猫に人間用の耳栓をつけられるか試してみた
猫(長毛種)乾かすのに1時間以上かかる
猫が真菌症(マラセチア)にかかったものの感染範囲が狭いため、週1で真菌用のシャンプーをすることによってすぐに完治した。現在は再発を防ぐため、月に2回ほどシャンプーをするようにしている。幸いなことにお風呂をそれほど嫌がらないため、シャンプー自体は大きな負担ではない。
しかし、長毛種ということもあり、乾かすのに1時間以上かかるため、猫にとっても飼い主にとっても大きなストレスとなっていた。入浴後の乾燥タイムのことを考えると憂鬱で、シャンプー自体のハードルも高くなるように。
風量の強いドライヤーだと逃げるので耳栓をつけてみた
そこで少しでも乾燥時間を短縮するため、風量の強いドライヤーに買い替えた。ところが、新しいドライヤーは風量は強くなったものの、音もパワーアップしているため、猫が怖がって逃げ出してしまうようになったのだ。
そこで猫用の耳栓を探してみたものの見つからなかったため、耳穴に丸めたティッシュを詰めたり、自分が木材加工時に使用しているフランジタイプの耳栓を試したりしてみた。しかし、どちらも顔をブルブル振るわせてすぐに外れてしまうという。
それならばと、今度はウレタンスポンジタイプの耳栓を装着できるのか試してみるとうまくいった。この記事では、同じように猫に耳栓をつけようと考えている人のために、猫に耳栓をつける方法や、安全に取り外す方法などをわかりやすく解説。
猫に外されにくい耳栓の選び方
耳の穴に差し込むタイプの耳栓は、大別すると[フランジタイプ]と[フォームタイプ]の2種類がある。
フランジタイプ❌️
フランジタイプは、シリコンや熱可塑性エラストマー(TPE)などの柔軟な樹脂で作られていることが多く、傘状のひだが複数付いているのが外見の特徴だ。洗って繰り返し使用できるほか、取り外しやすいというメリットがあるため、普段から電動工具を使用する際に愛用している。
フランジタイプを猫に装着すると耳に違和感があるのか、首をブルブルと振って耳栓を外そうとするのだが、耳穴との接触面積が小さいので外れやすかった。
フォームタイプ⭕
フォームタイプはポリウレタンなど柔らかい素材のものが多く、指で細く潰して耳穴に挿入すると、40秒ほどで膨らんで耳穴の形状に合わせて密着する。そのため、耳穴サイズに関係なくフィットし、フランジタイプより遮音性能が高いメリットがある。
猫の耳に装着すると、首をブルブルと振って取り外そうとするものの、耳穴の内壁に広い面積で密着しているため、振動によるズレが起こりにくく外れにくかった。
NRR(遮音性能)
耳栓には遮音性能を表す指標(NRR)が記載されています。例えば、NRR 33dBと書かれていたら、実験室での測定条件において最大で33dB程度の騒音低減能力があることを示します。そのため、基本的にこの数値が大きいほど遮音性能が高くなります。
| 周波数 (Hz) | カモプラグ等 (dB) | ピュラフィット (dB) | Soothers (dB) | メテオ (dB) | メテオスモール (dB) | メローズ (dB) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 125 | 42.3 | 42.4 | 37.5 | 40.7 | 30.2 | 26.2 |
| 250 | 43.7 | 43.5 | 36.7 | 42.3 | 34.0 | 32.3 |
| 500 | 46.6 | 45.9 | 42.2 | 41.8 | 35.7 | 41.0 |
| 1000 | 40.9 | 39.8 | 40.3 | 41.2 | 35.6 | 37.8 |
| 2000 | 38.6 | 36.8 | 39.3 | 39.4 | 37.3 | 38.3 |
| 3150 | 44.7 | 44.5 | 42.3 | 45.9 | 41.1 | 47.3 |
| 4000 | 46.9 | 46.6 | 44.6 | 46.3 | 43.1 | 47.7 |
| 6300 | 49.3 | 48.1 | 46.6 | 47.4 | 45.5 | 48.0 |
| 8000 | 48.3 | 47.4 | 45.9 | 47.4 | 43.4 | 45.7 |
しかし、NRRは実験室での測定結果を基にした総合評価値であり、MOLDEXが公開している平均減衰量(各周波数の音を平均で何dB低減できたか)を確認したところ、フォームタイプの中でドライヤーの音に近い高音域を最も減衰していたのは、建設現場や射撃などの高騒音環境で使用されているカモプラグでした。
そのため、猫が嫌がるドライヤーの高音対策という観点では、NRRの数値よりも、上の表に掲載した周波数別の減衰量を元に耳栓を選定したほうがよいでしょう。ドライヤーの音は低音から高音まで幅広い周波数を含みますが、特に耳障りな「キーン」といった音は3,000~8,000Hz付近の高音域に集中するからです。
猫に耳栓をつける方法
取り付け手順
まず、フォームタイプの耳栓を指で軽く転がしながら徐々に細長くしていきます。最初から強く潰そうとすると均一に細くならず、うまく丸められないため、少しずつ圧を加えながら細い円柱状にします。
次に、猫の耳介を軽く上方へ引っ張り、耳穴を広げて真っ直ぐにします。この状態にすると耳栓を挿入しやすくなります。
耳栓は圧縮後すぐに元の形状へ戻ろうとするため、細く丸めたら素早く耳穴へ差し込みます。挿入後は耳栓がゆっくり膨らみ、耳道の形状に合わせてフィットします。
耳栓が十分に膨らんで固定されるまで、1分ほど軽く押さえておくのがおすすめです。耳栓が浅い位置にあると、猫が違和感を感じて首や頭をブルブル振った際に飛び出しやすくなるため、無理のない範囲でしっかり奥まで挿入します。
取り外し手順
耳栓を取り外す際はいきなり引っ張り出さないようにしてください。フォームタイプの耳栓は耳穴の形状に合わせて膨らんで密着しているため、無理に引き抜くと耳道内の皮膚を傷つける恐れがあります。
まず、耳穴の付け根付近を指で軽くつまむように押し、耳栓を少し圧縮します。耳栓と耳道の隙間ができた状態でゆっくり引き抜くと、皮膚への負担を軽減できます。
なお、耳栓が奥まで入ってしまい指でつまめなくなった場合でも、ピンセットを使えば取り出せるので慌てる必要はありません。ただし、そのまま使用すると先端で耳道内を傷つける恐れがあるため、ピンセットの先端にはビニールテープなどを巻き、角が直接皮膚に触れないようにしてから使用することをおすすめします。
耳栓を装着した猫の反応
装着直後の反応
猫の両耳に耳栓を装着すると、耳の中の異物感を取り除こうとして、反射的に頭を振ったり前足で耳栓を外そうとしたりしました。フランジタイプの耳栓や丸めたティッシュは簡単に抜けてしまいましたが、フォームタイプの耳栓は抜けにくく、頭を振っても外れませんでした。
ただし、猫は耳栓を外そうとする行動をしばらく続けるため、装着後はすぐにドライヤーを使い始めたほうがよいと感じました。なぜなら、耳栓を外そうとすることよりも、突然始まったドライヤーの音や風に意識が向き、耳栓を外そうとする行為が止まるためです。
ドライヤーの反応
逃げ出すドライヤーの騒音値を至近距離で測定したところ、いずれも90dB前後でした。単純計算では「90dB−33dB=57dB」となりますが、先述した通り、NRRは実験室で理想的な条件下で測定された値であるため、実際の使用環境で33dBも低減するわけではありません。
我が家の猫は、約60dBのシェーバー程度の音ではほとんど怖がったり逃げようとしたりしません。しかし、70dB前後のコードレス掃除機よりもドライヤーのほうを明らかに警戒しており、隙あらば逃げ出そうとすることがありました。
耳栓を装着すると、ドライヤーへの反応は多少和らいだように感じられましたが、劇的な変化があったわけではありません。猫本人に聞くことはできないため正確な遮音効果は分かりませんが、反応を見る限りでは、体感的に音が10dB程度低減されたような印象でした。
耳栓を装着したからといってドライヤーの音がほとんど聞こえなくなるわけではありませんが、静止しても逃げ出すようなことはなくなったので、少なくとも音によるストレスを軽減する効果は期待できそうです。
ドライヤー時間の短縮に成功
以前はシャンプー後の乾燥に1時間以上かかっていましたが、今回は耳栓と風量の強いドライヤーに充電式ファンと布団乾燥機を併用したことで、約30分で乾かすことができました。
もちろん、ドライヤーそのものを完全に嫌がらなくなったわけではなく、猫にとって多少のストレスはあったと思います。しかし、乾燥時間を半分程度まで短縮できたことで、猫がドライヤーの音や風にさらされる時間が減り、負担の軽減につながったように感じました。
また、乾燥時間が短くなったことで、飼い主(わたし)の負担も大幅に軽減されました。以前は長時間のドライヤー作業を考えるだけで入浴させる気が重くなっていましたが、30分程度で終わるのであれば精神的なハードルもかなり下がります。
今後は乾燥台の改良や風の当て方を工夫するなどして、さらに短時間で効率よく乾燥できる方法を模索していきたいと思います。














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