室内にテントを張れば暖房代が節約できるのではないか?
部屋の大掃除をしていたところ、Amazonのデータセンターで発生する排熱を暖房などに有効活用しているという記事を目にした。それを見て、「身近な熱も有効活用できるのでは?」と思い、試しに部屋の中へテントを張って生活してみることにした。
今回の目的は、テント内にグラフィックボード(GPU)を搭載したパソコンを設置し、PCから発生する排熱でテント内を暖められるか検証することだ。パソコンは高負荷時に相応の熱を発するため、その熱を狭い空間に閉じ込めれば、暖房の補助として活用できるのではないかと考えた。
もしテント内を十分に暖められれば、部屋全体を暖房する必要が減り、冬の電気代や灯油代の節約につながるかもしれない。特に、室内用テントは暖気を逃がしにくいため、省エネや暖房効率の向上を目的に利用する人も増えている。
もちろん、PCの排熱だけで真冬を快適に過ごせるとは限らないため、実際にどの程度暖かくなるのか、暖房費は本当に節約できるのかを、この冬を通して実体験をもとに検証していく予定だ。
室内用生活用に選んだテント「Quechua – Arpenaz XL 2 tent」
今回購入したのは、Quechua(ケシュア)の「ARPENAZ 2 XL」という2~3人用テントだ。楽天市場で約6,000円と比較的安く購入できたが、在庫は1点しかなかったようで、現在は販売ページがなくなっていた。
このテントを選んだ理由は、テント内に机を置いても就寝スペースを確保できる広さがあったからだ。室内でテント生活をする場合、寝るだけでなく、パソコン作業やちょっとした収納スペースも必要になる。その点、2~3人用サイズなら十分な居住空間を確保できると判断した。
もちろん、さらに大型のテントという選択肢もあった。しかし、私の部屋は6畳しかないため、大きすぎるテントを設置すると生活スペースがほとんどなくなってしまう。そのため、テント内の広さと部屋全体の使いやすさのバランスを考え、このサイズを選んだ。
購入時には、同じQuechuaの「Tente 2 Seconds XL Air Illumin 2 Places」のようなワンタッチで設営できるモデルとも迷った。ただし、このモデルは室内で長時間過ごすには天井が低く、圧迫感がありそうだったため、最終的にARPENAZ 2 XLを選択した。
これから部屋にテントを張って生活してみたいと考えている人は、「何人用」という表記だけで選ばず、テント内に置く家具や荷物、就寝スペースまで考慮してサイズを決めることをおすすめする。 室内で快適に過ごすには、横幅だけでなく、高さや出入口の使いやすさも重要なポイントになる。
ちなみに、このテントが楽天から届いたとき、親は引き篭もりのおれに向かって「あんたキャンプするんか( ゚Д゚) 」と驚いてたが、まさかこのとき部屋の中にテントを張って生活するとは夢にも思わなかっただろう。このキャンプが部屋に設置されてるのを見た親の驚いた顔は今でも忘れられない。
断熱対策なら二重構造のテントを選んだほうがいい
テントには「インナーテント」と「フライシート」の二重構造を採用しているモデルがある。インナーテントは内側に張る居住スペースとなる本体で、その上から防水性・防風性を備えたフライシートを被せることで、雨や風、外気の影響を軽減する仕組みだ。
今回購入したテントも、白いインナーテントの上から青いフライシートを取り付ける構造になっている。フライシートは屋外では雨風対策として欠かせないが、室内で使用する場合は保温性の向上にも期待できそうだ。
テントを組み立てるのは、小学生の頃に学校行事の「自然の家」で黄色いテントを設営して以来だったため、ほとんど記憶がなく、組み立て方がまったく分からなかった。説明書も入っていないと思い込んでいたので、試行錯誤しながら何とか形にすることができた。
ところが、組み立て終わった後で収納袋の内側を見ると、布製の説明書が縫い付けられていることに気付いた。どうやら紙の説明書は付属しておらず、収納袋そのものが説明書になっていたようだ。
もちろん、その時点で自分の組み立て方が一部間違っていたことも判明した。しかし、一度完成させたテントを分解して最初からやり直す気力は残っていなかったので、「まあ、立っているからヨシ!」ということで、そのまま使い続けることにした。
結露しないの?
白いインナーテントの上から青いフライシートを被せる。前述したようにフライシートには防水性があるため、屋外で使用する際は雨風を防ぐ役割を果たす。
インナーテントとフライシートの間には、約5cmほどの空間が設けられている。この空気層には、雨水がインナーテントへ直接浸入するのを防ぐことに加え、風を和らげたり、結露した水滴が居住スペースへ落ちるのを抑えたりする役割がある。フライシートに付着した結露は外側で受け止められるため、インナーテントまで水滴が伝わりにくい構造になっている。
冬になると私の部屋は室内でもかなり冷え込むため、テント内との温度差が大きくなれば、窓ガラスに水滴が付くのと同じように、テント内も結露するのではないかと少し心配だった。しかし、実際に冬の間使用してみたが、テント内で気になるような結露は発生しなかった。
ちなみに、屋外でテント泊をする人がよく行う結露対策として、テント内にこもった呼気や湿気を外へ逃がすために上部のベンチレーションや出入口を少し開けて換気する方法がある。また、電源サイトでは、小型のUSBファンやサーキュレーターを使ってテント内の空気を循環させ、湿気を排出している人もいるようだ。
もし室内でテントを使用していて結露が気になる場合は、USBファンやサーキュレーターで空気を循環させると、結露の軽減が期待できるだろう。
テントに暖房(パソコン)を設置する
PCをテント内へ設置する。PCがなければ2ちゃんねるも見られないし、お金も稼げない。何より、PCの電源を入れておかないとテント内が暖まらないのだ。
使用しているPCは、2012年(平成24年)に購入したデスクトップPCで、発熱が高そうなパーツはグラフィックボードが「NVIDIA GeForce GTX 650」、CPUが「Intel Core i5-3570」となっている。スペックの高いゲームを真夏にプレイするとグラフィックボードの冷却ファンが勢いよく回り始め、部屋全体が暖かくなるほどの排熱を発する。
この排熱をテント内に閉じ込めれば、暖房の代わりとしてどれほど効果があるのか試してみようと思う。
PC本体に周辺機器を接続
BenQの液晶モニターを設置し、ロジクール製のゲーミングマウスとゲーミングキーボードを接続する。これで、テントの中でも普段とほぼ変わらないパソコン環境が完成した。机と座椅子を置けば、インターネットの閲覧だけでなく、文章の執筆や動画の編集などのデスクワークもできる。
テント内でパソコンを使う場合は、床面積だけでなく天井の高さも重要だと感じた。モニターなどの機器を壁際へ設置すると、天井が低いテントでは斜めに傾いたインナーテントがモニターの上部に当たり、壁際まで寄せられない場合があるからだ。
その結果、机を手前へ移動させる必要があり、限られた室内スペースがさらに狭くなってしまう。室内でテント生活を考えているなら、広さだけでなく、壁ができるだけ垂直に立ち上がるモデルや天井の高いテントを選んだほうが、デスクやモニターを配置しやすく快適に過ごせるだろう。
物干しハンガー
テントの天井中央には、ランタンなどを吊り下げるためのフックが付いている。そこで、このフックを活用し、パール金属の丸型物干しハンガーをテントの天井から吊り下げることにした。
丸型物干しハンガーには、使用頻度の高い小物やSDカード、USBメモリなどを吊るして収納している。限られたテント内では床や机のスペースを圧迫せずに収納場所を増やせるため、必要なものをすぐ手に取れるようになり、思っていた以上に便利だった。
スカイライダーベッド
最初はテントを張る前に、寝袋だけで一晩寝てみた。しかし、翌朝起きると体中が痛くなり、「キャンプをする人なんて大変だな……」と思った。
ところが調べてみると、多くのキャンパーは寝袋の下にキャンプマットやエアマットを敷いて寝ていることが判明した。つまり、寝心地が悪かった原因は寝袋ではなく、マットを使わなかった私のほうだった。
そこで購入したのが、写真のロゴス(LOGOS) スカイラダーエアベッドである。空気を入れて膨らませるタイプのエアマットで、床の硬さを感じにくくなり、寝袋だけで寝ていた頃より快適に眠れるようになった。
ただし、このマットは表面が凹凸形状になっているため、最初は少し寝心地に違和感があり、慣れるまで時間がかかった。また、「マットは柔らかいほど寝心地が良い」と思っていたが、実際には空気を入れ過ぎず柔らかくすると体が沈み込み、かえって寝返りが打ちにくくなったうえ、腰痛が発症するようになったという。
耐久性については穴が開くことはなかったものの、朝になると少しずつ空気が抜けてしまい、毎日のように空気を補充しなければならなかった。さらに、表面は起毛した布のような素材のため、ホコリや汚れが付きやすく、毛玉もできやすいという欠点があった。
また、私のレイアウトでは、デスクワークをするたびにエアマットをテントの外へ移動させる必要があり、そのたびに空気を補充する作業も発生する。これが次第に面倒になり、ある日ついに我慢の限界を迎え、2015年2月に処分してしまった。
後から調べてみると、毎日使うのであれば、エアマットよりも高反発ウレタンマットやインフレーターマットのほうが腰への負担が少なく、寝心地も安定すると評判だった。特にクローズドセルマットは断熱性にも優れており、床から伝わる冷気を遮断しやすいため、冬場のテント生活やキャンプでも防寒対策として広く利用されているという。
実際にソロキャンプで人気のヒロシさんも、THERMAREST(サーマレスト)のクローズドセルマットを愛用していることで知られている。アコーディオンのようにコンパクトに折りたためるため、使わないときはテント内の隅へ収納しやすく、空気を入れたり抜いたりする手間もない。エアマットのように空気漏れを気にする必要もないため、室内でテント生活をする人にも扱いやすいマットといえるだろう。
洗える・干せる・寝袋
テント内には布団を敷くスペースがほとんどないため、3シーズン対応のSnugpak(スナグパック)の寝袋も購入した。サイズは75cm×220(cm)なので、机の前のスペースに敷いて寝ることができた。
実際に使ってみると、想像以上に寝心地がよく、中綿がたっぷり入っているため、まるで布団で寝ているような感覚だった。「もう布団はいらない」と思えるほど気に入り、これだけで十分生活できると感じた。極端な話、死んだらこれに包まれて火葬してもらっても構わないと思えるくらい、お気に入りの寝袋である。
この寝袋は周囲にジッパーが付いているため、全開にすれば掛け布団のように使うこともできる。暑い時期はジッパーを開けて温度調節しやすく、季節に応じた使い方ができるのも魅力だ。
さらに、自宅で洗濯できるモデルなので、汚れても手軽に洗え、天日干しもしやすい。布団のように大きな収納スペースを必要としないため、室内テント生活や一人暮らしにも相性が良いと感じた。
ただし、真冬はこの寝袋だけでは寒いため、上から毛布を1枚掛けて寝ている。また、毎日寝袋の中へ完全に潜り込んで寝ると寝返りが打ちにくく、体がこわばってしまうことがあった。そのため、普段はジッパーを開けて掛け布団のように使用し、少しでも自由に寝返りを打てるよう工夫している。この使い方のほうが体への負担も少なく、私には合っていた。
PCの電源入れっぱなしだとテント内の温度はどうなる?
11月のテント内温度
テント生活を始めるにあたり、一番気になったのが「PCの排熱だけでテント内はどれくらい暖かくなるのか」という点だった。
そこで、テント内の温度変化を記録するため、Amazonで温湿度計「TM-2401」を購入。室温と湿度を毎日測定しながら、PCをつけっぱなしにした場合の効果を確認してみた。
11月は、PCの電源を入れている間はテント内の温度が約22℃を維持でき、想像していた以上に快適だった。しかし、就寝時にPCの電源を切ると一気に冷え込み、寝袋だけでは寒さを感じるようになる。最初はブランケットを掛けていたものの、それだけでは足りず、途中から厚手の毛布を追加して寝るようになった。
12月のテント内温度
12月2日から4日頃になると外気温が急激に下がり、PCをつけっぱなしにしていても20℃以上を維持できなくなった。さらに寒波が到来した日は、テント内の温度が12℃前後まで低下した。
その後は少し気温が持ち直したこともあり、12月中旬までは18℃前後を維持していたものの、体感的にはかなり寒い。さらに12月18日頃から雪が降り始めると、テント内の温度は10~12℃まで下がり、PCの排熱だけで冬を乗り切るのは厳しいと実感した。
テントの断熱性を高めるには?
テント生地そのものの熱伝導率が極端に高いわけではないが、生地が非常に薄いため、住宅の壁に入っている断熱材のような十分な熱抵抗を確保できない。そのうえ、ベンチレーションや出入口からの換気によって暖められた空気も外へ流出するため、PCが発する熱だけでは熱損失を補いきれず、テント内の温度が下がってしまう。
断熱性を高める方法としては、インナーテントの外側に毛布や断熱性のある布を掛け、空気の層を増やす方法が考えられる。毛布に含まれる空気が断熱層となり、生地を通して逃げる熱を軽減できるため、テント内の温度を多少高く保てる可能性がある。
夏は地獄だった
冬は暖房代の節約につながる可能性がある一方で、夏はまったく逆だった。PCの排熱がテント内にこもるため、室温が30℃を超えることも珍しくない。扇風機や工場扇をテントの入口へ設置して換気を試みたが、それでも非常に暑く、長時間過ごすのは厳しかった。
さらに、部屋に置いていたボトルアクアリウムの水温も上昇し、飼育していたアカヒレの半数が暑さで星になり、最終的にはエアコンを使用することになった。
300Wのセラミックヒーターを使うとテント内はどれくらい暖まる?
PCの排熱だけでは寒さに耐えられなくなったため、Amazonで約1,200円で販売されていた300Wの小型セラミックファンヒーター(TS-310)を購入した。
コンパクトで消費電力も300Wと低めだが、テント内のような狭い空間で使用すると、約10分で室温を20~22℃まで上げることができた。広い部屋全体を暖める能力はないものの、室内テントの暖房としては十分な性能を発揮した。
一度テント内が暖まると、セラミックヒーターの電源を切っても約30分は快適な温度を維持できた。ただし、時間が経つと徐々に室温が下がり始める。これは、インナーテントとフライシートだけでは断熱性能が十分ではなく、暖められた熱が外へ逃げやすいためだろう。
先述したように、もし保温性をさらに高めたいのであれば、インナーテントの外側に毛布や断熱性の高い布を掛けて空気の層を作ることで、熱が逃げにくくなり、ヒーターを止めた後も暖かい時間をもう少し長く維持できる可能性がある。
一方で、セラミックヒーターを使用すると湿度は40%以下まで低下した。個人的に気にならないが、暖房によってさらに湿度が下がるため、喉や肌の乾燥が気になる場合は、ミニ加湿器や濡れタオルを併用すると快適に過ごしやすいかもしれない。
また、購入直後はヒーター特有の新品臭があり、締め切ったテント内では1日目はやや気になった。しかし、数日使用すると臭いはほとんど感じなくなった。
暖房費を極限まで節約できる電気毛布
圧倒的な消費電力の差
暖房費をできるだけ節約したいのであれば、先ほど紹介した300Wのセラミックヒーターよりも、電気毛布のほうが経済であった。
電気毛布の消費電力は約10~100Wと非常に低く、セラミックヒーターやこたつ、エアコンと比べても電気代を大幅に抑えられる。体を直接温める暖房器具のため、部屋全体を暖める必要がなく、一人で作業したり就寝したりする用途であれば、暖房費の節約効果は高い。
失敗しやすいサイズ選び
ただし、サイズ選びは重要である。私自身、何枚か購入して失敗した経験があるが、小さいサイズ「140×80(cm)」では足を伸ばした状態で全身を暖められず後悔した。掛け毛布として使用するなら「180×140(cm)」前後の大判サイズがおすすめだ。
電気毛布の熱を逃さない使い方
室温が10℃前後まで下がる環境では、電気毛布を膝に掛けるだけでは暖かさを十分に感じられなくなった。電気毛布から発生した熱が空気中へ逃げてしまうためだ。
そこで、電気毛布の上から通常の毛布や掛け布団を重ねて使用したところ、熱が内部に閉じ込められ、弱モードでも汗ばむほど暖かくなった。これはテントに毛布を掛けて断熱性を高めるのと同じ考え方で、暖かい空気の層を作ることで保温効果が大きく向上するからだ。
USB給電(5V・2A、約10W)の省電力タイプでも、毛布を重ねることで十分暖かく使用できた。
割高になるが、生地が厚めの電気毛布ほど保温性が高く、暖かさも持続しやすい。




















































































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