・用途:アルコールストーブ
「回転バレル研磨機でアルミ缶の塗装を剥がせるのか?」というご質問をいただいたので、実際にコーラの缶を入れて試してみました。さらに研磨能率や仕上げ状態が向上する組み合わせがあれば追記します。
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おそらく、アルコールストーブにした状態で、研磨したほうが効率も仕上がりもよくなると思います(厚みが2倍+コンパクトになって流動層を滑落するため)。
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※ジュースのアルミ缶やスチール缶を延々と研磨し続けると、上蓋が外れるので、上部を必要とした工作物をつくるときは、研削しすぎないように注意されたし。
「セラミックメディア」+「褐色溶融アルミナ #120」
本機 | 15LB |
バレル槽 | KT2000用 |
メディア | 中研磨用(球形) φ6mm |
マス量 | 1/2 |
水量 | 1/2 |
研磨剤 | 褐色溶融アルミナ #120 大さじ1 |
研磨時間 | 1~7日 |
回転速度 | 超低速 |
材質(アルミ)が薄くて柔らかいため、三角形のセラミックメディアだと深い圧痕がつくと思い、研削力の弱い球形のセラミックメディア(φ6mm)を使用しました。メディアだけだと塗装を剥すのに時間がかかるため、研磨剤として褐色溶融アルミナ #120を添加しています。
スピードは低速1だと缶詰の表面がベコベコになった経験があるため、バレル槽は蟻が歩くような遅い回転スピードで実施しています。15LBだと超低速に設定できますが、KTシリーズだと「スピードコントローラー」に介して電圧を小さくしないと超低速にできません。
1日目
缶が流動層をうまく滑落できない大きさのため、半面だけが偏研磨されています。回転バレル研磨はマス上層部に形成された流動層を利用した研磨方のため、研磨能率が大幅に低下していると考えられます。おそらく、組み付けてアルコールストーブにした状態で、バレル研磨したほうが効率的に塗装を落とせると思います。
2日目
半面だけ塗装が剥がれるのかと思いましたが、中央部は均等に塗装が落ちていました。しかし、流動層の表面を缶が滑落するのではなく、缶の上をメディアが転がって研磨されているので、メディアが真っ直ぐ転がれないフラットな面以外は塗装が落ちるスピードが遅れているようです。
3日目
中身が入っている状態だと、塗装を剥すのに3~4日ほどかかると考えたほうがよいでしょう。赤く塗装が残っているところはφ6mmのメディアだとぶつからないので、蓋部分も必要な場合は、小さいメディアや先の尖ったメディアを使ったほうがよいかもしれません。
「セラミックメディア」+「FX-06」
メディア | 中研磨用(球形) Φ6mm |
マス量 | 1/2 |
水量 | 1/2 |
研磨剤 | FX-06 大さじ1 |
研磨時間 | 1日 |
回転速度 | 超低速 |
1日目
表面アラサはざらざらでコンクリートのような色をしていたので、光沢用メディアを添加して実施したところ、中研磨用のメディアとの組み合わせでも光沢のある仕上がりとなりました。
さらに仕上げ状態を向上させたい場合は、細仕上用や光沢用のメディアを使用したほうがよいでしょう。
ただし、アルミは他の金属と違ってキレイな光沢をだすのが難しいです。おそらく、アルミは柔らかいので、わたしが所持している研磨剤の高度や潰れやすさなど他の要素が影響しているのかもしれません。
「セラミックメディア」+「白色溶融アルミナ(#120)」
本機 | KT2000(HY-19B) |
メディア | 中研磨用(球形) φ6mm |
マス量 | 1/2 |
水量 | 1/2 |
研磨剤 | 白色溶融アルミナ #120 大さじ2 |
研磨時間 | 4日 |
回転速度 | 超低速 (スピコン使用) |
追記(2022/11/23):白色溶融アルミナ(#120)だと、1工程で塗装を剥がしながら光沢をだせるかと実施してみたが、塗装は落とせたものの光沢はでなかった。番手が低い紙ヤスリで研磨しても、こんなに暗い灰色にはならないことを考えると、褐色/白色のアルミナで湿式研磨するとアルミが変色しているのかもしれない。アルミの変色を防ぐことができれば、1工程で塗装剥がしと光沢をだすことができるだろう。身近にあるものでpH(ペーハー)を調整して、変色させずに研磨するほうほうを模索したい(なにかわかれば追記したい)。
酢添加
本機 | KT2000(HY-19B) |
メディア | 中研磨用(球形) φ6mm |
マス量 | 1/2 |
水量 | 1/2 |
研磨剤 | 白色溶融アルミナ #120 大さじ2 |
添加物 | 穀物酢(100ml)? |
研磨時間 | 1日 |
回転速度 | 超低速 (スピコン使用) |
前述した黒く変色したアルミ缶に同じレシピでお酢を添加して実施したところ、変色させずに研磨することができた。FX-06ほど光沢はでていないが、かなり白っぽい感じに仕上がった。酢の量は適当に入れたが、おそらく100~150mlほど。お酢よりクエン酸のほうが経済的にPhを酸性に傾けられるかもしれない?
「セラミックメディア」+「白色溶融アルミナ(#120)」+「クエン酸」
本機 | KT2000(HY-19B) |
メディア | 中研磨用(球形) φ6mm |
マス量 | 1/2 |
水量 | 1/2 |
研磨剤 | 白色溶融アルミナ #120 大さじ2 |
添加物 | クエン酸:大さじ1 |
研磨時間 | 3日 |
回転速度 | 超低速 (スピコン使用) |
追記(2022/11/30):最初からクエン酸を添加して実施したところ、アルミは変色せずに塗装を剥がすことができた。表面アラサや色は前述した酢を添加したときと同等なので、どっちを添加しても差はでないだろう。光沢はFX06により劣る。
コメント
この度は検証ありがとうございます!
「セラミックメディア」+「FX-06」の結果は予想していたよりもかなりキレイです!
曹のサイズが大きいほうが効率が上がるんですね。
早速購入してみます!
本当に助かりました!
Youtubも登録しましたのでDIY動画楽しみにしています!