ニュータイプのボトルカッターを見つける
- 瓶を切る機械は瓶を横にしながら切断するテーブルタイプしかなかった
- 瓶を立てた状態で切断できる機械が2021年から海外で販売される
- 2022年国内のAmazonでも出品されるようになったが購入者0人
従来の成功率が低いボトルカッターより、ガラス瓶を簡単かつ綺麗に切断できそうな機械がAmazonで販売されていたので、使い勝手はどうなのか?人柱も兼ねて注文してみた。
購入した大きな理由は、自分が改良したドリルスタンドの構造と似ていて、効率よく真っ直ぐに切れることがわかっていたからである。また、自分が使用していたミニルーターよりトルクが大きい795DCモーターが採用されているので、さらに効率よく切断できるだろうという期待値も高かった。
ちなみに、8年前に空き瓶を切断できる機械はテーブルソータイプの高価なウェットソーしか販売されていなかった。今回購入した瓶を縦にした状態で切断できる機械は2021年に海外で販売され、国内では2022年からAmazonで出品されているようだ。レビューがついてないのであまり売れてないようである。
- 商品名は[電気ボトルカッター][電気ガラス瓶カッター]
- アマゾン(米) 100ドル前後で販売されている
- アマゾン(日) 7千円~2万円で販売されている
- アマゾン(日) 最安値は6,843円
- 配送されるまで1週間かかる
製品の正式名称は不明だが日本のAmazonで「電気ボトルカッター」や「電気ガラス瓶カッター」で検索すると複数の販売ページがヒットする。
筆者は一番安い6,843円の販売店から注文したが、基本的にどこの業者から注文しても、中国から発送されるようなので、配送されるまで1週間ほどかかると見たほうがよいだろう。
巷でおすすめされているボトルカッターは難あり
- ボトルカッターは成功率が低い
- ガラス用ノコギリは時間と労力がかかる
瓶を切る道具といえば、簡単にガラスカッターで瓶の周りに傷をつけられるボトルカッターが有名だ。筆者も8年前に購入して使用したが、熱湯と冷水を交互にかける工程で意図しない箇所にクラックが入ったり、真っ直ぐ切れたと思っても切り口がガタガタになったりすることが多かった。
さらにガタガタになった切り口をサンドペーパーで平らにする工程もかなりの時間と労力がかかるのもストレス。さらには、ワインボトルのように厚みがあるものはほぼ100%失敗するという。時間と手間をかけて最後の最後で傷から多方にクラックがはいるので、怒りすら覚えた記憶がある。
そこでガラスカッターで入れた傷にピンポイントに熱湯と水をかけられるようにシリコンバンドを巻くなど工夫したが、それでも失敗率が高いためボトルカッターで瓶を切ることは諦めた。
日本のYouTuberが紹介する動画も見られるようになったが、よく見ると切り口がガタガタになっていたり、おそらく何度も失敗していると思うので、お気に入りの瓶にはおすすめできない。
当時販売されていた瓶を切断する機械は高価だったため、次に購入したのがフナソーが販売しているガラス用ノコギリ(FUN-N3)。
真っ直ぐ切れるようにぐるりと巻いたテープを墨代わりにして、水をかけながら切ると、真っ直ぐカットすることができた。
また、前述したワインボトルではカットできないテーパーがついたロート部をカットすることも可能であった。
ただし、角瓶を切るのに約20分ほどかかったため、非効率な手ノコを使ったのは1回きりであった。そして、この日から6年間ガラスを切断することはなかった。
電気ボトルカッターの使い方
- 水タンクの作り方
- ダイヤモンドカッターの取り付け
- 高さの調整
- スイッチを入れる
- 回転スピードの調整
- 空き瓶の切断
電気ボトルカッターはドリルチャックを装着したモーターといったメインユニットを縦方向にスライドさせることができる原理なので、卓上ボール盤やドリルスタンドと構造が似ている。
それらとの相違点はハンドルがついていないことである。このため、メインユニットを支柱に固定すると主軸を昇降させることができない。
先端工具 | ミニダイヤモンドカッター | ダイヤモンドコアビット | ダイヤモンドビット(円筒型) |
加工用途 | 切断 | 穴あけ | 穴あけ/研削 |
直径 | 60mm | 10mm | 4mm |
数量 | 3個 | 1個 | 1個 |
先端工具はガラスを切断するミニダイヤモンドカッター、ガラスに穴をあけるダイヤモンドコアビット、ガラスに小さな穴をあけたり研削できるダイヤモンドビットが付属されている。
今回は空き瓶を切りたいのでダイヤモンドカッターをドリルチャックに装着。先端工具を装着するドリルチャックはキー付きタイプなので、先端工具の着脱にはチャックハンドルを使用する。工具レスのキーレスドリルチャックより、着脱にちょっとした一手間がかかるが、使用中に工具が外れにくいので安全となる。
ちなみに、ドリルチャックの最大チャック経は10mmなので、別売されている切り口の角を丸くする面取り用のダイヤモンドビットや、切断面を平らに研磨できるマジックパットなども装着可能となっている。近い内にそれらの加工ができるのか試して追記したい。
ガラスをダイヤモンドカッターでそのまま切断すると刃が焼けて使い物にならなくなるため、基本的に水をかけながら加工しなければいけない。
メインユニットには刃に水滴を垂らせるノズルが備わっているので、付属されているチューブと容器を利用して水をノズルに流せる水タンクを作る必要があった。
筆者はペットボトル(350ml)に一方コックを取り付けて流量を調整できる水タンクを作った。
一方コックはアクアリウム用の金属製のものを使用。接続部分にはネジ山がついているので、ペットボトルに開けた穴に通してM6のナットで締め付ければ簡単に固定することができた。
一方コックのエアー量調節コック少しだけひねると、水を点滴のようにポタポタと落とすことができるので、少量の水(300ml)でボトルを何本も切ることができた。
一度に10本以上切断する場合は1Lのペットボトルで作ったほうがよいだろう。
水タンクを作るのが面倒な場合は、流量コックとチューブとタンクがセットになっている「サブガソリンタンク」を利用するとよいかもしれない。
メインユニットはクランプレバーを使って容易に任意の高さに固定できる。ダイヤモンドカッターの高さは204mm以上高くできないので、それ以上の高さで瓶を切断したい場合は、スタンドを厚みのある台に乗せて固定するか、支柱に使われている12mmの丸棒をさらに長いものに交換する必要がある。
ダイヤモンドカッターの高さと水の流量調整を行ったら、ユニット横にあるロッカースイッチをいれる。
アダプターには電圧を(12V/15V/16V/18V/19V/20V/24V)の7段階に調整するスライドスイッチがあり、電圧を切替えることで刃の回転スピードを調整することができる。
回転スピードは低速のほうがブレが低減されるので、高速で切断するより欠けが発生しにくい。最初は速く切断できる高速を使用していたが、今はほとんど低速を使用している。慣れると低速でも速く切断できるからだ。
ちなみに、低速時の出力の最大電流値は(9.5A)と大きいので、加工中に負荷がかかってもモーターが減速しにくく、ミニルーターのトルクと比べるとかなり強いと感じた。
空き瓶を真っ直ぐ+欠けを軽減させながら切断するには、瓶を軽い力で刃に押し当て、ゆっくりとしたスピードで瓶を回しながら、少しずつ削るような加工をするとキレイに切断できる。
刃を一気に貫通させた状態で瓶を回すと、刃が曲がった状態で切れるのか、大きな段差ができるので注意。
瓶の同径や厚さにもよるが、同径:90mm/厚さ3mmのペリエの瓶を約3分で輪切りにすることができた。もう何十回と切断してきたが、加工中に失敗したことは一度もないほど成功率が高い。
ただし、切り終わった直後に切れた上の瓶が床に落下して割れることが1度あったので、分割した上部側の瓶が必要な場合は、下にタオルなどを柔かいものを敷いておく対策が必要だと感じた。
使ってわかった問題点と解決策
- 欠けの対策
- 水の飛散対策
- ショート対策
- ブレの対策
- ノズルの代替
瓶の欠け対策
- 刃と同じ回転方向に瓶を回す
- 軽く押し当てながらゆっくり回す
- ビニールテープを巻きつける
瓶を刃と同じ回転方向に回す
空き瓶はモーター軸が回転している方向と同じ回転方向に回しながら加工すると、微小な欠けが発生しにくかった。
逆に瓶を反対方向に回転させるとブレが発生しやすくなるため、微小な欠けが発生しやすかった。
画像ではミニダイヤモンドカッターは反時計周りに回転している態だが、配線が逆に接続されていると、時計回りに回転しているかもしれないので注意。
刃に軽く押し当てながらゆっくり回す
瓶を刃に強く押しつけながら切断すると貝殻のような形状のハマ欠けが発生しやすい。特に最初の切り込み時と最後の貫通間際に欠けが発生しやすいため、瓶は力を入れずに刃に押し当てながら、かたつむりが歩くようなゆっくりとしたスピードで瓶を回転させたほうが欠けが発生しにくかった。
ビニールテープで表面強化
切り込み時に発生する外側の欠けは、切り込みを入れる部分にビニールテープを巻きつけると発生しにくくなった。
内側の欠け対策は水を入れた状態で凍らせて切断すれば、軽減できるかもしれない(気分が乗れば試してみたい)。
ただし、水を凍らせると体積が10%も増えるため、水を一杯にいれてフタをした状態で凍らせると、瓶が割れる可能性が高いので注意。
水を入れた瓶を凍らせる場合は、瓶が割れることを想定して袋に入れて冷凍したほうがよいだろう。
後方に水が飛散して壁が汚れるのを防ぐ対策
電気ボトルカッターの使用中はガラス粉を含んだ水が全方向に飛散するので、瓶と防水カバーがない方向の壁が汚れてしまう問題が発生した。
使用後の掃除を最小限に抑えるため、防水カバーがないところに自作した飛散防止ガードを取りつけることで解決。
自作した飛散防止ガードは足場板の端材をホールソーとベルトディスクサンダーで加工して製作。
支柱に差し込めるように、自作防水カバーの木表/木裏に12mmの貫通穴をあけている。
さらに木端にも鬼目ナットをねじ込むための穴をあけて、ノブボルトで任意の高さで固定できるようにした。
ちなみに最初は薄いアクリル板を支柱にネオジウム磁石で固定していた。飛散防止ガードを作るのが面倒な場合は下敷きのように薄いものを強力な磁石で固定するとよいだろう。
追記(2023年):あまり役立っていないホイルカバーにもマスキングテープを貼って前方に向かって飛んでくる水をガード。
配線周りに水が飛散するのを防止する対策
空き瓶を連続で10本ほど切断したとき、スイッチやDC電源ジャックの端子側が水浸しになっていることに気づいた。原因はユニットの下が防水対策されておらず、ガラ空き状態だったこと。
このまま連続使用しているとショートすると思い、水が中に侵入しないようにマスカ布テープで応急処置。このままでは不安なので、そのうち防水性の高いもので囲いたい。
そのままマスカ布テープを貼ると配線やノズルにぶつかって隙間ができてしまうので、ノズルを取り外して、ノズルを通している穴に配線を通すことにした。
さらにプラバン(0.5mm)でマスカ布テープに水がかからないように二重の飛散防止対策をした。標準装備されている飛散ガードが鉄製なので、プラバンは飛散ガードにネオジウム磁石で固定している。
身近なものだと耐水性の高い牛乳パックで流用できるかもしれない。
ノズルが瓶に当って邪魔になるのを防ぐ対策
空き瓶の加工中に瓶がノズルに当たって邪魔だと感じるようになったので、水滴を垂らすノズルを取り外すことにした。
ノズルの代わりにチューブを通す穴をあけた薄い木の板を飛散防止ガードに接着。穴にチューブを通して固定することで、加工時に瓶がノズルに接触する問題を解消。
瓶や支柱がブレるの防ぐ対策
空き瓶を手で回しながら切断している際、瓶から手が一瞬でも離れると瓶がブレて欠けの原因となる。このため、瓶の中に水を入れて重たくすることで、空き瓶のブレが生じにくくなった。特に表面に切り込みをいれる際や刃が貫通する間際に少しでもブレると貝殻のような形状のはま欠けが発生しやすいので、加工中に瓶から手を離さないように注意を要したい。
ユニットを固定している支柱の直径が12mmと細いため、特に高い位置にユニットを固定して加工していると、ユニットが小刻みにブレて欠けることがあった。
このブレは貧弱な支柱が原因なので、自作した防水カバーに瓶を当てながら加工することで、支柱の剛性が増し、支柱とユニットのブレを軽減することができた。
切断面を綺麗にする方法
切断面の鋸目や微小な段差が気になる場合は、ドリルチャックに耐水ペーパーを貼ったマジックパットを取りつけて研磨すると簡単に除去することができた。画像のものはヤナセさんが販売している125mmのマジックパットに耐水ペーパー(125mm)は#320を貼りつけたもの。#320だと表面は白く曇るので光沢を出したい場合は#6,000以上で仕上げるとよいだろう。ペーパーを濡らして研磨しないとすぐに目詰りするので注意。
電気ボトルカッターで作ったもの
水栽培容器(バブルベース)
最近、水耕栽培に関心があったので、空き瓶から水栽培容器を作っている。当初、水換えが簡単に行える内皿付きのバブルベースを購入していたが、量を揃えると予算がかかってしまうので、空き瓶をテーパーがついているロート部で切断して、類似したものを作っているという。
貯金箱
ミニルーターで貯金箱のコイン投入口をつくると夏休みの工作感クオリティになってしまうが、付属されているミニダイヤモンドカッターを3枚重ねてドリルチャックに装着し、空き瓶に切り込みを入れることで簡単かつ真っ直ぐなコイン投入口を簡単に作ることができた。ただし、推奨された加工法ではないので自己責任となる。コイン取り出し口の作り方は下記の記事からどうぞ。
ランプ
「電気ボトルカッターで丸い瓶だけでなく四角い瓶も切断できないのか?」というコメントをYouTubeのほうでいただいたので、サントリーの角瓶を切断したもの。
安全保護具
安全メガネ
加工中にガラスの破片やガラス粉を含んだ水が目に飛散するかもしれないので、目を守る安全メガネが必要になります。
防塵マスク
体に有害のあるガラス粉やガラス粉を含んだ水を鼻や口から吸引してしまうかもしれないので、粉塵マスクが必要になります。
薄いゴム手袋
瓶の切断後に切り口で手を切ったり、微細な欠片が指に突き刺さることがあったので、薄手のゴム手袋を着用したほうがよかったです。
コメント
ガラスボトルを綺麗に切断するのに試行錯誤してますので
こういう道具もあるのだと知り、大変興味深かったです
細部のアップの画像も鮮明でわかりやすくて良かったです
でも、改造後の全体像がわかる写真も見たかったかな
閲覧+コメントありがとうございます。
失敗なく簡単にまっすぐ切断できるようになったので重宝しています。
追記情報ですが、感覚的にビール瓶だと80本くらい切断できます。
コーラ瓶の様に分厚いと40本くらいでしょうか。
水の飛散を完全に防げてないので、また改良してから、わかりやすいように撮影したいです。
貴重なご意見に感謝します。