シンワ|デジタルノギス 19978
安くなったデジタルノギス
デジタルノギスといえば、昔は随分と高価なイメージがあったが、現在では2,000円を切っている安価な製品も販売されている。
写真のデジタルノギスは、Amazonで約1,500円で販売されていたものである。販売しているメーカーは測定器で有名な「シンワ測定」だったので、なんのためらいもなくポチった記憶がある。
カーボンファイバー製だから、測定物に傷がつかない
商品説明を確認せずに購入したので、手元に来るまで気づかなかったが、このノギスはステンレス製ではなく、本尺と測定部の素材がカーボンファイバーであった。
なので、ステンレス製のデジタルノギスより軽く、持ち運びには最適である。また、カーボンファイバーはプラスチックのような柔らかい部類の素材なので、測定物を傷つけることなく測定できる利点もある。
しかし、「金属」「石材」「鋳物」など硬い材料の測定で使うと、ジョウが磨り減りやすく、ステンレス製や超硬チップが施されたノギスより耐久性が低くなります。そのため、硬い材料の測定で使う作業には適していない。
最小読取値が小数点第一位だから、細かい数値が読み取れない
デジタルノギスといえば、どの製品も最小値は小数点第二位まで読み取れるものだと勝手に思っていたが、このノギスは小数点第一位までしか読み取れなかった。
まあ、わたしが主に扱う材料は木材だし、大雑把な方なので、最小読取値は小数点第一位でも問題ないのだが、旋盤など高い精度が必要な作業や素材を扱う場合には、このノギスは不向きです。
器差が大きいから精度が低い
器差とはノギスで測った測定値と実寸値の差である。この19978は外径測定の器差:±0.3mm、内径測定の器差:±0.5mmと大きな誤差が生まれる。
最小読取値が0.1mmなうえ、曲がりが発生しやすいカーボンファイバーなので、仕方がないのかもしれないと思ったが、この器差はプラスチック製のノギスより大きな器差だ。
精度が必要であれば、やはり0.01mmまで読み取れるシンワや新潟精機のデジタルノギスがよいだろう。予算があるのであれば、日本製のミツトヨのデジタルノギスのほうがおすすめだ。
ミツトヨのデジタルノギスは、150mmタイプで器差が±0.02mmなので、シンワ測定や新潟精機が販売しているノギスより精度が高い。
デプスバーがないから、穴の深さが測定出来ない
一般的なノギスは、3種類の測指を持っている。外径測定が可能な「外側用ジョウ」、内径測定と段差測定が可能な「内側用ジョウ」、そして穴の深さが測定可能な「デプスバー」だ。
しかし、このノギスにはデプスバーが備わっていなかった。穴の深さを測定することが出来ないので、このノギスで穴の深さを測定しようと思って購入すると後悔することになる。
ちなみに、このカーボンファイバー製のラインナップには、100mmの他に150mm(19979)のタイプもあり、150mmのほうにはデプスバーが備わっていた。
スライドさせると自動で電源が入る
安いわりに、ジョウを開閉させると自動で起動するオートパワーオン機能が搭載されている。また、オートパワーオフ機能も搭載されており、約5分ほど放置していると、スイッチが自動でOFFになる。これならスイッチを切り忘れても、電池の残量が減らないので安心だ。
一応、任意の位置で0セットが出来るZEROゼットスイッチも備わっているので「比較測定」や「間隔測定」が可能。わがままを言えば、測定値を固定できるHOLD機能もあれば嬉しかったが、価格が安いので仕方がないか。
1年で電池の寿命が訪れる
少し高価なデジタルノギスは電池が3年近く持つが、このデジタルノギスは通常使用すると1年ほどで寿命が訪れる。
電源には「酸化銀電池SR44×1個」が使用されており、このSR44は安いもので10個で600円ほどなので、経済的に電池の交換が行える。電池も工具不要で誰にでも簡単に取り替えられる。
LR44というさらに安いボタン電池も販売されているが、この電池は電圧が不安定なので、測定器で使用すると狂ってしまう。SR44以外は使用しないほうがよいだろう。