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スズキッド | ホームアークナビプラス
DIY用 交流溶接機(手溶接)
スズキッドが販売している交流溶接機で一番安価なモデルです。定格一次電圧(100V)定格一次入力(1.5kVA)(100V/1500W)なので、家庭用コンセント100V/15Aで使用することができます。交流アーク溶接機は、直流と違って50Hz用と60Hz用があるので、ネットで購入する際には地域にあった周波数のものを選ばなければいけません。本体のサイズは、幅と高さが220mmなので非常にコンパクトで質量も軽くなっており、持ち運びにも便利だと思いました。廉価なので仕方がないでしょうが、ホルダやアースクリップは非常にチープな作りになっています。動作音は非常に静かで、小型電気ヒーターのような小さな音です。
溶接棒サイズ | Φ1.4mm | Φ1.6mm | Φ2.0mm使用不可 |
溶接できる板厚 | 0.8~1.2mm | 1.2~3.0mm | 2.0~4.0mm |
溶接棒と板厚の目安
使用できる溶接棒のサイズは1.4~1.6mmの溶接棒のみです。1.4mmが板厚0.8~1.2mmまで、1.6mmが板厚1.2~3.0mmまでに対応します。2.0mmは、板厚2.0~4.0mmまでに対応し、溶接ビードも幅が広くしっかりしたものになるので、100Vで2.0mmの溶接棒を使いたい場合は、インバーター制御で出力電流が安定している直流インバーター溶接機を選んだ方がよいでしょう。
この溶接機を購入してアークや溶接ビードに不満があり、昇圧器(トランス)を購入する方がおられますが、同じメーカーのトランスは1.3万円近くするので、合計金額がアイマックス60に近い価格になってしまいます。アイマックス60は電流を調整できるダイヤルもついていますし、インバーター制御で出力が安定していてスパークも簡単でアークも安定し溶け込みもよくなっているので、このモデルと昇圧器を購入するのであれば、アイマックス60を選んだ方がよいと思います。
スパーク
溶接機の無負荷電圧が36Vと低いので、材料によって一般的なタッピング法でスパークさせてアークを発生させようとすると、動画の前半のように溶接物に引っ付いてしまいアークの発生につなげられない場合があります。比較的簡単なブラッシング法でスパークさせてからアークを発生させようとしても、溶接棒が溶接物にひっついてしまうこともありました。
色々試してみた結果、ブラッシング法でスパークさせる際に溶接棒の先端を赤くしてから、すぐに溶接したい場所に近づければ、確実にアークを発生させられるようになりました。(動画中盤参照)
アーク
低電圧+電流も不安定なので、アークも不安定になりやすいようです。動画でもアークが瞬間的に途切れているのが分かります。最初は技術不足によるものかと思いましたが、他の直流溶接機ではアークが途切れることはなかったので、交流/二次無負荷電圧36Vと低い電圧に問題があるようです。
溶接棒の溶け込みもわるく、アーク長に注意をはらっていないと、突型の細いビートになってしまいます。これはスポット的な溶接しかできないと思いましたが、練習することにより、少しはまともなビードをひけるようになりました。
ビードが細いと運棒スピードを遅くしようと意識しますが、運棒スピードの意識より、アーク長に気をつかったほうがよいです。このサイトではアーク長は約2~3mmがよいと記載していますが、この溶接機の場合は、溶接棒を45°に傾けフラックス(被覆剤)を溶接物にひっつけるような感じで進めていけば、だいぶましになりました。
使用率
使用率は20%なので、溶接を2分間行ったら8分間休ませなければいけません。私が休みなく連続使用したところ、溶接棒を約8本前後使用したところで、使用率オーバー防止機能が働いて停止しました。
その後、8分ほどで自動復帰しますが、溶接棒2~3本を使用したところで、再度、使用率オーバー防止機能が働き、あとはこの繰り返しでした。ちなみに、使用率オーバー防止機能が働いても、冷却するためにスイッチはいれっぱなしにしておきます。
使用率20%で溶接棒1本で約8cmほどの長さしか溶接ができないので、スポット的な溶接にしか使えません。道具を直したり、既存の物に何かひっつける程度であれば問題ありませんが、使用頻度が高く溶接場所が広範囲の場合は不向になるでしょう。
15%UPと25%UPの2種類選択可能 | 昇圧トランス:SHU-20D |
昇圧トランス(電圧アップ)
昇圧トランスは電圧を15%・25%に引き上げることができる昇圧器です。家のコンセントは100Vなので115V~125Vの電圧に引きあげることができます。溶接機は電圧をあげるビードの形状が幅広くなります。溶け込みガ悪かったり、1.6mmの溶接棒でアークを発生させるのが難しい場合は、電圧降下の影響をうけている可能性があります。電圧が100V以下に降下している場合、昇圧トランスで電圧をあげると安定したアークを発生させることができるようになります。
上は1.6mm溶接棒で点付けの溶接ビードを比較した動画です。昇圧トランスで電圧を上げて溶接したビードのほうが太くなっていることが分かります。
おまけ2.0mm 壊れるので危険
この溶接機は、1.4~1.6mmの溶接棒しか使用することができませんが、2.0mmの溶接棒で溶接してみました。2.0mmですとスパークさせようとすると、溶接棒の先端が溶接物にひっついてしまいました。昇圧トランスで電圧をあげるとアークを発生させることができましたが、アーク中はちょっとやばそうな音がしており、3cmほど溶接したところでブレーカーが落ちました。3~4本も使用するとオーバーヒートしてたでしょう。点付けであればブレーカーを落とさずに溶接することができました。ビードの太さは1.6mmとは比較にならないほど太くしっかりしたものになりますが、2.0mmの溶接棒を使用すると定格以上の出力電流が流れて故障するかもしれないので、2.0mmの溶接棒はこの溶接機では使用しないほうがよいでしょう。
機能
シンプル スイッチON/OFFのみ
非常にシンプルなつくりで、本体についているものはスイッチしかありません。電流を調整できるようなダイヤルは備わっていません。電源をいれるとスイッチのランプがオレンジに点灯しすぐに溶接をはじめることができます。
使用率を超えて溶接したとしても、使用率オーバー防止機能がはたらくので、故障する心配はありません。使用率オーバー防止機能がはたらくとスイッチのランプが消灯し溶接することができなくなります。このときにスイッチをOFFにする必要はありません。スイッチをONにしていたほうが早く冷却させることができるので、そのままスイッチを入れた状態にしておきましょう。
冷却が終わるとスイッチのランプが点灯するので、溶接できるようになります。
まとめ
はじめはアークも安定せず溶け込みも悪いので、非常にストレスのたまる溶接機で溶接が嫌いになりそうでした。おそらくプロの方が使用しても最初は難しいと感じるのではないでしょうか。これはドMにはたまらない溶接機ですが、癖がつかめてくるとちゃんと溶接することができるようになります。ですが、溶け込みが直流のアイマックス60より悪いく1.6mmの溶接棒までしか使用できないので、私的に体重をかけるような物を作るのは避けたほうがよいと思います。小物の工作や家具の修繕程度。使用頻度が少なく見た目も気にならないのであれば、この溶接機でも十分だと思います。ただし、スパークやアークを安定させるコツが他の溶接機と違うので、きちんと溶接するにはある程度練習が必要です。