クランプとは? | クランプの種類 | クランプの使い方 | クランプ比較表 |
クランプの種類
C型クランプ
シャコ万力などと言われ、C型クランプとB型クランプは似ていますが、C型のほうがB型のものより丸みがありフトコロが深いのが特徴的です。
F型クランプでは、押さえきれないほど負荷がかかるときに利用します。
バーコ型(B)は「BAHCO」という会社が出した形のタイプなのでB型と言われていると思うのですが、現在はB型の形状をしたクランプもC型という商品名で販売されています。
バーハンドルはテコを利用して開閉させることができるので、材料や部品を強力に締めつけられます。
しかし、材料を潰してしまうほど強い締め付け力があるので、素材を損傷させたくない場合は、凹み傷がつかないように当て木などをかぶせて締めつけます。
欠点
口の開きは広い物がなく、スムーズに口を開閉できない欠点があります。
F型クランプ
L型クランプとも言われ、ハンドルがついている部分をスライドさせることができるので、どんな幅や厚みの材料もすぐに締めつけられる利点があります。フトコロが広く腕の長さが短いものから長いものまでありサイズが豊富です。
C型クランプほど締めつけ力はありませんが、材料の固定、仮組み、接着作業の固定、広い用途で使用することができます。切削作業でも材料を動かさずに押さえつける力があるので、木工ではじめてクランプを購入する場合は〔F型クランプ〕がおすすめです。
口に柔らかいゴムパッドがついているものは、材料を押さえつけても凹み跡がつきにくい。
欠点
材料の厚みが薄かったり小さい場合は、接着時にかさばってしまい他のクランプの締めつけ時に邪魔になったり、均等に押さえつけられないことがあります。
ラチェットバークランプ
ラチェットバークランプやクイックバークランプなどと言われ、レバーを握ると口が閉じていきます。
ボタンを押せば上下に口をスライドさせることが可能です。
このクランプはミニサイズと大きいサイズがあるのでネットで注文する際は注意が必要です。
日本のネット通販で販売されているものはほとんどがミニサイズ(写真の製品)
他のクランプと違うところは、材料を片手で押さえながら、締めつけていくことができます。
F型クランプでも慣れていないと、材料の面を合わせながら、クランプで締めつける作業は難しく感じます。
ラチェット式のクランプの場合は、最初から最後まで片手で締めつけることができるので、空いた手でしっかりと材料を固定させることができます。
のり付け時の接着や仮組みをしながらネジや釘で接合する作業に適しています。
拡張機能(押し広げる)
アゴにある止めネジを緩めると、アゴを取り外すことができます。
このアゴを反対側にして取り付けると、材料を締めつけるだけでなく、押し広げることも可能になります。
ちなみに誤ってレバーがついているほうを外さないようにしましょう。
レバーがついているほうをバーから引き抜くと戻せなくなって使い物にならなくなります。。
通常は抜けないようにストッパーがついているのですが、ついていない製品やストッパーがとれることもありました。
IRWIN-クイックチェンジ |
締めつけ力(クランプ力)
模型や小物の仮止めであれば、写真のミニタイプでも十分ですが、大きな材料の仮止めや切削時の材料固定には非力すぎて向いていません。写真のように色が黒く口がオレンジのタイプはミニタイプなので非力です
IRWIN社が販売している大工作業用の大きいラチェットバークランプ(クイックチェンジ)は、2×4材を楽に仮止めできるほど締めつけ力があるので、大きな材料の仮止めや切削時も材料を動かさずに固定させることができます。
ノーマルシリーズ | 135kg |
XPシリーズ | 250kg |
XPシリーズのクランプ力は250kgありますが、ノーマルシリーズでも135kgあるので、2×4材や切削材料をしっかり固定することが可能です。
バネクランプ(スプリングクランプ)
樹脂製と金属製のタイプがあり、洗濯バサミと同じ原理になっているので、薄い板などを素早くに固定することができます。樹脂製のものは、口金が可動するので、常に水平を保ちながら材料をはさむことができます。
脱着が速くスムーズに材料を傷つけずに固定することができるので、薄い板の固定やノリ付けの接着に最適です。
写真では非力そうに見えるかもしれませんが、はさむ力は非常に強力です。
働きが広いものは、握力を鍛えるハンドグリップのようにかたいので、女性では両手を使わないと最大幅まで開くことができないかもしれません。
動画のようにグリップの間にロックレバーがついているタイプだと握るのに力の必要がありません。
木工以外にもシートの固定などDIY以外の用途でも活躍します。
欠点
バネタイプなので開口する幅が狭く、厚みのある材料をはさむことができません。
材料の固定にも使えますが、工具などで切削作業での材料固定は、材料が動いてしまい不向きです。
安価な物は中央の小ネジがとれやすいので、定期的に締めつけておいたほうがよいでしょう。
ハタガネ(旗金)
ハタガネは(締めハタ)など言われ昔からあるクランプです。
締めつけの調整が行いやすく、締め付け時に材料を押さえつける部分が回転しないので、板の接ぎ合わせに最適です。あご全体を使って締めつけられるので、厚みのない板も容易にはさむことができます。
腕の長いクランプは割高になりますが、ハタガネは他のクランプに比べると比較的安価になっています。
ボルトが角ネジになっているので、無理な使い方をして割らないかぎり壊れにくく耐久力にすぐれています。
本数が複数必要になるときは、2本1組のものを購入したほうがお買い得になります。
欠点
フトコロが短く材料を押さえる部分が狭いので、材料が厚い場合は同じ場所に2本以上必要になる場合があります。
フトコロが狭いので切削作業などの材料固定には不向きです。
パイプクランプ (ポニー1/2) | KDS パイプクランプ PC-01 |
パイプクランプ
写真の物をパイプに取り付けてクランプにすることができます。
種類によって取り付けられるパイプの外径サイズが異なりますが、主に外径21.7mmや27.2mmのパイプを利用できるので、強度が強く長いクランプを容易に作ることができます。
F型クランプやハタガネ以上の長さと締めつけ力があるので、大クラスの家具づくりに最適です。
取り付けられるパイプ
パイプはホームセンターなどで販売されているガス管や水道管を利用します。
パイプは片側の端がネジ切られていないと、取り付けられない会社のものがあります。
パイプの両端がネジ切られている場合、継ぎ手ソケットがあれば複数のパイプを接続できるので、更に長いクランプにすることもできます。
水道管は手で締めようと思っても、完全にねじこめない場合があるので、接続する場合はパイプレンチ等の工具を利用します。
IRWINやKDSなど、ネジ切られていないパイプを取り付けられるものもあります。
※メッキの仕上げが分厚い配管ですと、はまりにくい場合があるので、現物合わせして選べば失敗しません。
外径 | 呼び径A | 呼び径B |
21.7mm | 15A | 1/2 |
27.2mm | 20A | 3/4 |
ネットでパイプを探す場合は、配管には外径サイズを表現する呼び径が2種類あるので、呼び径で検索すると目当ての外径サイズの配管を見つやすいです。
欠点
重くてかさばります。
フトコロが短く重たいので材料の固定には向きません。
昔からあるポニークランプは、ネジ切りをしているパイプでないと取り付けることができません。
IRWINやKDSのものはネジ切られていないパイプでも取り付けられることができます。
コーナークランプ
一般的なC型やF型クランプは、材料を押さえつけて固定することを得意としていますが、材料同士を直角に固定することができない場合があります。そこで、コーナークランプを使うと、材料の端が45°に切断されていたり、どんなに長い材料でも、材料同士を直角固定することができます。
材料同士を簡単に直角固定できることから、額縁やパネルの制作、ぼっちの木工作業で材料を直角固定する作業で活躍します。また、金属の溶接や枠物を組み上げる際に仮組み治具として使用することもできます。
使用方法はとても簡単で、直角に固定したい材料と材料の端をピッタリ合わせた状態で、ハンドルを締めつけて材料を挟み固定します。
選ぶ際の注意点として、例えば上のコーナークランプは、巾70mmまでの薄板しか固定することができません。なので、クランプの「最大口開きサイズ」と「口の深さサイズ」に注意して、固定したい材料を挟むことができるものを選びましょう。
ベルトクランプ
ベルトクランプは、枠物の四隅を同時に直角の状態で保持してくれるクランプです。
簡単に四箇所の角を締めつけることができるので、接着作業や仮組みにも使用できます。
コーナークランプで額縁の四隅を一度に固定する場合は、4つのクランプが必要になりますが、ベルトクランプを使用すると1つのクランプで四隅をまとめて固定することができます。
種類
締めつけるタイプにラチェット式とハンドル式があります。
ハンドル式のほうが、オレンジのストッパー1つでベルトの長さを調整できるので使いやすいです。
4つのルトパッドは取り外せるようになっているので、ベルトパッドを外すことにより、四角形以外にも三角形、円形など様々な形状のコーナ部にも対応します。
トグルクランプ
トグルクランプは、ビスやボルトで作業台や治具に固定しながら、材料を押さえつけるクランプです。
下方押え型だけでなく、横押し型やフック型(引っ張り方)のクランプもあります。
治具や木工機に材料を固定する作業や同じ作業を繰り返す場合に、トグルクランプを使用すると作業能率があがります。
一般的な木工用クランプは作業台の端でしか材料を固定することしかできませんが、トグルクランプは作業台や板などに取り付けられるので、どんな場所でも材料をスムーズに固定することができます。
ビスで固定する場合は、頭の底が平たいトラス頭やなべ頭のタイプのビスを使用します。
可変機能
押さえつける部分はボルトになっており、普通のボルトやゴム付ボルトのタイプがあります。
ボルトを回すことで高さの位置を調整することができます。
また軸径の規格が同じであれば、長さの違うボルトをとりつけることもできるので、工夫次第で様々な使い方ができます。
アームが長いものは、押さえつけるボルトを前後にスライドできるものもあり、クランプアームの先端に行くほど締めつけ力が弱くなります。
締圧力
トグルクランプには、締圧力が必ず記載されています。
クランプの締圧力の詳細が知りたい場合は、お手数ですがクランプのトップページをご参考にしてください。
締圧力の単位は、kgfの単位で表示されており、締圧力の数字が高いほうが材料を押さえこむ力が強くなります。
締圧力が強いクランプですと、材料に凹み跡がついたり破損させることもあるので、柔らかく脆い素材を挟む場合は、締めつけ力が弱く挟み口部がゴム製になっているもの選んだほうがよいでしょう。
材料や穴の大きさにもよりますが、ボール盤やドリルスタンドなどで穴開け作業をする場合は、締圧力が60kg程度の小さいクランプ1~2個でも不足なく作業できます。
木工で良く使われるのは、角田社のものであれば、HH450、38B小、38B大、HV250,HV450、40A、42A、50A、50Bあたりなので、大きな負荷がかかる作業で使用する作業では、締めつけ力が200kg以上のものを選んだほうがよいでしょう。
上記は中間クラスのサイズになりますので、ワークが大きい場合は大きなサイズのモデルを選びます。
注意点
コンパクトなものから非常に大型のタイプもあるので、ネットで購入する際は締めつけ力ばかりに目を向けず、記載しているサイズにも注意しておきましょう。
締めつけ力が高いモデルはサイズも大きくなります。
トルグルクランプを取り付けた板を作業台などにクランプで固定するときは、前後をクランプで固定しましょう。
後ろ側だけを固定していると、トグルクランプで材料をおさえた時に、左写真のように板の手前が浮き上がってしまい本来の締めつけ力がひきだせません。
垂直ハンドル式
材料を上から押さえつけることができます。
ハンドルが握りやすく押さえつけるときに力をいれやすくなっています。
押さえつけた状態のときにハンドルは垂直に直立するので、治具や機械の近くに固定する場合は直立したハンドルが邪魔になる場合があります。
水平ハンドル式
垂直式と同じで材料を上から押さえつけることができます。
押さえつけた状態のときにハンドルが水平になり手や機械の邪魔にならないので、治具や機械の側で使用する作業に向いています。
横押し型
材料を横から押し付けることができます。
垂直に取り付ければ上から押さえつけることもできます。
BESSEY|トグルクランプ
BESSEY トグルクランプ
押さえつける材料の厚みがきまっているときは、一般的なトグルクランプでも十分に役立ちます。
しかし、押さえつける材料の厚みが限られていないときは、材料の厚みに合わせて押さえつける部分の高さを調整しなければいけないので手間がかかります。
BESSEYのトグルクランプは、アジャスト機能がついているので、薄い板から厚い板まで調整不要で素早く押さえつけることが可能です。
また、アジャストネジを回すことにより、締めつけ力を調整することも可能です。