この記事ではシリカゲルの再生方法を模索していたが、シリカゲルについて深く調べてみるとシリカゲルにはA型とB型の2種類が存在することを知った。そして、この記事で書いていることに誤りがあったので、改めてシリカゲルの特徴や種類を別の記事に書き直した。ブログをオチしている人はいないと思うが、シリカゲルの種類や再生方法の詳細が知りたい場合はこちらのページにまとめたのでどうぞ。
ドライボックスのパッキンが効いてないような気がする巻
実験に使用した密閉容器は、カメラの保管などに使用される「HAKUBAのドライボックス(KMC-39)」、温度計と湿度計は様々な測定機器を販売している「シンワ測定のST-4」を使用。なお、密閉容器内の湿度は、気温、容器の材質、気密性によって左右されるのであしからず。
追記:実験を行っている時は10分単位で湿度を記録しているので、ドライボックスとタイマーを常に手元に置いていた。あるときドライボックスを持って湿度の高い場所に移動したとき、ドライボックス内の湿度が1分単位で1%ずつ上昇したことから、ドライボックスの気密性が低いのでは?と疑うようになった。
密封瓶で検証し直した巻
そして、強いクランプ力で蓋を密封でき、空気中に存在する単独の水分子を通さないガラス製の密封瓶(ダルトンドリンクサーバー6L)を使用し検証をやり直した。ガラス製だと湿度の高い場所に移動しても湿度が変化しなかったことから、気密性が高いうえ、中の様子が見えるので実験には最適である。湿度計は蓋に設置しグルーガンで固定している。
水蒸気を吸湿できる物質を密閉容器内に入れると湿度を0%にできる!?
基本的に多孔質構造で吸湿効果のある物を大量に密封した容器に入れると、吸湿するスピードに差はあるものの、湿度を0%まで下げられることが分かった。仮に湿度を40%に保ちたい場合は、乾燥剤の量を減らすことで湿度を調整することが可能である。
ただし、1%以上で吸湿が止まっている場合は、乾燥剤の吸湿容量が限界に達していると考えられるため、蓋の開け閉めを行ったり、気密性が低い容器だと湿度は上昇していくはずである。できるだけ長く湿度を維持したい場合は、気密性が高く、単独の水分子を通さない鉄製かガラス製の容器のほうが適しているだろう。
実験前に電子レンジで放湿
基本的にシリカゲル(二酸化ケイ素)が使用されている商品は、実験を行う前に電子レンジ(700W)で放湿させている。具体的には「1分間加熱させて→1分乾燥させるを(×5回)」繰り返す。なぜ、5分間連続で加熱しないのかというと、電子レンジでシリカゲルを加熱すると、吸収していた水分が気化されずにシリカゲル表面が濡れてしまうからである。このままの状態で加熱し続けるとシリカゲルが割れたり焦げたりしてしまうのだ。そのため、加熱する度に1分間水分を飛ばす工程が必要がある。この時、うちわで扇いだり、容器をぐるぐる回してシリカゲルを転がすことで効率よく水分を飛ばすことができた。なお、最適な加熱時間は電子レンジの機種によって変わる。(※ゼオライトは電子レンジで加熱すると焦げるので注意)
乾燥剤の比較|湿度が下がるスピード
時間 | 湿度 |
0分 | 76% |
10分 | 55% |
20分 | 39% |
30分 | 27% |
40分 | 18% |
50分 | 11% |
60分 | 5% |
70分 | 2% |
80分 | 0% |
A型シリカゲル(20g)
A型シリカゲルの検証を行った日の室内温度と湿度は(16℃/76%)。密封瓶の中に入れたA型シリカゲルは、坂本石灰工業所の「なんでも除湿シリカゲル」、量は(20g)。なお、気体に存在する単独の水分子は未開封の袋を通り抜けられるため、密封瓶に入れる前に電子レンジで加熱(1分×5回)して放湿させた。
密封瓶内の湿度(76%)は、急速に吸湿され80分で湿度が0%まで下がった。B型シリカゲルが亀だとすると、A型シリカゲルは兎のような速さである。わずか20gの量で湿度を80分で0%にしたスピードを考えると、シリカゲルの量を増やすことにより、1時間以内に湿度を0%に下げることも可能だと考えられる。ちなみに湿度にマイナスはないが、針は-40%くらいまで振り切っていた。次の日も-40%くらいを指していた。
この実験から、A型シリカゲルは密閉された容器内の湿度が0%になるまで吸湿が止まらないことが分かった。また、吸湿できる容量が限られているため、容器内の湿度を0%以上に上げたい場合は、シリカゲルの量を減らすことにより、湿度を調整することが可能だと考えられる。ただし、例えばA型を密閉容器に入れて、湿度が40%で止まった状態は、A型が吸湿できる限界容量に達していると考えられる。そのため、一度でも蓋を開けてしまうと同じ湿度まで下げられないだろう。
A型の特性をみると、密閉された容器や袋の中を乾燥させたいときに最適である。逆に広い空間を調湿する用途では不向きである。なぜなら、A型は吸湿容量が許すかぎり空気中の湿気(水蒸気)を吸収するため、密閉されてない空間ではすぐに吸湿できる容量に達してしまうからである。そして、吸湿した湿気を自力で放湿できないからでもある。
別の実験でもA型シリカゲル(500g)を部屋に置いておくと、半日~1日で青色から赤色に変わり、吸湿することができなくなった。(吸湿できる容量に達するスピードは湿度によって異なります)。A型はB型のように自力で放湿することができないうえ、放湿させるのに150℃の高温を要するため、密閉されてない空間の湿度を下げる用途には不向きである。
時間 | 湿度 |
0分 | 76% |
10分 | 62% |
20分 | 48% |
30分 | 38% |
40分 | 30% |
50分 | 24% |
60分 | 18% |
70分 | 13% |
80分 | 9% |
90分 | 6% |
100分 | 3% |
110分 | 0% |
B型シリカゲル(20g)
B型シリカゲルの検証を行った日の室内温度と湿度は(18℃/76%)。密封瓶の中に入れたB型シリカゲルは、「豊田化工の床下用調湿剤(10kg)」、量は20gである。床下用の調湿剤にはゼオライトや炭のほかにシリカゲルが使用されたものも販売されており、大量に必要な場合はドライヤーンを購入するよりお買い得である。このデータはA型シリカゲルとB型シリカゲルの比較結果でもある。
B型はA型のように吸湿スピードが早いわけではないが、密封瓶内の湿度を110分で0%まで下げることができた。B型シリカゲルを使用した調湿剤等を販売している会社は、B型は湿度を60%前後に保つと謳っているが、密閉した容器内だと湿度は60%前後に保たれないようだ。また、B型は自重の70%まで吸湿できるため、密封瓶内のシリカゲルはA型より吸湿容量に余裕があると考えられる。
B型シリカゲルはA型シリカゲルと違い、湿度が上がったときに常温で放湿する特徴を持っているため、空間の湿度を一定に保つ調湿剤として販売されていることが多い。しかし、密閉された容器にいれた場合、湿度は0%まで下がり続け、次の日も湿度は0%のままだった。このことからが、B型は調湿剤だけでなく、密閉された容器や袋の中であれば乾燥剤としても使用できるだろう。
A型シリカゲルと違い天日干しをすることで吸湿力が戻る特徴を持っているようだが、A型のように電子レンジで加熱したほうが手っ取り早かった。また後述するゼオライト同様に湿度が低い日に天日干ししても、電子レンジほど強い吸湿力は戻らなかった。ちなみに、ゼオライトは天日干ししても湿度が下がらない粗悪品も存在。ゼオライトを床下に撒くより床下換気扇を設置したほうが効果が高いような気がした。
時間 | 湿度/温度 |
0分 | 70% |
10分 | 54% |
20分 | 42% |
30分 | 33% |
40分 | 27% |
50分 | 22% |
60分 | 19% |
70分 | 16% |
80分 | 13% |
90分 | 10% |
100分 | 7% |
110分 | 5% |
120分 | 2% |
130分 | 0% |
猫砂(ザ・シリカ )シリカゲル(20g)
猫砂には色々な種類が存在するが、その中にシリカゲルが使用された商品も販売されている。このタイプの猫砂は天日干しすると繰り返し使用できると記載されたいるので、おそらくB型シリカゲルが使用されていると思われる。さらに大容量で500円前後とリーズナブルなため、B型シリカゲルを購入するより経済的である。
実験に使用した猫砂は「常陸化工株式会社」が販売している「においをとる猫砂 ザ・シリカ 4.6L」。袋を開け密封瓶に入れて湿度を測定すると、いつまで経っても湿度に変化がなかった。そこで、電子レンジ(1分×5回)加熱した後、再度密封瓶に入れると130分で湿度を0%にすることができた。(測定時の温度17℃)
最初に湿度が下がらなかったのは、すでに猫砂が水蒸気を吸収していて吸湿できない状態だったと考えられる。袋の厚さも薄かったため水分子が通り抜けたのではないだろうか。B型シリカゲルは天日干しでも放湿することが可能であるが、少量であれば電子レンジで加熱したほうが効率よく放湿できる。
電子レンジで加熱する際に1分を5回繰り返しているのは、猫砂からでてきた水分が気化せずに表面に付着するからである。このまま加熱し続けると焦げたり、割れたりするので注意されたし。実験では1分間加熱したら、1分間シリカゲルの表面を乾かし、これを5回繰り返して放湿させた。電子レンジの性能やシリカゲルの吸湿状態によって、回数や時間は変えたほうがよいだろう。
時間 | 湿度/温度 |
0分 | 74% |
10分 | 63% |
20分 | 53% |
30分 | 42% |
40分 | 38% |
50分 | 32% |
60分 | 27% |
70分 | 23% |
80分 | 19% |
90分 | 16% |
100分 | 14% |
110分 | 12% |
120分 | 10% |
130分 | 8% |
140分 | 5% |
150分 | 3% |
160分 | 2% |
170分 | 0% |
猫砂(クリスタルキャット )シリカゲル(20g)
ザシリカ以外にもシリカゲルを使用した猫砂を販売している会社があったので購入してみた。今回、実験に使用したものは「株式会社スーパーキャット」が販売している「クリスタルキャット」という猫砂だ。4Lで500円ほどで販売されていたので、上のザシリカと同様リーズナブルである。パッケージには天気のいい日に陽にあてることで砂の効果が長持ちすると記載されているので、やはりB型シリカゲルが使用されていると考えられる。電子レンジ(1分×5回)加熱させて密封瓶の中に入れると170分で湿度0にすることができた。(測定時の温度18℃)
時間 | 湿度/温度 |
0分 | 68% |
10分 | 54% |
20分 | 42% |
30分 | 30% |
40分 | 22% |
50分 | 16% |
60分 | 10% |
70分 | 6% |
80分 | 3% |
90分 | 0% |
猫砂(リサイクル シャトル )シリカゲル(20g)
こちらはクリスタルキャットと一緒に購入した「豊田化工株式会社」が販売している「リサイクルシャトル」というシリカゲルが使用された猫砂である。聞き覚えのある会社だと思ったらB型シリカゲルの実験で使用した床下用調湿剤(10kg)と同じ会社のようだ。やはり、こちらの商品も天気の良い日に天日干しすることで吸収が戻り再利用できると記載されていることから、B型シリカゲルが使用されていると思われる。
リサイクルシャトルは他の猫砂と違い、早いスピードで密封瓶の湿度を0%にすることができた。(測定時の温度17℃)。わたしの予想(妄想)であるが、実験では他の猫砂と比べると湿度を下げるスピードが早いものの、おそらく吸湿スピードに大きな差はないと思われる。この商品は他の類似商品と違い形がクラッシュ形状ではなく小さな球状なので、実験前に電子レンジで加熱したときに絶乾に近い状態まで放湿できたことが早く湿度を下げられた原因ではないかと考えている。
時間 | 湿度/温度 |
0分 | 72% |
10分 | 57% |
20分 | 45% |
30分 | 34% |
40分 | 26% |
50分 | 20% |
60分 | 14% |
70分 | 9% |
80分 | 5% |
90分 | 2% |
100分 | 0% |
天然ゼオライト(20g)
ゼオライト(沸石)はシリカゲルと同じ多孔質構造を持っている天然の鉱物である。B型シリカゲルと同じように湿度があがると湿気を吸って、湿度が下がると吸収した湿気を吐いたりする調湿効果を持っており、空間の湿度を調整する調湿剤としても販売されている。天然ゼオライトの表面積は1gで350㎡。人工的に作られたB型シリカゲルの表面積に比べると少し劣るが、その広さを畳のサイズに換算すると226枚分にもなる。
実験に使用したゼオライトはアイリスオーヤマが販売している「床下さらり」という床下用の調湿剤である。ゼオライトを湿気のたまりやすい床下に敷き詰めることで湿度を調湿する効果があるため、湿気によるカビやシロアリの発生、そして構造材(大引,根太)や床が腐るのを防止するのだ。その他に、シリカゲルと同じように嫌な臭いも吸着する効果があるので消臭効果も期待できるようだ。
ゼオライトも猫砂のときと同じように最初は吸湿をしなかった。そこで、天日干しして放湿させいようと考えたが、実験に使用するのは20gと少量なので電子レンジで加熱して放湿させることにした。最初電子レンジで5分間加熱させると、ゼオライトは真っ黒に焦げてしまった。(写真参照)さらに、電子レンジ対応のタッパー(耐熱温度120℃)の底が溶けて白い煙が舞い上がったことから相当熱を持っていたようだ。
次に(1分間加熱→10分間冷ます)×2回を繰り返し、密封瓶の中に入れると1時間40分で湿度を0%にすることができた。(測定時の温度16℃)故障しても保証は出来ないがどうやらゼオライトもシリカゲルと同じように電子レンジで放湿できるようだ。どうして、シリカゲルと違い10分間も冷ましたのかというと、ゼオライトの熱がなかなか下がらないからである。ちなみに、触れないくらいの高温が続いてることから、冷ましているあいだも放湿してるのではないだろうか。
時間 | 湿度/温度 |
0分 | 65% |
10分 | 60% |
20分 | 51% |
30分 | 42% |
40分 | 38% |
50分 | 34% |
60分 | 28% |
70分 | 24% |
80分 | 20% |
90分 | 16% |
100分 | 13% |
110分 | 10% |
120分 | 6% |
130分 | 4% |
140分 | 2% |
150分 | 0% |
炒った米(20g)
調味料ボトルに入れた塩や胡椒が出にくくなった経験はないだろうか?塩や胡椒が出にくくなる原因は、塩や胡椒が湿気を吸って固まってしまったからである。最近は分からないが、昔は喫茶店のテーブルに置いてある塩の容器の中に米のようなものが入っていた。あれは実はフライパンで炒った米である。炒り米が容器内の湿気を吸収し、乾燥剤の役割をしているため、常に塩はサラサラの状態を保っていられるのだ。
そこで、米(20g)をフライパンできつね色になるまで炒り、10分ほど冷ましてから、密封瓶に入れて本当に湿度が下がるのか検証(測定時の温度16℃)。結果は少し時間はかかったものの、2時間30分で密封瓶内の湿度を0%に下げることができた。
喫茶店の塩の容器に入っていた炒り米はちゃんと乾燥剤の役割をしていたのだ。ちなみに、炒ってない米は水分を含んでいるため、そのまま塩の入った容器に入れてしまうと、逆に米から水分が吹き出しまい、さらに放置していると米は腐ってしまった。
時間 | 湿度/温度 |
0分 | 70% |
10分 | 55% |
20分 | 42% |
30分 | 32% |
40分 | 26% |
50分 | 20% |
60分 | 16% |
70分 | 14% |
80分 | 12% |
90分 | 10% |
100分 | 9% |
110分 | 8% |
120分 | 8% |
130分 | 7% |
140分 | 7% |
150分 | 6% |
160分 | 6% |
170分 | 5% |
180分 | 5% |
190分 | 5% |
200分 | 5% |
210分 | 5% |
220分 | 5% |
230~380分 | 4% |
ポップコーン(20g)
炒り米で湿度を下げられるなら、わたしがよく食べるポップコーンでもいけるだろうと思い、トウモロコシの豆(20g)をポップコーンメーカー(電子レンジやフライパンでも可)に入れてポップコーンにして、5分ほど冷まし密封瓶の中に入れみた(測定時の温度14℃)。
湿度10%ほどまでは顕著に下がり続けたが、9%から湿度を下げるのに苦労しはじめた。結局、湿度を4%まで下げるのに230分かかり、それ以降は針が動く気配がなかったため、実験を中止し塩を振って食べた。
ポップコーンにも吸湿効果はあるものの表面積が小さいため、おそらく吸湿容量が低いと考えられる。量を増やせば湿度を0%にすることも可能だろうが、20gの豆をはじけさせるとけっこうな量になるため、狭い場所の乾燥剤には不向だろう。
2020/7 追記(動画で視聴する場合はこちら)
杉の木片 10×6×1(cm)
一般の方でも「木は呼吸をする」という言葉を耳にしたことがあるだろう。木の中でも多孔質構造で調湿作用があるのが杉・檜・松のような針葉樹。特に杉の調湿作用が高いと言われており、建築物の構造材だけでなく、壁や床に好んで使われることもあるほど。そこで、人工的に杉の端材を乾燥させて密封瓶の中に入れると、どれくらいのスピードで湿度が下がるのか記録を取ってみた。
はじめはドライヤーの熱風で5分間ほど乾燥させたものを密封瓶の中に入れたのだが、湿度計の針は1mmも動かなかった。次に電子レンジにいれて1分間加熱させて→5分間冷ましたものを密封瓶に入れると、約3時間で梅雨の70%の湿度を0%まで下げることができた。他のものと同じように投入する木の量を調整することで、湿度の調整や湿度を下げるスピードを変化させることも可能。
電子レンジに木を入れることをメーカーは推奨してない上、加熱しすぎると木の中が燻りはじめて、煙がもくもくとでてくるため、自己責任+リスキーな乾燥法となるものの、食品の代用と違い、腐りにくい+繰り返し使うことができる上、シリカゲルやゼオライトのように粉じんが発生しないメリットは大きく感じた。檜だと抗菌成分も含んでいるためカビを発生させにくい利点も。松はヤニを吹き出すことがあるのでやめたほうがよいかもしれない。
シリカゲルを入れるのに便利な入れ物
お茶パック(天日干しで放湿させる場合)
B型シリカゲルが使用された調湿剤を天日干しして再利用する場合は、お茶パックが最適であった。ただし、説明通り折り返してフタをすると、お茶パックが倒れたときにシリカゲルがこぼれやすいので、ゴムで縛ってフタをしたほうがよいだろう。ホッチキスやシーラーでフタをすればまず溢れることはない。
電子レンジ対応のタッパー(電子レンジで放湿させる場合)
A型シリカゲルやB型シリカゲルを電子レンジで放湿させる場合は、お茶パックは不向きである。なぜなら、お茶パックが溶けてしまったり、シリカゲル表面についた水分をうまく飛ばせないからである。そこで便利なのが電子レンジ対応のタッパーである。
タッパーのフタに穴を開けてシリカゲルを入れておけば、再利用する歳、そのまま電子レンジに入れて放湿させることができるからである。電子レンジ対応のタッパーはセリアやダイソーのような100円ショップにも販売されており、様々なサイズが陳列されているようだ。
カメラの乾燥剤にシリカゲルは向いているのか?
乾燥剤を使用するならB型シリカゲル&防カビ剤
カメラ用ドライボックスにシリカゲルを乾燥剤として使用する人は多いようだ。私自身も最初に購入したシリカゲルはカメラの保管に使用するためであった。しかし、ネットでシリカゲルを乾燥剤として使用してる人を見ると、カメラの保管に使用されているシリカゲルはA型派とB型派に分かれているようである。
個人的な意見であるが、シリカゲルの特徴を分かりやすく説明すると、A型はお腹がいっぱいになるまで空気中の水分をゴクゴク吸収するタイプである。それゆえ、密閉されたドライボックスにA型シリカゲルを入れると容器内の湿度が0%になるまで水蒸気(湿気)の吸湿を行ってしまうのだ。
SONYのサイトによると、カメラの最適な湿度は、40%~50%前後と記載されている。湿度が低すぎるとゴムの劣化、そして、電子回路の特性不良や静電気の帯電に伴うリスクを負うことになるので、A型を使っている人は、シリカゲルの量を減らし、湿度を40~50%に保とうと工夫するようである。
しかし、例えば湿度が40%で止まったドライボックス内のA型シリカゲルは吸湿容量が限界に達してる状態。従って、それ以上吸湿することができないのだ。つまり、カメラを取り出すために蓋を開け閉めすると湿気が入ってしまうので、その度に湿度が上がるのは避けられない。
また、長期期間の保管にも不向きである。湿度が40~50%に保たれた状態で蓋を長期間開けなかったとしても、1ヶ月もすると湿度が50%を超えてしまうからである。これはドライボックスのパッキン部から水蒸気が侵入していたり、空気中に存在する単独の水分子がABS樹脂を通り抜けていると考えられる。
次にB型シリカゲルであるが、B型シリカゲルを使用した商品を販売している各メーカーは、湿度を60%前後に調湿すると説明しているが、密閉した狭い容器にB型シリカゲルを入れると湿度は0%まで下げ、放湿をはじめることはなかった。カメラの保管にはA型もB型も低すぎる湿度である。
シリカゲルの量を減らすことで湿度を調整することは可能だが、もしシリカゲル量を調整することで湿度を40~50%で保てるのであれば、B型シリカゲルのほうがカメラの長期保管には向いているだろう。なぜならB型のほうがA型より吸湿容量が大きいからである。(自重の70%調湿)。そして、一定の湿度に保つ大きな目的はカビ対策なので、長期間効果が持続する防カビ剤を入れておいたほうがよいだろう。
ドライボックスで保管すると手間がかかりすぎる
ドライボックスを販売しているメーカーはナカバヤシとハクバのものが有名である。ハクバのドライボックスを湿度の高い場所(温度そのまま)に持っていくと、湿度が6%も上昇したことから、私はドライボックスの気密性が低いのではと疑いを持っている。ハクバとナカバヤシの批判レビューにも気密性が低いと書き込みが散見された。
シリカゲルを密閉されたドライボックスに入れていても、部屋の温度や湿度によって左右されたり、時には部屋の湿度より上昇していることもあった。なので、頻繁にドライボックス内の湿度計を確認しなければいけないのだ。また、シリカゲルの吸湿容量が限界に達したとき、シリカゲルの交換も行わければいけないので、繰り返しているうちにだんだんと面倒になってきた。
防湿庫のほうが手間がかからない
毎日ドライボックス内の湿度を確認したり、乾燥剤を定期的に交換する手間を考えると、電動で湿度を保ってくれる防湿庫のほうがよいのではないかと考えるようになった。防湿庫と言っても、最近は一眼レフカメラの入門者が増えたこともあり、コンパクトで安価(1万円台)なタイプも販売されているようだ。レンズにカビが発生してメーカーに修理すると同じくらいの料金を請求されることを考えると問題になるような価格ではない。また、月の電気代も30~50円ほどらしいので経済的である。
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