ソフトメディアに使われてる母材と研磨材の種類
バレル研磨機の乾式研磨で鏡面仕上げ用として使われるソフトメディアの母材には、硬いクルミの外殻やトウモロコシの芯を細かく砕いだ植物性の素材が使用されている。
この母材にアルミナ・酸化クロム・酸化鉄・ダイヤ粉などの研磨剤を油脂系のコーティング材で強固に添着させたものがソフトメディアとして販売されている。
同じような母材さえ入手できれば、その表面に砥粒をワックス等でコーティングさせることは容易だと思うので、自分で作ることにチャレンジしてみた。
ソフトメディアは1kg~販売されていない
ちなみにチップトン社のソフトメディアは受注生産となっており、おそらくメーカーから注文をすると最小ロットが20kgからだと思う(たぶん)。最小購入数量に制約があると、量を必要としない個人では買い求めにくい。
ネットではkg単位で小売している小売業者や出品者が少ないため、販売店が取り扱わなくなると、個人だと入手が難しくなるかもしれない。現在販売している所を調べてみるとショップは1店、出品者は0人となっていた。
ソフトメディアの母材(砕いたクルミ殻)はトカゲの床材と同じ
当初、ガーデニング用として販売しているクルミの殻をミキサーで細かく砕こうと考えていたが、乾燥地帯の爬虫類(リクガメ・トカゲ等)の床材にクルミの殻が使用されていることを知り、メーカー各社が販売している床材で試してみることに。
カミハタ デザートブレンドクラシック(粒径:1mm以下)
最初に購入したのは神畑養魚株式会社が販売しているテラリウム用床材の「デザートブレンドクラシック」。アメリカ産の天然のくるみの殻が使われており、2.2kgと4.4kgが用意されている。その他にも「デザートブレンド」というシリーズもあるようだが、クラシックと違い粉塵の量が少ないので、少し価格が張るようである。
デザートブレンドクラシックは粒径が1mm以下のチップが多くはいっており、予想してたより粒が小さく失敗したなと思った。しかし、チップトンのSMB(ソフトメディア)やSMA(ソフトメディア)には粒径が1.8mmと0.5mmのものがラインナップされているので、1.8mmで磨けないような細部のワークに最適かもしれない。
ビバリア ウォールナッツサンド(粒径:1mm~2mm)
次に購入した株式会社ビバリアのウォールナッツサンドは中国産の天然のくるみが使われており、1.5kg/3.0kg/5.0kgの3種類が用意されている。粒径が1mm~2mmのチップが多く、わたしが普段使用しているSMB(ソフトメディア)1.8mmと見分けがつかないほどの大きさ。今回はビバリアに市販の研磨材を添加して検証を行ってみることに。
ソフトメディアに使用されている研磨材の種類
市販のソフトメディアに添加されている研磨材の種類は、[アルミナ]・[酸化クロム]・[酸化鉄]・[ダイヤ粉]の4種類となっており、母材にこれらの研磨材を油脂系のコーティング剤で強固に添着されている。
研磨材の粒径は粗・中仕上げ用が50µm、鏡面仕上げ用が3µm、超鏡面仕上げ用は開示されていないが、おそらく1µm以下の研磨材が添加されていると考えられる。
ポピュラーな研磨材だと粒径が3µmのものは青棒やピカール、50µmのものは赤棒。1µm以下だと新潟精機やダイヤマテリアルのポリッシングパウダーやダイヤモンドペーストに該当。
また、市販の研磨材には油性の媒体と混合されている商品があるため、そのままテラリウム用の床材に添加し、バレル研磨で撹拌すれば市販のソフトメディアと同等、それ以上のものが作ることができるはず。
今回はスタンダードなピカールを添加することにしたが、従来のピカールと研磨効果を変えずに、不快な臭いが低減され、液が乾きにくくなった「ピカールネオ」が新しくラインアップされていたので新しいほうを使用することに。
ちなみに、ピカールに使用されている研磨材の種類はアルミナ、砥粒は粒径が3µm、粒度は#4,000番相当。さらに石油系溶剤と脂肪酸が含まれているため、そのまま母材と一緒に撹拌すればピカールネオをくるみの殻にコーティングできるかもしれない。
自作ソフトメディアのレシピ
スチールメディアやセラミックメディアの光沢仕上げから→#4,000番のソフトメディアで仕上げるのではなく、あいだに#2,000番のソフトメディアをかませたほうが効率よく鏡面にすることができるのかもしれない。ここから番手を上げるなら、 粒径0.5µmのウイルソン コンパウンド メタリックを使用するかもしれない(使用したら追記したい)。
正直#10,000以上からの仕上状態はわずかな差となるので、高額なダイヤ粉が使われた研磨材を使って番手を上げていくより、重切削/一般切削/平骨仕上げ/微小切削/光沢仕上げ用のセラミックメディアを揃えて、鏡面にする前の下地状態に注力したほうが仕上状態は向上するだろう。
コメント
はじめまして。
時々サイトを拝見しております。 有益な情報も多々あり、感謝いたしております。
私は、お持ちの中国製のバレル研磨機(ロータリータンブラー)や他にも10台ほどの回転式、振動式のタンブラーを使って、主に石の研磨を趣味で楽しんでおります。
他に仕事で、錆びたネジや金具のさび落とし、洗浄、金属磨きなども行っております。
クルミチップで金属を磨くときは、わざわざソフトメディアであるクルミにアルミナなどを添着させなくとも、綺麗に磨くことができます。
日本では、趣味でバレル研磨機を使っている方が少なく寂しい思いをしております。
インスタでで自分の作業の備忘録として石の研磨を中心に載せています。
よろしければ、時々情報交換等できますと有難く思います。
よろしくお願いいたします。
コメントありがとうございます。
自分で採取した石をバレル研磨することはわたしの理想です。
木目と同じで石も磨くと色々な表情がありおもしろいですね。
石の採取→バレル研磨という構成の動画はYouTubeでもウケるのではないかなと思いますし、わたしも視聴してみたいです。
元々、石を磨いている動画を見たのもバレル研磨機の購入を後押しした要因の一つでした。
現在は振動バレル研磨機を使用できる環境ではないため、回転バレル研磨機の使用がメインとなっています(大きな音をだせない)。
最近、安価な中国製の回転バレル研磨機でもスピードコントローラーを介せば、さらに回転スピードを落としたり、静音化できることを知ったので、石の研磨にも挑戦してみたいなと考えています。
運営されているブログやインスタに記載されている情報もすべて目を通したいです。
その上で何かわからないことがありましたら、お尋ねするかもしれません。
よろしくお願いいたします。
>クルミにアルミナなどを添着させなくとも、綺麗に磨くことができます。
知りませんでした!あまり高い鏡面性に拘っていないので、試してみたいと思います。
貴重な情報ありがとうございました!