題名: お世話になります・小さな天然石への穴開けについて
メッセージ本文:
私は工具等安いミニルーターぐらいしか使用したことのない素人なのですが、どうしても小さな天然石に穴を開けたく、今回メールを書かせて頂きました。具体的には1cmほどのパールなのですが、形状が球根型(雫型)のものになります。その細くなっている部分を上に見て上から約3-5mmの場所にワイヤーを通す0.8mmほどの横穴を貫通で開けたいと思っております。ブログにありました[レクソンの卓上ボール盤]が良いのかなと思い自分なりに調べたのですが、不向きでしょう か?ダイヤモンドビットが折れてしまうとあったので怪我が怖く購入に踏み切れておりません。ミニルーターの方が良いと書いてあったので手持ちのもので試みたのですが、滑ったりして精密に垂直に開けることができませんでした。また時間がとてもかかり、もっと上手に短時間で出来る方法があるのではないかと思いメールを書かせて頂きました。お忙しいことと思いますが、おすすめの方法や工具等アドバイス頂ければ大変大変嬉しく思います。乱文失礼致しました。どうぞ宜しくお願い致します。
—
このメールは DIY工具紹介部 (http://diytool.biz) のお問い合わせフォームから送信されました
「ドリルスタンド」「ボール盤」精度が高いのはどっち?
●基本的にドリルスタンドはわずかにガタツキが発生する
●ボール盤はガタツキが一切発生しない
●精度を重視する場合はボール盤のほうが適している
基本的に精度の高い垂直穴をあけたい場合は、ドリルを回転させながら直進運動を行うことができる「ドリルスタンド」や「ボール盤」が必要になります。双方の精度を比較するとドリルスタンドはドリルを固定するヘッドにわずかにガタツキが発生するのに対し、ボール盤の主軸頭はまったくガタツキが発生しません。
このため、細部に穴をあける用途ですと、剛性が高く振れ幅の少ないボール盤のほうが最適です。ボール盤の種類は多いですが、加工する工作物が小さい場合はベースがテーブルの役割を兼ねている「ミニボール盤」のほうが加工しやすいです。
雫型パール(真珠)の固定方法
0:00
雫型のパールの固定方法ですが、プラスチック粘土でもしっかり固定できるのあれば問題ないかと思います。ただし、量産する場合だと効率が悪いため、バイスで挟んで固定する方法をおすすめします。一般的なバイスでは真円・雫・楕円形の天然石を固定することができないため、バイスの口にくぼみのつけた板を接着するとしっかり固定することができました。
わたしが使用したピンセットで真珠を掴むと非常に滑りやすくバイスにせっとする際に往生するときがありました。試していませんが、ピンセットは滑り止めのついたタイプや先端にゴムがついているタイプのほうがよいかと思いました。
真珠に0.8mmの穴をあけるのに必要な先端工具
2:03
0.8mmのダイヤモンドビットがないため、穴をあける先端工具はハイス鋼(HSS)のマイクロドリルの0.8mmを使用しました。真珠に穴をあける時間は1分もかかりませんでした。超硬合金(タングステン)の問題ないと思いますが、どちらも0.8mmのドリルビットだと負荷をかけるとすぐに折れてしまうほど細いため、0.8mmのビットが複数入った商品を選ぶとよいでしょう。ドリルはレバーを慎重に引きながらゆっくり工作物に進入させていきます。
1:17
ただし、マイクロドリルの先端がツルツルした真珠層に接触したときにドリルの先端が逃げてしまうため、あらかじめ、ドリルの先端が滑らないようにダイヤモンドビットで真珠層の表面を削る必要がありました。動画では先端の細いダイヤモンドビットを使用していますが、このビットで先端が滑る場合は、先端が丸いタイプのほうを使用します。※ダイヤモンドビットでも天然石に穴をあけることは可能です。
ミニボール盤で怪我をしないための安全対策
主軸が固定されたボール盤を使用した場合、ダイヤモンビットは工作物を動かしたり強い負荷をかけない限り滅多に折れることはありません。また、細いビットが折れたとしても「保護メガネ」を着用していれば大きな怪我(失明)をすることはありません。顔全体を守りたい場合は保護メガネと面体が一体化した「保護面」の着用すれば不安感は消えると思います。