認を徹底し、力任せに材料を切ろうとすれば砥石に負荷がかかり、想定外の割れ方をする可能性もあるので、常に優しい力加減で丁寧に作業することが大切です。
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