不要になったピストンのカーボンや錆を回転バレル研磨機で除去できるのか試してみた。この程度の汚れであれば一晩回してれば除去できるだろうが、排気量が400ccの単車のピストンなので直径が5cm以上、質量が130gと小型バレル研磨機にとって大きくて重たいワークとなる。
このピストンが指のように小さければ、研磨ピンを混ぜたステンレスボールで効率よく研磨することができただろうが、大きなピストンは勢いよくバレル槽バレル容器にぶつかり、バッコン!バッコン!と大きな音を立てながら転がっていた。
ステンレスボールの量を増やせばうまく撹拌させて研磨することができたかもしれないが、おそらくバレル槽に対して1/2もステンレスのメディアを入れると比重が重いため、モーターにかなり負荷がかかるか、回転が止まるだろう。またメディア代で1万円近くかかり予算もかさむ。
ピストンはヘッドの面が平坦であれば球状のセラミクックメディアで問題ないだろうが、ヘッドや側面に窪みがあり、その角の汚れは形状が球状や三角形ではぶつかれないだろう…。
手持ちで穴や凸凹部の研磨が得意そうなのは角の尖った角型と円錐形のメディア。その他に持っていないが形状が三角錐のメディアも適していそうだ。
今回は使ったことがないパーカー社製-平滑仕上用の(PMC プラスチックメディア 1kg)を使用してみることに。価格は6割引になっており1kg/792円とかなりの割安だった。
基本的にプラスチックメディアは軟質金属に使用されるため、柔らかいイメージがあったのだが、これをプラスチックと言われても信じられないほどの硬さ。セラミックや仕上用の天然砥石のように硬く、歯で噛めば歯が欠けそうなほど。ただし、比重がセラミックに比べると軽いので、ワークにぶつかったときの攻撃力が弱く、軟質金属やデリケートなワークに適しているという解釈でよいのだろう?
チップトンの製粉末コンパウンドGCPを投入してKT-2000で1時間回してみた。
一時間で全体的にかなり綺麗になったが、指や棒でこすっても落ちないような頑固な汚れが残った。特にピストンのヘッドはエンボス(凸凹)加工された仕上げになっているので、円錐形のメディアでは凹みにこびりついたカーボンの除去に苦戦しているように見受けられた。
基本的にステンレスボールより比重の軽いセラミックメディアなどは、バレル槽の容器に対して1/3~1/2程度と多めに入れるのだが、バレル槽が回転をはじめるとメディアの表面に流動層が形成。その流動層をワーク(工作物)が滑落することで効率よく研磨することができるのだが、大きなピストンは流動層を滑落せずにメディアと一緒に撹拌されていた。
で、流動層をピストンが滑落しなくても、一緒にメディアと撹拌されることでメディアとピストンが擦れ合い研磨されるので問題はないのだが、ピストンは側面を地に向けながら転がりやすい形状をしているため、ヘッドや内側もメディアと擦れ合うように定期的に数秒間停止して反転する[オートリバース機能]をONにした。
いつも金属を研磨すると黒い汁になるのだが、アルミニウム合金の場合は灰色の汁になった。なんか、けっこういい値段するウッドロングエコや、スチールウールや鋼の釘を溶かす自作のステイン塗料があるのだが、どちらも金属イオンと木のタンニンが反応して色が変化することを考えると、回転バレル研磨機で安価なステイン塗料が作れるかもしれない(余談)。
一晩回すと前日除去できなかった頑固な汚れや錆は綺麗になっていた。KT-2000のような小型バレル研磨機の連続使用時間が2時間なので、コンセントタイマーを利用して2時間毎に15分間自動停止させた。
プラスチックメディアは軟らかくてすぐに消耗するイメージがあったが、セラミックのように硬く耐久性も高そうだ。
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この記事の動画は上からどうぞ。バレル研磨機の防音対策は下記のリンク先からどうぞ。
朝も夜も自宅で回転バレル研磨機が使える防音対策
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