カラーコーンでウェットブラストしたらどうなるのか検証
以前、浴室でウェットブラストを試したときに、家のDIY用コンプレッサーのスペックが低いこともあってか、ワークの錆や塗装を落とす研磨力が弱く効率が悪い結果となった(上の動画参照)。また、浴室の壁や床に飛散したメディアの回収と掃除が非常に大変だったため、全裸で浴室を掃除しながら「もうウェットブラストは二度とやりたくないっ!」と思ったのが正直な感想。
後にウェットブラスト専用の装置(ココット)等が販売されることを知るが、家に設置するには邪魔になるほど大きいうえ、車が買えるほどの高額なため断念。ただ、装置のボディ下部はメディアを効率よく吸い上げられるように先が尖った円錐形になっていることに気づき、同じように先細ったカラーコーンの中でフタをつけてウェットブラストをすれば、研削力アップ+メディアや水の飛散を防止できるのではないかと試してみるまき。
バケツでウェットブラストしたときのデメリット
- 研磨力(威力)が低下する
- 水とメディアが自分に飛び散る
- 飛散したメディアの回収と掃除が大変
車やバイクを洗浄する用途で使われるエアー洗浄ガンで重曹ブラストする動画を真似てみたものの、水と重曹を入れたバケツをかき混ぜてもすぐに重曹が沈んでしまうため、重曹をワークにぶつける研磨力が大きく損失している感じがした。また、エアー洗浄ガンは内径が細いホースが採用されているために、重曹を効率よく吸い上げることができないのも、研磨力を損失させている要因の1つとも考えられる。
その他に水とメディアが周辺に飛び散るため、長時間使用しているとカッパを着用しなければいけないほど体がびしょ濡れになる欠点も存在。さらに、家の浴室でウェットブラストした場合、重曹だと環境に優しいのでそのまま洗い流せるが、アルミナ・ガラスビーズ・硅砂を使用した場合、そのまま下水に流してしまうわけにもいかず、ブラスト後の清掃やメディア回収にうんざりするほど手間がかかるのだ。
この方の動画が非常に分かりやすいのだが、水に投入したメディアを撹拌してもすぐにメディアが底に沈んでしまうため、思ったほどメディアを吸い上げておらず水だけを噴射している状態になってしまうのだ。当然これだと洗浄の用途にしか使えず、錆取り、美装、塗装剥離には使いにくい。
バケツをカラーコーンに変えて見るまき
研磨するワークとブラスターガンを持ちながら、メディアを入れた水を常にかき混ぜることは困難なため、手で撹拌しなくてもいいように容器の底が先細った容器にしてみることに。
水とメディアを入れる容器の形状を蟻地獄のような円錐形にすることで、一箇所に溜まったメディアを効率よく吸い上げることができるため、かき混ぜる行為が不要なうえに研磨力もアップするに違いないと妄想。
さらに、その容器の中でフタをつけてブラストすることで、水やメディアの飛散を防止できるため、自分に水がかからない+面倒な清掃からも解放されるのではと妄想は膨らみカラーコーンを注文するまき。
円錐形の容器を作るスキルがないため、工事現などに置かれているカラーコーンをホームセンターで購入。当初、丸めて立てたお風呂のフタにカラーコーンを差し込んで立て掛けようと考えていたのだが、カラーコーンに水を入れるとバランスが悪くなり倒れるため断念(カラーコーンの土台が貧弱で支えきれなかった)。
家のお風呂のフタを使うのをやめ、端材でカラーコーンを逆さの状態で立てかけられるスタンドをつくる。このスタンドだと水をいっぱいに入れても倒れることはなかった。
カラーコーンの側面に手首がすっぽり入る90mmの穴をあける。ここでは
ドリルドライバーに
ホールソーを装着してあける。ここから研磨するワーク物を手で持って差し込む。
前述した穴に差し込んだ「アラムPVCニップル」をボンドとコーキングで固定。接着が甘かったのかホースを引っこ抜くときに一緒に抜けたことがあった。粗いペーパーでカラーコーンとアラムPVCニップルを研磨してボンドでひっつければ抜けなくなったが、中から「
アラムPVCニップル用ナット(2009-31)」で締め付けて固定したほうがよかったかもしれない。
一般的な大きいサイズのカラーコンの高さは700mmあり、ウェットブラストに使用している「サンドブラスター ホース式 STRAIGHT/15-060 (STRAIGHT/ストレート)」に標準装備されているホースでは長さが足りないので、内径12mmのブレードホースと交換してPVCニップルに接続。カラーコーンの中でブラストしないのであれば、ミニカラーコーンでもよいかもしれない。
カラーコーンの中でウェットブラストをすると、周辺が見えなくなるほど水が飛散するため、「エンテック ポリカバケツPO−15A用の蓋」をかぶせてる作業。蓋の中央にはブラストガンのノズルを差し込める穴をあけている(穴をあけた先端工具は
座ぐりドリル)。
完成するまき。これでうまくいけばカラーコーンに入れた水をかき混ぜなくても、効率よくメディアを吸い上げられるはず。さらに、メディアを吸い上げる量があがれば研磨力もあがる嬉しいメリットも。さらには、ブラストガンから噴射された水とメディアはカラーコーンの先端部に落ちていくはずなので、少量とメディアで延々とブラストすることができれば万々歳。
カラーコーンに蓋をかぶせることで、水とメディアは循環されるようになったうえ、水しぶきがかからくなり、自分がびしょ濡れになったり、浴室が汚れにくくなった。だがしかし、ブラスト中に蓋に水滴が大量につくため、ワークが研磨されていく様子がまったく見えなくなった。
ウェットブラスト(重曹パウダー)の仕上がり
パウダータイプの重曹は、ガラスビーズやアルミナといったメディアに比べると研磨力が弱かった。ジュース缶に吹き付けられた塗装は効率よく剥離できたが、DIY用の100Vコンプレッサーだと年季の入ったな錆や焦げを効率よく落とすのはおそらく難しいだろう。ただし、ワークに深い傷がはいらないため、金属製品のクリーニング(汚れ落とし)には最適なメディアといえるだろう。デリケートなワークや、深い傷をいれたくない金属製品には迷わず重曹パウダーからはじめたいところ。
ちなみに、バケツから重曹を吸い上げるウェットブラストだと、ここまで効率よく塗装を剥離できなかったため、やはりメディアを効率よく吸い上げられるカラーコンを利用することで研磨力はアップしたと思われる。
ウェットブラスト(ガラスビーズ#100)の仕上がり
ガラスビーズ(#100)を使用した場合、重曹より効率よく塗装を剥離することができたうえ、艶がでた仕上がりとなった。また、研磨力は重曹より高いため、スチール(鋼)に発生した頑固なカビなども効率よく除去することもできた。ただし、この光沢は重曹より深い傷が入ってできたものなので、表面の仕上がりはシボ加工(梨地)したような仕上がりになっている。なるべくワークに傷をつけずに汚れを落としたい場合は、やはりパウダー状の重曹か粒度の高いガラスビーズを使用したほうがよいのだろう。
ウェットブラスト(アルミナサンド)の仕上がり
アルミナサンド(#100)を使用した場合、重曹やガラスビーズには感じられなかった強い研削力を感じた。DIY用のコンプレッサーでも塗装の剥離や頑固な錆も一発で除去できるメディアといえる。試しに一点に集中してブラストとすると、ウェットブラストでも空き缶やガラスに穴をあけることができた。ブラストした表面は爪がとげるほどザラザラした肌触りになっており、一番深い傷がはいったために、ガラスビーズや重曹のように艶はまったくでなかった。
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