古銭の文字細部も回転バレル研磨機で磨けるのか検証
古銭の文字細部で試してみる
回転バレル研磨機でも入り組んだ細部を研磨することができるのかの検証も兼ねて、数百年前に使われていた古銭の頑固な錆をピカピカにしてみた。
フラットな縁厚は難なく綺麗にすることができると思うが、中央の凸凹した内厚や文字周りの錆はおそらく苦戦するだろう。今までで研磨してきたワークの中で一番の強敵だ。
上の写真は研磨前の寛永通宝。
寛永通宝は江戸時代に発行された銭貨だが、寛永(1624~1644年)の後も幕末(1853~1869年)まで続き、明治中期まで一般的に使われていたという。現代の硬貨と同じように銅が主原料になっていたようだが、銅の他に鉄・精鉄製もあったという。当時は原料となる銅・鉛・錫などを溶かし地金を作り、溶かした金属を鋳型に流し込み銭貨を鋳造してたようだ。
寛永通宝は江戸時代に発行された銭貨だが、寛永(1624~1644年)の後も幕末(1853~1869年)まで続き、明治中期まで一般的に使われていたという。現代の硬貨と同じように銅が主原料になっていたようだが、銅の他に鉄・精鉄製もあったという。当時は原料となる銅・鉛・錫などを溶かし地金を作り、溶かした金属を鋳型に流し込み銭貨を鋳造してたようだ。
ちなみに、和同開珎のような古代銭貨は古くなるほど銅の比率が高くなっており、銅生産の減少により、後の時代になるほど鉛の比率が高くなっていくそうだ。銅は錆びにくい金属の部類に入り、その錆びにくさはステンレス鋼と同等と考えられている。Youtubeで金属探知機を使って山や海から古銭を探すトレジャーハンターの動画があるが、自然に落ちているうん百年前の古銭が現代まで腐食せずに残り続けるのも納得がいく。
今回、特に比較的状態のよい1枚、真っ黒に錆びた1枚、青錆が発生した3枚を注視してみた。そのため、注視したい寛永通宝には目印のために糸を結んでいる。
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少し寛永通宝について調べてみると、左2枚の銭貨が一文銭で、裏に波紋が入った大きな銭貨が四文銭、その他に寛永通宝には十文銭もあるらしい。江戸時代後期の守貞謾稿(類書)によると、そばが16文/あんかけうどん16文/玉子とじ32文/上酒1合で食べることができたようだ。ちなみに公定相場は銭貨4,000枚で金貨1両となっているので、一両は10万円札のような金貨だったのだろうか。
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少し寛永通宝について調べてみると、左2枚の銭貨が一文銭で、裏に波紋が入った大きな銭貨が四文銭、その他に寛永通宝には十文銭もあるらしい。江戸時代後期の守貞謾稿(類書)によると、そばが16文/あんかけうどん16文/玉子とじ32文/上酒1合で食べることができたようだ。ちなみに公定相場は銭貨4,000枚で金貨1両となっているので、一両は10万円札のような金貨だったのだろうか。
セラミックメディアで縁厚の錆を落とす
ステンレスボール/ピンで錆を落とそうとすると何日もかかるので、まずは、[光沢仕上げ用のBBC(セラミックメディア)φ6mm]で平面のでた縁厚部分(赤線で囲った部分)の錆を落とすことにした。本来はもっと粗いメディアを使用したほうがいいのだろうが、今回はデリケートな古銭なので慎重になった。
汚れも酷いので一緒に[中性洗剤]を投入。洗剤の中にはphが偏っているものもあり、ワークの素材を痛める場合があるので、工作物が金属の場合は注意が必要だ。
上の写真は寝ているあいだにスピード1~2で研磨した写真。外側の縁厚部分は綺麗磨かれると思っていたが、結果はムラのある仕上がりになっていた。平面がでていると思っていた縁厚は、歪みや無数の小さな窪みがあり、その箇所だけ玉状のセラミックメディアが当たることができず黒錆が残ったようだ。
下2枚はこれ以上同じメディアで研磨しても同じ仕上がりになるだろう。上の錆びた古銭はおそらく深部まで錆びていると思われる。
ステンレス+磁気バレル用研磨ピン(光沢仕上げ)
前述したとおり、青線で囲んでいる縁厚の黒くなっている部分は無数の窪みがあると考えていたので、ステンレスボールに磁気バレル用の細い研磨ピン(0.5mmΦ×5mm)を混ぜた。赤線で囲んだ内厚(文字面厚)の表面も凸凹しているので、凸凹部分や文字細部の錆も研磨ピンで落とせるだろう。
メディアと一緒に入れるコンパンドは光沢のでるNS ピンクコンパウンドで仕上げるとよかったが、毎日コンパウドを入れ替える必要があるほど水が汚れるので、最初は安価なバレル研磨用の粉末コンパウンド(GCP)を添加した。
ステンレスボール(Φ2.5~3mm)に磁気バレル用の研磨ピン(0.5mm)を混ぜたメディアで寛永通宝の細部を研磨した場合、比較的綺麗な状態の古銭は3~4日、頑固な錆が発生しているものはその倍近い時間がかかった。それでも錆が落ちない銭貨もあり、おそらく錆が根を張っていると考えられる。
注視していた3枚の銭貨も綺麗になった。深部まで錆びて駄目だと思っていた銭貨も錆が落ちてスッキリ。ただ細部に黒錆が所々残っている箇所もあるので、さらに細い研磨ピンをたくさん混ぜたほうがよかったかもしれない。予算を削る場合はアマゾンで販売されているUFO・ピン・ボールが混ざった安価なステンレスメディア(×1~2)に磁気バレル用の研磨ピンを300gほど混ぜて時間をかけて研磨するしかないだろう。
SMB(ソフトメディア)乾式用
最後にチップトンのSMB ソフトメディア(乾式用)を使って寛永通宝を鏡面にしてみた。ソフトメディアは胡桃(くるみ)の殻をくだいたものにアルミナ研磨剤を添着したもので、4日ほど回転させてると金属の表面が鏡のような仕上がりになる。
銅の比率が高い10円硬貨のときと同じように、偽物やおもちゃみたいな仕上がりになった。寛永通宝の色や文字がはっきり見えるようなって気づいたが、作った場所や時代によって銅や鉛の配合が違うのか?同じ1文銭でも色の違うものや、刻印されている文字の書体が違うものが混ざっていた。
寛永通宝には平らな面があまりないので反射した物ははっきりと映らないが、縁厚に映ったスケール(メジャー)は目盛りまで読み取れるほど鏡面に仕上がった。
注視していた3枚もさらに磨かれ、メッキしたようなチープな仕上がりとなる。やはり、古いものだけあり、古銭には歪みや深い傷・窪みが無数に入っており、鏡面仕上げにすることで、それらが目立つ格好となった。
比較的状態の良い寛永通宝。古い寛永通宝と違い、裏面に文と刻印されており、寛文8年(1688年)に発行された新寛永(正字背文)と言う銭貨らしい。なかなか錆が取れなかった青銅色の寛永通宝に比べると、亜鉛の量が多いのか黄銅(真鍮)のような色をしている。
ひとまわり大きな寛永通宝は四文銭となり、裏面に波紋が刻印されているのが特徴。色は前述した一文銭の新寛永(正字背文)より更に黄色く、亜鉛の比率が多いのだろうか、5円硬貨のような色をしている。
馬車に轢かれたのか、地中に埋まっていたのか分からないが、文字が消えかかっていた状態の悪いのもここまでピカピカとなった。
一週間バレル研磨したにも関わらず、錆が除去しきれなかったものや、金属の色が一切でてこなかった寛永通宝も数枚あった。部分的な錆は時間をかければ除去できそうだが、黒くなったものは鉄製で腐食したのかもしれない。
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なんか古銭ってデザインがかっこいいから、木工品と組み合わせたり、指輪とかにしたら映えそうだよね。また黒く染め直そうか…
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