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映画「WOOD JOB」レビュー

あらすじ

高校卒業を迎えたものの、大学受験に失敗、彼女にも別れを告げれてしまって行き場のない平野勇気(染谷将太)。そんなとき「緑の研修生・林業プログラム」というパンフレットの表紙の美しい女性(長澤まさみ)が目に止まる。その笑顔に乗せられるように、勇気は研修生に応募。

林業 研修生 募集

近畿地方の山間にある、ケータイの電波も届かない、田舎の研修場所へ到着した。その土地のあまりの田舎っぷりと、想像を絶する現場の過酷さに、勇気はことあるごとに逃げ出したくなる。実習では、さらに奥地の神去村(かむさりむら)にある、中村林業行きが割り振られ「今度こそ逃げようか」と目論んでいるところへ迎えの車が到着…そこには超ワイルドな山男・飯田与喜(伊藤英明)が立っていた。

ウッジョブ

神去村にある与喜の家に住み込みで暮らすことになり、ますます過酷な仕事の取り組む日々の中、ドツボにはまったかと思った勇気だったが、パンフレットの美女・石井直紀とも出会って交流を重ね、徐々に神去村の自然の素晴らしさ、林業の面白さ、村の人々の人柄に惹かれ、村への愛着を深めていく。やがて、村の伝統である奇祭の日を迎え、勇気も祭りに参加することになるが…。

WOOD JOB!(ウッジョブ)

作品紹介

直木賞作家・三浦しをんの人気小説『神去なあなあ日常』を、映画『ハッピーフライト』などで知られる矢口史靖監督が映画化した、青春ヒューマンコメディ。高校を卒業したばかりの、なにかにつけ中途半端な都会っ子の主人公が、ひょんなことから足を突っ込むことになった林業の世界。やがて、働く喜びを知り自然の美しさに目覚め、見知らぬ土地の人々との交流を通し、成長する姿を描いている。分かりやすく楽しいストーリーも魅力だが、林業の作業風景や山間の村の自然の景色も同時に楽しめる、コメディタッチの作品だ。

田舎の生活

エンタメ映画ではあるが、この作品では現実の林業のノウハウや田舎の「あるある」が詰まっていて、そこに注目して観ても面白い。身近なところでは、山でヤマビルにたかられあわてて火で炙って落としたり、キャンプ場でハチノコを焼いて食べたり・・・山登りやキャンプなどをしている際に、実際に知識として役に立ちそうなエピソードもたくさん出てくる。それがこの作品の醍醐味だ。

丸太 伐採

木の伐採のノウハウもちょいちょい登場する。主人公が研修を受けているという設定で話が進むので、説明はとても具体的だ。木を伐採する際に、1.倒れる方向を考え、2.その方向を元にチェーンソーで斜めに「受け口」を入れ、3.その後に「追い口」を作り、4.くさびをうちこむ・・・と、伐倒の基本が、説明とともに実演される。そのほかにも、高所作業のためのロープワークや、作業のための装具も紹介される。また危険回避の注意事項なども言い渡されるものの、主人公・勇気はそこここで、ことごとく失敗してみせてくれたりもする。

GPS

主人公が驚く林業界の実情として、山奥でもGPSやパソコンで管理をしているという説明や「林業は農業とは違い、次世代へとつむぐために苗木を育てる不思議な仕事だ」という林業家の言葉には、思わずなるほど、とうなずいてしまう。染谷将太演じる主人公は雨の中過酷な作業を経験したり、村人と交流したり、日々を重ねる中でだんだんと成長していく。やがて仕事の腕を上げ、たまに認められたり、大木を目の前で倒したことに感動したりするのをみていると、だんだんと自分のことのように、喜びが込み上げてくるようになる。

神隠し

また、リアルな部分の面白さとは別に、フィクション要素ももちろん用意されている。天候が荒れ、山おろし(霧)とともに子どもが神隠しにあい、村中が大騒ぎになるとシーンは、神秘性を演出し、山への恐れと山を敬う気持ちを思い出させてくれる。また、何と言っても矢口監督が力を入れたという大木をまつる奇祭の一連は最大の見所。夜から翌朝にかけて行われるという大掛かりな祭りの撮影では、大勢の役者とエキストラが集結し、「そんなバカな!」という展開とともに、迫力ある一大イベントを体験させてくれる。

映画「WOOD JOB」レビュー

また、村人も味があるキャスティングでドラマを盛り上げている。伊藤英明が演じるワイルドな林業家の与喜(ヨキ)は見事に手鼻を飛ばし、職人っぽさを表現。村の子どもたちは野生児のように駆けずり回り、そのほか、マキタスポーツ、近藤芳正、光石研ら男衆、頑固な長老の柄本明、あけっぴろげな女衆に優香、西田尚美などを配し、素朴な村の女性像を好演。彼らが演じる村の暮らしは、シンプルながら楽しげだ。男衆みんなで林業トラックの荷台に乗りこみ、歌いながら山間を移動する心地よさ。仕事の合間に見晴らしのいい山の高台で飲むコーヒーの美味しそうなこと! そして材木の競り場で「いい木だ」と高評価で高値がつけられ、中村林業の面々がニヤリとするシーンでは、観ている者も、喜びを分かち合った気分になれる。

ロケ地マップを手に入れる! ヤバいとGOOD JOB!集めました。【神去村((美杉町)がヤバい。】

この作品の神去村としてロケを行ったのは、三重県にある美杉村という村。なんとこのロケ地マップも存在した(http://kamusari.com/locmap.html)。実際に行ってみても楽しそうだ。ところでタイトルにもなっている「なあなあ」という言葉は神去村の人々の口癖で「ゆっくりいこう」「まあ、あわてずに」といったニュアンスだそうだ。仕事に追われて、ちょっと余裕のない日々が続き「なあなあ」な気分にひたりたくなったら、また観よう・・・そんな気分になる作品だ。

現在、「アマゾンプライム会員」であれば無料で視聴ができる。

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