スピンドルサンダーのペーパードラムを自作してコスト削減
スピンドルサンダーの使用頻度が高いと、消耗したペーパードラムの買い替えでコストがかかります。また、標準で付属されているペーパードラムの番手は粗い#60なので、仕上げの作業に適した細かい番手のペーパードラムを揃えると、さらに出費がかさみます。そこで、この記事では、そんなお悩みを解決するペーパードラムの自作方法をご紹介します。
一体型ペーパードラムの作り方(使う番手が限られている場合に最適)
一定の粒度のサンドペーパーを主に使用している場合は、直接ゴムドラムにサンドペーパーを巻きつけて固定する方法がおすすめです。
シートに研磨剤が接着されているサンドペーパーの種類を選びます。通常の紙ヤスリは研磨剤が剥がれやすく、耐久性に欠けるため、より長持ちする布ヤスリがおすすめです。布ヤスリは強い負荷をかけても研磨剤が剥がれにくく、繰り返しの使用にも耐えられるため、効率的で経済的な選択です。
スピンドルサンダーに付属しているペーパードラムに巻き付けられているサンドペーパーの幅を測定します。
布ヤスリを少し余裕を持たせて長めにカットします。これにより、ペーパードラムにしっかりと巻き付ける際に必要な長さが確保され、作業の際の調整がしやすくなります。
ゴムドラムに布ヤスリを斜めに巻き付けていきます。付属しているペーパードラムはサンドペーパーが左巻きになっていますが、ここで紹介する自作方法だと左巻きにすると、布ヤスリがよれたり切れたりするので、それを防ぐために右巻きで巻きます。
布ヤスリをゴムドラムに巻く際は、端を洗濯バサミで仮止めすると、作業がずっとやりやすくなります。洗濯バサミで固定することで、ヤスリがずれたり、手で持つ際の不安定さを防ぎながら、残りの部分をスムーズに巻きつけることができます。
布ヤスリの端が剥がれるのを防ぐために、両端にテープを2~3周巻きつけます。画像では紙テープを使用していますが、ビニールテープの方がより剥がれにくく、長時間の使用にも耐えられます。
テープで固定した後、ゴムドラムからはみ出た部分をハサミを使ってカットします。ヤスリをハサミで切ると刃が痛むので、100円ショップなど安価なものを使います。
スピンドルサンダーにテープを巻き付けたペーパードラムをセットし、本機のスイッチを入れます。ペーパードラムが最も高い位置に達したとき、テーブルに置いたペンを使って、その位置を目印としてテープに印を付けます。
ペンで付けた印の一番下の部分にカッターを使用して切れ目を入れます。そして、この切れ目から上の部分を慎重に取り除きます。
布ヤスリを固定しているテープはテーブルインサートを超えて上がってくることはないため、作業中に材料に接触して剥がれることはありません。
今回は付属品の#60番より、粒度の細かい#100の布ヤスリを使用したので、研削力はやや低下したものの、曲面の加工もスムーズに進めることができました。
テープで両端を固定した状態での耐久性についてはいくらか懸念がありました。しかし、実際に木材の角に布ヤスリを当てて研磨をしても、ペーパーが破れたり、よれたりすることは一切ありませんでした。
着脱式ペーパードラムの作り方(他の番手も使いたい場合に最適)
先に紹介した一体型タイプでは、直接ゴムドラムにサンドペーパーを巻きつけてテープで固定しているため、異なる番手のペーパードラムに変更して用途に合った仕上げを行うことができません。そのため、他の番手のペーパードラムを使い分けられるように、ゴムドラムから容易に抜き差しできるペーパードラムを作りました。
ゴムドラムに表面の摩擦力が小さいテープ(紙テープ、クラフトテープなど)を2~3周巻きながら貼りつけます。テープを巻いてわずかに太くするのは、ペーパードラムの内径をゴムドラムの外径と同じにしてしまうと、ペーパードラムを抜き差しすることが困難になるからです。
この工程はちょっとした一手間がかかるので、ペーパードラムの消耗品度が高い場合は、自作用の丸棒を用意しておくとよいでしょう。丸棒の素材はゴムドラムよりも0.2mmほど太い木製や樹脂製がおすすめです。
丸棒のサイズの微調整はテープを巻くことで行えます。テープの厚さがおよそ0.1mm前後なので、ドラムを少し太くしたい場合は、テープを巻きつけることで調整が可能です。
テープを巻いたゴムドラムに表面の摩擦力が小さいクラフトテープを反対向きに巻きます。つまり、通常は隠れている粘着面が外側になるようにします。テープを巻く際には、テープが半分ずつ重なるように斜めに巻きつけます。
ゴムドラムの両端からはみ出たテープをハサミでカットします。
ゴムドラムに布ヤスリを右巻きで巻きつけていきます。端が剥がれきやすいので、洗濯バサミで固定しておくと作業がしやすいです。
粘着力の強いビニールテープをゴムドラムの両端に巻きつけます。
はみ出た部分をカットします。ハサミの刃が痛むので100円ショップのハサミをつかっています。
自作したペーパードラムをゴムドラムから引き抜きます。摩擦力の小さい紙テープをゴムドラムに貼ったので、簡単に引き抜くことができます。ビニールテープを貼った場合、ドラム状にした布ヤスリを引き抜くことができませんでした。
ゴムドラムに巻いた紙テープを剥がします。新しいペーパードラムを作る際に毎回テープを貼ることを考えると、交換頻度が高い場合は、専用の丸棒を用意する方が効率的です。専用の丸棒を使用することで、テープの貼り付けや剥がすのを繰り返す手間を省けるからです。
自作したペーパードラムをテープを剥がしたゴムドラムに挿入します。ゴムドラムにテープを2周巻いてペーパードラムを作ったので、ペーパードラムの内径はゴムドラムの直径より約0.2mmほど大きくなっています。そのため、ペーパードラムを簡単に抜き差しすることができます。テープを巻かずに作ると、抜き差しするのが固くなり、中のクラフトテープが剥がれるので注意されたし。
ゴムドラムに差し込んだペーパードラムをスピンドルサンダーにセットします。スイッチを入れて、スピンドルが最も上の位置に達した際にマジックで印を付けます。ひとまわり大きなサイズのテーブルインサートをセットしておくと印がつけやすかったです。
テープに付けた印がある端に近い部分でカッターを使って切断します。
メーカーが別売している消耗品と同様に着脱可能なペーパードラムが完成しました。複数の番手のペーパードラムを用意することで、さまざまな研磨ニーズに応じることが可能です。粗目(~#100)や中目(~#240)のペーパードラムを使用すれば、木材などを効率的に曲面加工ができ、細かい番手を使えば、加工面を綺麗に仕上げることもできます。
最後までご覧いただきありがとうございました。この記事の説明がわかりにくい場合は、同じ方法で作った動画をご覧いただくことをお勧めします。動画では記事のポイントを分かりやすく解説し、製作過程をより明確に理解するのに役立ちます。
コメント