旋盤を使わずに二段円柱を切り抜く
DIYで木材を加工していると、「こうすればもっと簡単にできたのに!」とひらめく瞬間がありませんか?今回ご紹介するのは、木を接合せずに異なるサイズの円柱を2つ重ねた立体(二段円柱)状に切り抜くシンプルで効率的な方法です。
- ノブボルト・ノブナット
- 2段プーリー
- 集塵アダプター
- ローラー部品
- キャップやカバー
- 装飾部品
- 積み木(玩具)
- ホイールや車輪
- 回転装置のスリップリング
- 軸受けやブッシュ
自在錐で木をドーナツ状に切り抜いた際の失敗がヒントになり、意外なアイデアを形にすることができました。旋盤や丸棒を使わずに端材から上記のものを作りたいDIYerの方にぜひ試していただきたいテクニックです。
自在錐で失敗した切り抜き材が教えてくれた二段円柱の加工法
先日、両刃の自在錐で片刃をずらして貫通穴をあければ、一度の加工でドーナツ状に切り抜けるのではないかと考え、実際に試してみました。結果はというと、横着な加工法では材料が焦げただけでなく、外側の刃が先に貫通してしまい、結果的にうまくいきませんでした。
しかし、内側に深い溝ができた切り抜き材を見て、「このリング幅を水平に切断すれば二段円柱の形状になるのではないか」とひらめきました。一般的に、丸棒の段付き加工は旋盤が使われます。切断や切削系の電動工具での加工も可能ですが、丸棒を用意したり、治具や工夫が必要となることもあります。
自在錐を使って端材を二段円柱に加工する方法
所持しているスターエムの自在錐(No.36)には、厚板用と薄板用の2種類のセンタードリルが付属されています。今回は厚板用のセンタードリルを使用することにしましたが、厚板用は刃先が先ネジになっています。先ネジは加工中に押さえなくてもネジの力で穴をあけ進めていくため、ボール盤で加工すると材が持ち上がって危険です。
また、先ネジはドリルの進行速度が速くなるため、穴あけが早く終るメリットがあるものの、先ネジが引き込みすぎて材が割れたり欠けたり、仕上がりが悪くなるデメリットもあります。そのため、ネジ部を鉄工ヤスリで削りました。
SPF(1×4材)の様な柔い針葉樹を切断すると表面がめくれやすいため、加工する面の表裏にテープを貼りました。裏面のバリやメクレは裏側の貫通穴に沿わせて切り込むことでも対策できます。これらの対策を行っても割れることがあったので、量産する場合は、後述する先端工具で加工するか、割れにくい硬い木で作ったほうよいと思いました。
スターエムの自在錐(No.36)の刃幅を最小の20mmにセットし、深さ9mmの溝を掘りました。深さゲージ付きのボール盤を使用しているため、切り込み深さが正確にわかりますが、電気ドリルなどで加工する場合は、センタードリルにドリルストッパーを取り付けるか、テープなどを巻いて深さを調整すると良いでしょう。
次に刃幅を30mmにセットし、中心にあいた貫通穴にセンタードリルを沿わせて貫通穴をあけました。針葉樹は貫通する際に底面がめくれやすいです。テープを貼っても大きなバリがでたり、春目がめくれる場合は、8割ほど切り込んだら、材料をひっくりかえして裏側の貫通穴に沿わせて切り込むとよかったです。
切り抜いた材料のリング部分をアサリのないノコギリで切断しました。リング部の幅が小さい場合はノコギリを固定、リング部の幅が大きい場合は切り抜いた材を固定したほうが切断しやすかったです。
これでビスや接着剤で接合せずとも、サイズの異なる円柱を2つ重ねた二段円柱に加工することができました。
ノブボルトとノブナットの作り方
スターエムの自在錐(No.36)のセンタードリルの直径は8mmなので、中心にあいた穴にM6の鬼目ナット(ねじ込み式)を埋め込めばノブナットを作ることができました。接触面積が広いフランジ付きなので、工具レスでDIYの治具や固定具の脱着や締緩に便利です。
さらにグラインダーで任意の長さに切断した寸切ボルト(M6)のネジ山にネジ緩み止め剤を少量塗布し、埋め込んだ鬼目ナットにねじ込めば、簡単にノブボルトを作ることもできました。
ネジ緩み止め剤は高強度(永久固定)タイプを使用すれば、脱出トルクが約30N・mほどあるので、指の力できつく締めつけても緩むことはなかったです。
同じ方法でホールソーでも加工できる?
同じ方法でホールソーを使っても二段円柱を作ることができました。自在錐の様な細かいサイズ調整はできないものの、柔らかい材料を加工した際に材料表面のめくれが発生しにくかったです。
ただし、刃厚があり、歯数が少ないタイプのホールソーですと、同サイズのものを切り抜いている際に割れたので、刃が薄い替刃式の木工用ホールソーのほうが適していました。
紹介した方法で加工した動画
実際に記事で紹介した方法で加工した動画はYouTubeからどうぞ。
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