圧縮成形時に穴のあいたダンボール薪をつくるための試行錯誤
動画のコメントでダンボール圧縮成形薪の中心に穴をあけると煙突効果が生まれ、内部の燃焼が促進されることを教えていただきました。
穴があいていると、火持ちが落ちるかもしれませんが、点火直後の火のまわりが良くなり、酸素が中心部まで行き渡ることでより完全燃焼しやすく、煙やにおいも抑えられる傾向があるとのことです。
さらに、中心まで空気が届くことで乾燥時間の短縮や乾燥むらのリスク低減にもつながるかもしれないという利点にも気づき、コメントでも「穴をあけたい」という声が目立ったので、数ある改良点の中でもまずはこの「穴あき構造」の導入を優先して進めることにしました。
穴あけ治具の作り方
まず、VUキャップの中心に穴をあけ、全ネジボルト(M10×75)を同規格のワッシャーとナットで固定し、圧縮時にそのボルトがダンボールの中心へ貫通することで穴が開く構造を考案しました。
ところが、実際にやってみると、ボルトの先端がコーキングガンのカートリッジプランジャーにぶつかり、最後まで圧縮できないという問題が発生しました。
そこで、カートリッジプランジャーとダンボールの間に中心に穴を開けた丸い木材パーツ(スペーサー)を追加し、その穴を通してボルト先端がスムーズに入って圧縮できるように工夫しました。このドーナツ状の板をサンドイッチさせることにより、圧縮が最後までしっかり行えるようになりました。
しかし、次は圧縮後にVUキャップを引き抜こうとした際に、ダンボールの形が崩れてしまうという新たな問題に直面。原因は、ボルトのネジ部分が圧縮されたダンボールに引っかかってしまうことでした。
そこで、グラインダーにオフセット砥石(#60)を装着し、ボルトのネジ山を滑らかになるよう削り落とすことで摩擦を軽減させることにしました。
さらに、ドーナツの穴にダンボールが詰まって圧縮できなかったり、斜めに傾いてしまうこともあったため、ボルトの先端をグラインダーで鋭く削ることで、圧縮方向に真っ直ぐ進みやすくなるよう改良しました。
少しでも摩擦を軽減するために多羽根ディスク(#120)で仕上げました。このとき、10mmの直径は約8mmになりました。
こうした一連の失敗と工夫を経て、ようやく成形時にきれいな穴が開いたダンボール薪を作ることに成功。試しに落としたり軽く叩いたりしても崩れたり潰れたりすることはなく、見た目・強度ともに満足のいく仕上がりとなりました。
金属の加工が難しい場合は、木を自在錐やホールソーなどで丸く切り抜いてから、丸棒を中心に差し込んで接着すれば、同様の構造を木材だけで作ることも可能です。
木製の治具を使った場合、両面フラットになります(⌀8mm 丸棒使用)。
穴をあけたことで、針金ハンガーに通したり、紐で縛って吊るしても型崩れしないため、物干し竿などに干しておけば、乾燥効率もさらに高まりそうです。
ちなみに乾燥させたダンボール圧縮成形薪は非常に軽くなりますが、その軽さに反して意外なほどの強度があるので持ち運びにも適しているでしょう。
また、必要に応じて手で折ることも可能なため、刃物を使わずに小割りにすることができます。焚き付けの際には、あらかじめ割っておくことで、より早く火が回りやすくなり、スムーズな着火が期待できるでしょう。
作り方を動画でもチェックしたい方はこちら
この記事の内容をもとに、実際の作業工程や治具の使い方をまとめた動画も公開しています。文章だけでは伝わりにくい部分も、動画の方が視覚的にわかりやすくなっていますので、ぜひあわせてご覧ください。
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