育苗ポットを自作するまき
毎年苗づくりのたびに育苗ポットを買い足すのは、地味に出費がかさむうえ、もったいないと感じていました。
さらに、種から大切に育てた苗をいきなり大きな鉢に植え替えたことで、根がうまく張らず、生育がうまくいかなかった苦い経験もあります。
とはいえ、苗の成長段階に合わせてサイズの違うポットをいくつも揃えるのはコストがかかり現実的ではありません。そこで注目したのが、ダンボールでポットを作るという海外の動画でした。
しかし実際に試してみると、乾燥後にダンボールを外せなかったり、水分を含むと崩れやすいといった問題が次々に発生。そこで作り方に工夫を加え、より簡単に育苗ポットを手作りできる方法にたどり着きました。
この方法なら、必要なサイズのポットを自作できるうえ、使い終わったらそのまま土に植えられるので、移植の手間もなく、根を傷める心配もありません。
ダンボール粘土をつくる
ダンボールを細かくちぎる
まずはじめにダンボールを細かくちぎります。細かくちぎるのが手間なので、今回はシュレッダーを使って裁断しました。
ダンボールを水に漬ける
裁断したダンボールをボウルなどに入れ、数時間から一晩、水に浸けます。しっかり水を吸わせることで繊維が柔らかくなり、次の工程がスムーズに砕くことができます。
ミキサーで粉砕する
十分にふやけたダンボールをミキサーにかけ、繊維が細かくなるまで攪拌します。粘土状になるまでしっかりと撹拌しましょう。
濾して水を絞り出す
ザルや水切りネットなどを使ってダンボールに含んだ余分な水分を濾します。
小麦粉を加えて練る
濾したダンボールパルプに小麦粉と少量の水を加え、よく練り合わせます。タネの硬さが耳たぶ程度のやわらかさになるまで小麦粉や水を少しずつ足します。小麦粉の種類は何でも問題ありませんが、グルテンを多く含んでいる強力粉を添加したほうが強度が向上するかもしれません。
ポットを成形する
型を選ぶ
型は乾燥後にタネを剥がしやすいよう、柔らかい素材(シリコンなど)を選ぶと扱いやすくなります。今回は連結されたものから切ったセルトレイを型として使用しました。
型の外側にタネを貼り付ける
ダンボール粘土(タネ)を、セルトレイの外側全体に均一に貼り付けます。厚さは2mm以上にすると、水やり時にも崩れにくくなります。鉢を作る場合はさらに分厚くしたほうがよさそうです。
作業中は手を水で濡らしておくとタネが手にくっつきにくくなり、ペタペタと軽く叩くと綺麗に成形できます。
硬い型を使う場合の工夫
硬い素材の型(今回は塩ビのTSキャップを使用)を使うと、乾燥後のダンボール粘土(タネ)が密着して剥がれにくくなることがあります。
そのため、型となるものを木の板に4本のビスでしっかり固定しておくと、乾燥後に板を回すだけで軽い力でダンボールのタネを剥がすことができます。
ただし、この方法でも握力が必要になる場合もあるため、力に自信がない方は、あらかじめTSキャップと木材に油を塗っておくと、乾燥後でもスムーズに剥がしやすくなります。
育苗ポットを作る際は、TSキャップの呼び径20〜30程度のサイズを型にするとちょうどよい大きさでした。ゴーヤのように発芽するとすぐに大きな苗が出てくる植物には、呼び径30の型のほうがスペースに余裕があり、根の成長にも適していました。
ポットのサイズ参考(TSキャップ)モノタロウブランド
呼び径 | 外径 | 高さ |
13 | 24 mm | 29 mm |
16 | 29 mm | 33.5 mm |
20 | 33 mm | 38.5 mm |
25 | 40 mm | 44 mm |
30 | 46 mm | 48 mm |
40 | 57 mm | 59.5 mm |
50 | 70 mm | 68 mm |
75 | 102 mm | 105 mm |
100 | 130 mm | 138 mm |

ダンボール育苗ポットの作り方の様子を動画でチェック!
文章だけでは伝わりにくい部分もあるかもしれませんので、実際の作業工程を動画でもご紹介しています。ダンボール粘土の硬さや、型の取り方や成形のコツなど、ダンボールで土に還るエコポットを自作する手順を動画で見たい方は、ぜひこちらもご覧ください。
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