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据え置き型(大型加工機械専用)集塵機
1日に大量の切削屑が発生する場合はこれ
小型の集じん機は、コンパクトで持ち運びができるほど軽いため、建築現場等にも手軽に持っていくことができ便利です。しかし、回収タンクの集じん容量が小さいため、切り屑が大量に発生する作業場所では回収タンクがすぐに一杯になってしまう短所があります。
この据え置き型の集じん機は、質量が重く据え置きタイプなので、持ち運びすることはできませんが、一度にたくさんの容量(300L↑)を集じんすることができる長所があります。そのため、切削屑が大量に発生する製材所や工房などで設置されています。
一般的な集塵機よりトルクが強く風量が強いため、ホースを分岐させて複数の木工機や電動工具に接続したり、ゴミが発生する場所にホースを設置して吸引することも可能です。(ジョイントを使用することにより、細いホースに接続することが可能)
集じん袋を上部と下部に取り付け、スイッチをいれると集じん袋から空気が排出され粉じんは下袋に溜まります。動画ではビニール袋(下袋)を装着していますが、繰り返し使用できる集じん袋がついているものが一般的です。
据え置き型(中型タイプ)の集塵機
大容量で持ち運びができるものならこれ(約10kg)
上で紹介した上袋と下袋がついた大きなタイプの集塵機の場合、大型で質量が50kg以上もあり、場所をとったり、持ち運ぶことができません。一方、この中型タイプの集じん機は、質量が10kgほどなので、建築現場等に持ち運ぶことが可能です。
床の掃除は苦手ですが、風量も強いので機械から発生する粉じんや切り屑を回収するのに最適です。種類は、切り屑が吸引できる木工専用と粉じん用のタイプがあります。集じん容量が100~200Lと掃除機兼用型や携帯型の集じん機より一度に回収することが可能です。
木工用集じん機 | 粉じん用集じん機 |
携帯型(小型)集塵機
AC電源 | バッテリー式 |
持ち運びができて一番軽いものならこれ
こちらは電動工具専用の集じん機になり、上で紹介した中型タイプや掃除機兼用型の集じん機より、小型で質量(約2kg)が軽いため、さらに持ち運びがしやすく、建築現場等での使用に最適です。
主に切削屑が発生する電動工具に接続して使います。別売りのブロワ用ノズルを取り付けることにより、ブロワのように吹き飛ばし作業もおこなえます。据え置きタイプなため、床の掃除は苦手です。
後部には大きな集じん袋がついており、スイッチを入れると集じん袋が膨らみ、ホースから吸い込んだ切削屑が溜まる仕組みになっています。(紙パックに対応しているモデルもあります。)
電動工具のバッテリーを装着できる充電式モデルもあるので、電源を確保できない場所でも電動工具から発生した切削屑を集じんすることができます。ちなみにマキタの450(P)は、連動コンセントがついています。
掃除機兼用型集塵機
粉じんの集じん | 掃除機として | 液体も吸引(乾湿両用) |
床の掃除もしたい場合はこれ
家庭用掃除機で材料の切削屑が大量に落ちている場所を吸引した場合、紙パックはすぐに満タンになるためすぐに交換しなければなりません。また、目詰まりしやすい微細な粉じんを吸引すると、すぐにフィルターが目詰まりをおこし吸引力が落ちてしまいます。
そこで、掃除機兼用型の集塵機で材料の切削屑が大量に落ちている場所を吸引しすると、回収タンクの集じん容量が大きいため一度に大量の切削屑を回収できます。また、吸引力が家庭用掃除機よりも強いため、目詰まりしやすい微細な粉じんを吸引しても吸引力が落ちにくい。
掃除機と同じで底部にはキャスターがついており、ストレートホースと床用ヘッドが装着できるので、機械に接続して切り屑や粉じんを集じんするだけでなく、家庭用の掃除機のように床や機械を清掃することも可能です。そのため、オフィスや店舗など広い場所のフロア掃除にも使われています。
一般家庭用の掃除機より吸引力が低いモデルもあるので、床や機械に落ちている切削屑などを清掃する目的でも使用する場合は、吸込仕事率の強いモデルを選びましょう。集じん機の吸込仕事率は300Wもあるとかなり強いです。
掃除機兼用型集じん機の種類には「乾式用」と「乾湿両用」のタイプがあり、乾湿両用は、乾式用と違い、乾いたゴミだけでなく、湿ったゴミや液体(水)を集じんすることも可能です。乾式用と乾湿両用の違いの詳細は集じん方式のページからどうぞ。
自作集じん機
「分離機」を使うと、集塵機や掃除機にゴミが溜まらない
家庭用の掃除機や掃除機兼用型の集じん機で、材料の切削屑が大量に発生するような機械に接続すると、すぐに紙パックや回収タンクがゴミでいっぱいになります。また、材料の加工時に微細な粉じんも発生するので、フィルター式の掃除機や集塵機はすぐに目詰まりがおこり吸引力が低下します。さらに、目詰まりしたフィルターから粉じんを取り除かなければいけないので、お手入れにも手間がかかります。
そこで、掃除機や集塵機の吸込口のあいだに自作した分離機と回収タンクをつなげることにより、材料の切削屑を別の容器に回収することが可能になります。吸込口から吸い込んだ空気と切削屑を分離機が遠心分離するため、切削屑だけが回収タンクに落ちていきます。そして、空気だけが掃除機や集塵機に吸い込まれていくので、本体には切削屑が溜まらないうえ、フィルターの目詰まりもおこりません。
この分離機と回収タンクを併用すれば、高価な集じん機を購入しなくても、家庭用の掃除機でも吸引力を落とすことなく大量の切削屑を別の容器に回収することができます。また、集じん機より、粉じんを舞い上がらせることなく、回収したゴミも捨てることができますし、頻繁におこなっていたフィルターのお手入れの頻度もすくなくなります。
分離機(サイクロン)の仕組み
回収タンクの上にある分離機は。製材所などに設置されている円錐形の装置と同じ構造になっています。ゴミと空気を分離する仕組みは、分離機の側面から吸い込んだ空気を取り込むことにより、吸い込んだ空気を竜巻状に回転させ、遠心力と重力をで吸い込んだゴミと空気を分離しています。
分離機の中心部分では上昇気流が発生しており、空気だけが上の吸込口に向かって突き抜けていきます。分離機で強力な遠心力を発生させるほど、切削屑は外周の壁をぶつかりながら回収タンクに落ちていくので、質量のある切削屑は空気と一緒に上の吸込口から逃げだせにくくなっています。
身近に感じられる遠心力といえば、車でスピードをだした状態でカーブを曲がると、曲がる方向とは逆に体が引っ張られる力を体感したことはないでしょうか?何かにつかまっていないと体をもっていかれるような力こそが遠心力です。分離機に吸い込まれた切削屑も遠心力によって壁に引っ張られながら落ちていくので空気と一緒にはでられません。
自作集じん機の種類
回収容器の上で分離(サイクロン) | 回収容器の中で分離(サイクロン) |
- 回収容器の上部に設置した分離機で竜巻を発生させて分離タイプ
- 回収容器の中で竜巻を発生させて分離するタイプ
色々な人たちが作ったサイクロン式の分離機を調べてみると2種類に大別されます。1つ目は回収タンクの上部に分離機を設置し、その分離機でゴミと空気を遠心分離するタイプ。2つ目は、ゴミを溜める回収タンクの中でゴミと空気を遠心分離するタイプです。
回収タンクの上部に分離機があるタイプ
回収タンクの上に分離機を設置しているタイプは、上の分離機でゴミと空気を分離して、ゴミだけを回収タンクに落とします。このタイプのものは、先の尖った円錐形の筒を分離機にしている人が多くいます。
分離機が円錐形である理由は、直径が小さくなるとゴミの飛び回るスピードが50%加速するからです。直径が小さくなるほど加速するスピードが速くなるため、強い遠心力(G)が発生し、ゴミを分離する能力が高くなります。
例えば、スピードをだした車で緩やかなカーブと急なカーブを曲がるとドアにぴったり体を押さえつけられるのは、急カーブを曲がったときだと思います。強い遠心力でゴミを壁側に押さえつけると、中央上部の吸込口からゴミが空気と一緒に逃げにくくなります。
回収タンク自体で分離するタイプ
円柱状の回収タンクじたいでゴミを分離しているタイプも、上のタイプの分離機と同じように、回収タンクの側面から空気とゴミを取り入れているので、遠心力を利用してゴミと空気を分離しています。
しかし、ゴミの溜まる回収タンクの中で竜巻(サイクロン)を発生させているので、ゴミが溜まってくると、宙に舞い上がるような軽い粉じんが、回収容器の中で飛散しやすくなります。
そのため、中央上部にある吸込口から空気と一緒に粉じんが突き抜けやすくなり、空気とゴミの分離能力は、上部に分離機を設置しているタイプより低くなります。右の動画のように段付構造にして、ゴミを飛散しにくいように工夫している方もいます。
カラーコーン | レジューサー |
分離機として利用できるもの
自作している方の分離機を見ていると、工事現場におかれてるカラーコーンや、配管の継手に使われレジューサーなどを利用している方が多くいます。特に、カラーコーンはホームセンターで500円ほどで販売されていることから、手にいれやすく安価な価格なので人気があるようです。
カラーコンはゴミと空気を分離する能力が高い掃除機(ダイソン、トルネオ)のようにサイクロン部分が円錐状になっており、円柱状のものより、強い遠心力を発生させることができるので個人的にもおすすめです。
ちなみに、円錐形になったペットボトルでも分離機にすることができますが、ペットボトルのような柔らかいものをだと、吸込口が床に張り付いたときや、ホースにゴミが詰まったときに、ぐにゃりと潰れてしまいます。なので、分離機に柔らかい素材のものを代用するのは避けたほうがよいでしょう。
ペール缶(鉄) | ペール缶(樹脂) | 丸バケツ | 漬物樽 |
回収タンクとして利用できるもの
自作している方の回収タンクを観察していると、「ペール缶」「漬物樽」「丸バケツ」を利用している方が多いです。個人的に釣りで魚や餌を入れたりするサンペールの丸バケツがおすすめです。密閉できるフタがついており、柔らかいので加工がしやすいからです。
回収容器は、透明、半透明のもののほうがフタを空けなくてもゴミの量が確認できるので便利です。また、上でペール缶や丸バケツを紹介していますが、20L程度なので、手押し鉋や自動鉋のように切削屑が大量に発生するような機械に使うとすぐに一杯になります。ただし、回収容器を大きくするほど吸引力が低下するので注意しましょう。
ちなみに、分離機でゴミと空気を分離する場合は、回収する容器は円柱状のものでなくても問題ありません。しかし、回収容器で竜巻を発生させて分離させる場合は、円柱状にしなければ竜巻を発生させることができないので、空気とゴミを分離することができません。
Oneida-ダスト・デピュティー | トリトン-ダストコレクター |
作るのが面倒な人は既製品の分離機
分離機を販売している海外メーカーもあるので、自作するのが手間だと考える方は購入することも可能です。「Oneidaのダスト・デピュティー 」や「トリトンのダストコレクター」が有名ですが、1万円前後もするので作りのわりに高価です。
追記:最近(2015)、Amazonなどで中国メーカーであるが、安価な分離機が出品されているのを見かけるようになりました。回収容器はペール缶などを自分で用意して、蓋に穴を開けてボルトで固定するだけなので簡単に作ることが可能です。
回収容器の蓋が木や樹脂の場合は、当サイトで紹介している「ホールソー」や「自在錐」で綺麗な穴があけられます。蓋が2~3mmの厚さであれば「円切りカッター」でもあけられます。
集塵機のホースとして利用できるもの
大手電動工具メーカーが販売している集じん機の専用ホースは高価なので、予算を抑えたい場合は、ホームセンターで、メートル売りされているホースを購入したほうが安価なのでよいでしょう。
ネットで購入する場合は、〔サクションホース〕〔ダクトホース〕〔フレキシブルホース〕〔集じんホース〕というキワードなどで検索すると集じん機で利用できるようなホースが見つかります。
ちなみに、ホースの色が透明だと詰まった場所がすぐにわかり便利です。マキタ・日立工機・リョービの掃除機兼用型集塵機のホースのサイズは、大半がΦ38です。電動工具用のホースは、マキタがΦ25、日立工機がΦ28になっています。
集塵機 火の用心
ネットで自作の集じん機を見ているとアースをとっている人が何人かいます。集じん機の中では摩擦によって静電気が発生しているので、静電気と粉じんによって発火・爆発することがあるようです。
また、トリマー加工などでよく起こりますが、慣れてない頃やビットの切れが悪いときに、材料を焦がしてしまうことがあるかと思います。焦げた切り屑を吸引すると、回収箱の中で発火することもあるので、作業場所から離れるときは、回収箱の中を確認し、燃えやすいものを近くにおかないほうがよいでしょう。
径違い(ソケット) | TS継手エルボ(90°) | TS継手エルボ(45°) | 継手(ソケット) | TS継手エルボ(チーズ) |
塩ビ TS継手一覧
自作集塵機で利用できそうな継ぎ手の一覧です。
塩ビ管にはVP管(肉厚管)とVU管(肉薄管)がありますが、厚みが薄いVU管は適しておりません。
TS継手はVP管を同士を繋ぐ継手なので、VP管と同じように(肉厚管)になっており丈夫な作りになっています。
TS継手は様々な形状なものがあるので、私のサイトより〔専門サイト〕や〔ホームセンター〕などに足を運んで見たほうがよいと思います。
塩ビ管の呼び径
塩ビ管には呼び径があり、呼び径(mm)は内径と外形のサイズとは異なります。
またTS継ぎ手はパイプを継手の受口に差込まなければいけないので、パイプと継手の呼び軽サイズも異なります。
パイプ管の呼び径サイズを参考にTS継手を購入すると、少し大きいサイズになってしまうので注意が必要です。
例えば、呼び径(30)のパイプは外径が38mmありますので、TS継手の呼び径(30)は内径:38.60mm 外径:46mmと少しだけサイズが大きくなります。
口径38φの集塵機のホースをTS継手に繋げたい場合に、TS継手の呼び径(30)の継手を購入しても上手く繋がりません。
パイプと継手の呼び径は合わせてあるので、パイプと繋げる場合は同じ呼び径の継手を使用しましょう。
下は分かりやすく〔塩ビ管のVPパイプ〕と〔VPパイプ同士を繋ぐTS継手〕の外径と内径サイズだけをまとめた寸法一覧です。(100mmまでまとめています。)
便利なアダプターのページでは、違うサイズのホース同士を接続できるアダプターも紹介しているので、興味があればご覧ください。
VPパイプの呼び径(肉厚管) |
||
呼び径 | 内径 | 外径 |
13 | 13mm | 18mm |
16 | 16mm | 22mm |
20 | 20mm | 26mm |
25 | 25mm | 32mm |
30 | 31mm | 38mm |
40 | 40mm | 48mm |
50 | 51mm | 60mm |
65 | 67mm | 76mm |
75 | 77mm | 89mm |
100 | 100mm | 114mm |
メモ張にどうぞ。
TS継手の呼び径(VP管を繋ぐ継手) |
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呼び径 | 内径 | 外径 |
13 | 18.40mm | 24mm |
16 | 22.40mm | 29mm |
20 | 26.45mm | 33mm |
25 | 32.55mm | 40mm |
28 | 34.55mm | 41mm |
30 | 38.60mm | 46mm |
35 | 42.60mm | 50mm |
40 | 48.70mm | 57mm |
50 | 60.80mm | 70mm |
65 | 76.60mm | 87mm |
75 | 89.60mm | 102mm |
100 | 114.70mm | 130mm |