マキタの充電式ファン 首振り機能がついて新登場
2019年4月にマキタから発売された新しい充電式ファンを購入した。今回、新しく発売された充電式ファンは[CF202D]と[CF203D]の2機種がラインナップ。カラーバリエーションはどちらも「ブルー」と「ホワイト」の2色が用意されている。
充電ファンの最大の特長となっているのが、同社の電動工具に採用されているリチウムイオンバッテリーを使い回すことができること。さらに、新しく「自動首振り機能」を搭載しているうえ、風速は従来モデルより約58%もアップしているという。
●作業員に涼風を行き渡らせる
●部屋や作業場所の換気や循環送風
●海や山などのレジャーシーンで活躍
●災害時の停電でも活躍
○サイズ:140×333×447(mm)
○重さ:1.9kg
どういったシーンで活躍するの?
わたしは写真や動画を撮影するために使ってる部屋で使用するために購入。この部屋はエアコンが設置されていないので、夏場は動いてなくても汗ばむほど暑くなるのだ。その他に人が滅多に入らない部屋がいくつか存在するため、サーキュレーターのように空気を効率よく循環させる目的で使用。コード付きの安価な扇風機やサーキュレーターのほうが経済的であったが、フォルムに惹かれるものがありCF203Dを購入。
同社のプロ用電動工具にも使われているバッテリーが使える充電式ファンということもあり、夏の建築現場(屋内)はもちろんのこと、電源がとれないキャンプや海といったレジャーシーンでも活躍する。また、マキタのバッテリーを複数持っていたり、ポーターブル電源(AC100V使用可能)を持っているのであれば、自然災害などで停電が発生したときにも心強い充電式ツールとなること間違いなし。
どれくらいの広さをカバーできるの?
メーカーによると羽根径は従来モデルと同じ約230mmを維持したまま、風速を約58%させているという。強モードの風速は190m/minあり、体感では6畳くらいの広さに涼風を送風できる程度の強さだと感じた。さらに広範囲に強力な風を行き渡らせたい場合は、羽根経(330mm)が大きいCF300DZ。車内やテント内といった狭い場所で使う場合は、羽根経の小さいCF102DZのほうが適しているだろう。
ただし、騒音値は53dB(換気扇程度の音)あるため、一般的な家庭用掃除機と比べて風切音がややうるさく感じた。作業中やレジャーシーンでは気にならないだろうが、これをリビングなどで使用するとTVの音量を2~3上げないと聞こえなくなるほど。また、一般的な扇風機の羽根の枚数は4枚以上なのに対してCF202D/CF203Dは3枚、羽根の枚数が少ないと風当たりも強く感じるため、家庭用としては不向きである。
風速/風量の調整はできるの?
従来モデルと同様に(弱・中・強)の切り替えを行うことができる。わたしの体感では強モードで6帖のスペースに涼風を送るできる程度の風量だと感じられた。
Image | モデル | 羽根経 | 風速 |
CF201D(14.4/18V) | 230mm | 標準:– 強:120 | |
CF202D(10.8V) CF203D(14.4/18V) | 235mm | 弱:120 中:150 強:190 | |
CF100D(10.8V) CF102D(14.4/18V) | 180mm | 弱:120 中:150 強:180 | |
CF300DZ(14.4/18V) | 330mm | 弱:— 中:— 強:220 |
自動首振り機能はついてるの?
従来モデルのCF201DZは手動で上下に角度を調整して風向きを変えることしかできなかったが、CF203Dは手動で上下左右に風向角度を調整できるのに加え、自動で左右に首振りする機能を搭載している。このため、サーキュレーターのように空気を循環させる用途や、一般的な扇風機のように広範囲に涼風を行き渡らせる用途でも使用することができるようになった。
タイマー機能は使えるの?
従来モデル(CF201DZ)と同様に自動でOFFにきりかえることができるオフタイマー機能も搭載されている。1時間/2時間/4時間の設定が可能となっており、使用してない部屋の空気を循環させる用途でタイマー機能を使用しており大変便利である。
ちなみに、従来モデルはタイマー機能しか搭載されていなかったため、自動首振り機能が搭載されていた-日立工機のコードレスファン(UF18DSAL)を選んだと記憶している。UF18DSALは購入して5年が経過したが、現在も夏場はエアコンの設置されていない台所で活躍している。
カバーを外してお手入れできるの?
UF18DSALを5年間使用して一番うんざりしたことが、羽根やカバーに付着した埃や猫の毛のお手入れであった。やや細かな網目のカバーに綿埃や猫の抜け毛が頑固に絡みつくため、掃除機にブラシノズルを装着して掃除をしてもスムーズに除去することができないのだ。さらには、カバーを外すことができないため、羽根についたゴミを除去するのも一苦労。カバーの網目は綿棒、羽根はブラシの長いミニホウキで何度もお手入れをする必要があったのだ。
前述したようにわたしが所持している日立工機の[UF18DSAL]は、工具を使ってもカバーを取り外すことができなかったが、マキタの新モデルは前側のカバーを工具レスで取り外すことが可能となっている。このため、面倒だったカバーや羽根のお手入れが簡単に行えるようになっている。ちなみに、従来モデルのCF201Dや小型・軽量タイプのCF100Dは工具レスでカバーを外すことができない。
バッテリー | 電圧/容量 | 使用時間 |
BL1430B | 14.4V 3.0Ah | 弱:6時間10分 中:3時間35分 強:2時間10分 |
BL1460B | 14.4V 6.0Ah | 弱:12時間50分 中:7時間25分 強:4時間35分 |
BL1830B | 14.4V 3.0Ah | 弱:8時間45分 中:5時間20分 強:3時間15分 |
BL1860B | 14.4V 6.0Ah | 弱:19時間15分 中:11時間40分 強:7時間10分 |
満充電のバッテリーでどれくらい使用できるの?
上記のとおり風量モードによって連続使用時間大きく変わる。わたしは従来のスタンダードモデル3.0Ahのバッテリーを使用しているため、強モードで使用すると「あとちょっとでバッテリー切れそうだな…」と常に不安がつきまとった。3.0Ahのバッテリーを複数所持しているため、途中で充電切れをおこしても連続運転することは可能だが、連続使用時間が長い作業やレジャーなどで使用する場合は、大容量のバッテリーを使用したいところ。
コンセントに差し込んで使うことはできるの?
基本的に電動工具メーカーの充電ファンの電源は、同社が展開する電動工具に使用されているバッテリーだけでなく、コンセント(AC100V)から電源を取ることも可能となっている。新モデルも同社のプロ用14.4V/18V充電式電動工具に採用されている同タイプのバッテリーを装着して使用することはもちろん、付属されているACアダプタを使用すれば、100Vのコンセントから電源をとることが可能となっている。
ポータブル電源で使用することはできるの?
同社の大容量バッテリーの残量がなくなってしまうほど、長いあいだ連続運転したい人や、電源のない場所で何日間も使用したい人もいるのではないだろうか。そこでさらに大容量の電気を貯めておくことができる「ポータブル電源」に接続して使用できるのか調べてみることに。
結果は充電ファンの風量を落とすことなく問題なく使用することができた。ポータブル電源に接続し使用するもよし、ポーターブル電源にマキタの充電器を接続して予備バッテリーを充電しながら使用することも可能。
ちなみに一番風量の強い「強モード」の消費電力は15Wとお風呂の換気扇並に消費電力が小さいため、AC電源(コンセント)がとれるポーターブル電源であれば、どこのメーカーのモデルでも使用することが可能だろう。
Image | モデル | 電圧 | 羽根経 | 風速 | 機能 |
CF201DZ 2.2kg | 14.4/18V | 230mm | 標準:– 強:120 | 上下角度調整(手動) タイマー機能 | |
CF202DZ CF203DZ 1.9kg | 10.8V 14.4/18V | 235mm | 弱:120 中:150 強:190 | 左右首振機能(自動) 上下角度調整(手動) タイマー機能 カバー工具レス脱着 | |
CF100DZ CF102DZ 1.3kg | 10.8V 14.4/18V | 180mm | 弱:120 中:150 強:180 | 左右首振機能(自動) 上下角度調整(手動) タイマー機能 | |
CF300DZ 4.0kg | 14.4/18V | 330mm | 弱:— 中:— 強:220 | 左右首振機能(自動) 上下角度調整(手動) タイマー機能 カバー工具レス脱着 |
マキタの充電ファンならどれがおすすめなの?
現在(2019年)のマキタのラインナップから選ぶとすると、古いモデルのCF201DZは選択肢から外れる。なぜなら比較的新しいモデルに比べると風速に大きな差があるうえ、自動の左右首振り機能もついていないからである。また、手動で行える上下角度調整機能も軸を可変させるため、角度をつけると場所を取る欠点も存在する。
CF300DZも古いモデルであるが、他のどのモデルより羽根経が大きいうえ、風速が強いため、最大風量にウェイトを置きたい場合におすすめである。ただし、写真では工場扇のように大きく見えるが、実際は一般家庭くらいの扇風機と同じ羽根径+風速なので、風の強さに過度な期待はしないほうがいいだろう。せいぜい6帖程度の広さでないと風を感じることはできないだろう。
CF100DZ/CF102DZは軽量+小型に特化したモデルのため、車内やテントなど狭い場所に設置したい場合に最適のモデルとなるだろう。羽根経が一番小さいモデルとなるが、風速はCF202DZ/CF203DZに比べると大きな差はないため、狭い場所では扇風機としてもサーキュレーターとしても使用できる。ただし、カバー工具レス脱着機能がついていないため、カバーを取り外してお手入れをすることが難しい。
持ち運びながら作業用として使用する場合は、CF202DZ/CF203DZが個人的に一番おすすめである。CF300DZより半分の重さであるし、風速にもそこまで大きな差があるとも思えない。前モデル(CF201DZ)と違い、省スペースで首振り機能が使えるのも嬉しいポイント。さらに工具レスでカバーを着脱することができるため、羽根やカバーに付いた綿埃のお手入れが簡単にできるのは高ポイント。
わたしは日立工機とマキタの充電ファンを使用したが、基本的に電動工具メーカーの充電ファンは風当たりの強い3枚羽根なので、家庭で扇風機として使用することはおすすめしない。また、家庭用扇風機に比べると風切音がうるさいので、デスクワーク・TV視聴時・睡眠中に使用すると耳につくデメリットも存在。電源がとれない場所での使用には最適だが、家で涼風に当たる目的なら家庭用の扇風機のほうがおすすめである。